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第1章
仮契約
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翌日、畑や餌やりなど朝のルーチンをこなして母屋に戻る。
昨夜は夕食後に魔法で眠ってもらい、薬を塗って包帯を替えておいた。
朝食後はコッコとの仮契約だ。
コッコ達の小屋の扉を開け、変異種以外の成鶏が庭を出て行く。
ひよこ達も新しい場所に興味があるようで、歩みが遅いながらも庭に向かっていた。
まずは契約条件を話し合う。
こちらの条件は毎日2個の無精卵と、頼んだ時に追加で産んで欲しいこと。
雛は続けて沢山産まないこと。
新しい幻獣や動物を保護することがあることを承知すること。
コッコ側は泊まりでない限りは毎日朝晩の水と専用の小屋の設置。
泊まりで家を空ける時には小屋から自由に出入りしたいというので、専用小屋にはコッコ用の扉を付けることにした。
餌は基本的に畑の決められた区画や庭などで好きに食べて、足りない場合や外に出れない時のために毎日1食は用意することになった。
コッコに向かって手をかざす。
【我、レナード・ボールドウィンが女神タフヴィリアに願う、仮初の絆を結ぶことを- リガーレ -】
手のひらから光がコッコに向かって真っ直ぐに飛び、全身を包んで消えた。
「これからよろしくな」
《我の名前を決めてくれ》
《名前を決めたら簡易には解除出来なくなるよ?》
《良いのだ、解除するつもりはないから》
《そう言ってくれるなら…ルゼでどう?》
《ルゼか、気にいった》
額が一瞬だけ光った。
名前を付けない場合にはいつでも合意があれば解除出来るが、名前を付けた場合は3年程は解除出来ない。もちろん虐待があると認定された場合はギルド預りとして上書き契約をされ解除することは出来るが、罰則もあるため仕事で契約する際は名付けはしないこともある。
愛玩する場合には仮契約の時に名付けが一般的だが。
ルゼと仮契約が完了したことでほんの少しだがレナードの魔力が増えた。
幼獣のミルクを用意した後に森に設置した餌の様子を見に出かけた。
もちろんルゼには傷付いた幼獣のために、野生の獣が必要だからと説明して納得してもらっている。
近い方から薬草や木の実など採取しつつ順番に回った。昨日一番減っていたところに近づくと、何かが居る気配がしたので立ち止まる。
《おはよう》
動きが止まった気配がした。
《傷付けないから近くに行ってもいいかな?》
「キュ」
離れているため小さいが鳴き声が聞こえた。驚かさないようにゆっくりと近付くが、互いが姿が見えてもレナードからは手が届かない位置で止まる。害意がないことを示すためにその場で胡座をかいて座る。
《姿を見せてくれてありがとう。お話しをしてもいいかな?》
「キュ」
そこに居たのは若い森鹿だった。
《怪我した幻獣を保護したんだけど、幼獣で警戒心が強くてお世話が出来ないんだ。少しの間でいいから手伝ってくれる獣が居たら連れて来て欲しい。
2日後にまた来るからお願い出来るかな?》
少し考えるように首を傾げた後、了承のひと鳴きがしたので静かに立ち上がり去った。
他の場所の減っているところは果実だけを残して回収し、それ以外は全てを回収する。
回収した蜂蜜を1頭に1皿を牛舎に持って行った。貴重だから何かを保護した時だけしかあげられないが喜んでくれるから。
獣舎に寄ってルゼを呼ぶと近付いて来た。果物と蜂蜜は好きかと聞いたら好きだと言うので、今日と明日の食事は決まった。わざわざ分けたのは、食べ過ぎる可能性を考えたからだ。
蜂蜜1皿は幼獣用に、残りは果実の蜂蜜漬にした。
2日後のお昼前に森鹿と約束した場所に向かい、前回と同じ場所で胡座をかいて座って待つ。
現れたのは森鹿と若い銀狼の雌だった。正直驚いたし、まさか草食系魔物が狼系の幻獣を連れて来るとは思わなかった。
最近我が子を亡くしたばかりだから手伝ってくれるとのこと。
幻獣は魔力などが高い反面、繁殖力が低いため多くの子供を作ることが出来ない。そのため初産の若い雌は流産だったり、産まれてもすぐ亡くなったりという可能性があり、おかげで今回は我が子の代わりに協力してもらえる。その場で仮契約を済ませ、森鹿にはお礼として新しい果物を追加して森を後にした。
昨夜は夕食後に魔法で眠ってもらい、薬を塗って包帯を替えておいた。
朝食後はコッコとの仮契約だ。
コッコ達の小屋の扉を開け、変異種以外の成鶏が庭を出て行く。
ひよこ達も新しい場所に興味があるようで、歩みが遅いながらも庭に向かっていた。
まずは契約条件を話し合う。
こちらの条件は毎日2個の無精卵と、頼んだ時に追加で産んで欲しいこと。
雛は続けて沢山産まないこと。
新しい幻獣や動物を保護することがあることを承知すること。
コッコ側は泊まりでない限りは毎日朝晩の水と専用の小屋の設置。
泊まりで家を空ける時には小屋から自由に出入りしたいというので、専用小屋にはコッコ用の扉を付けることにした。
餌は基本的に畑の決められた区画や庭などで好きに食べて、足りない場合や外に出れない時のために毎日1食は用意することになった。
コッコに向かって手をかざす。
【我、レナード・ボールドウィンが女神タフヴィリアに願う、仮初の絆を結ぶことを- リガーレ -】
手のひらから光がコッコに向かって真っ直ぐに飛び、全身を包んで消えた。
「これからよろしくな」
《我の名前を決めてくれ》
《名前を決めたら簡易には解除出来なくなるよ?》
《良いのだ、解除するつもりはないから》
《そう言ってくれるなら…ルゼでどう?》
《ルゼか、気にいった》
額が一瞬だけ光った。
名前を付けない場合にはいつでも合意があれば解除出来るが、名前を付けた場合は3年程は解除出来ない。もちろん虐待があると認定された場合はギルド預りとして上書き契約をされ解除することは出来るが、罰則もあるため仕事で契約する際は名付けはしないこともある。
愛玩する場合には仮契約の時に名付けが一般的だが。
ルゼと仮契約が完了したことでほんの少しだがレナードの魔力が増えた。
幼獣のミルクを用意した後に森に設置した餌の様子を見に出かけた。
もちろんルゼには傷付いた幼獣のために、野生の獣が必要だからと説明して納得してもらっている。
近い方から薬草や木の実など採取しつつ順番に回った。昨日一番減っていたところに近づくと、何かが居る気配がしたので立ち止まる。
《おはよう》
動きが止まった気配がした。
《傷付けないから近くに行ってもいいかな?》
「キュ」
離れているため小さいが鳴き声が聞こえた。驚かさないようにゆっくりと近付くが、互いが姿が見えてもレナードからは手が届かない位置で止まる。害意がないことを示すためにその場で胡座をかいて座る。
《姿を見せてくれてありがとう。お話しをしてもいいかな?》
「キュ」
そこに居たのは若い森鹿だった。
《怪我した幻獣を保護したんだけど、幼獣で警戒心が強くてお世話が出来ないんだ。少しの間でいいから手伝ってくれる獣が居たら連れて来て欲しい。
2日後にまた来るからお願い出来るかな?》
少し考えるように首を傾げた後、了承のひと鳴きがしたので静かに立ち上がり去った。
他の場所の減っているところは果実だけを残して回収し、それ以外は全てを回収する。
回収した蜂蜜を1頭に1皿を牛舎に持って行った。貴重だから何かを保護した時だけしかあげられないが喜んでくれるから。
獣舎に寄ってルゼを呼ぶと近付いて来た。果物と蜂蜜は好きかと聞いたら好きだと言うので、今日と明日の食事は決まった。わざわざ分けたのは、食べ過ぎる可能性を考えたからだ。
蜂蜜1皿は幼獣用に、残りは果実の蜂蜜漬にした。
2日後のお昼前に森鹿と約束した場所に向かい、前回と同じ場所で胡座をかいて座って待つ。
現れたのは森鹿と若い銀狼の雌だった。正直驚いたし、まさか草食系魔物が狼系の幻獣を連れて来るとは思わなかった。
最近我が子を亡くしたばかりだから手伝ってくれるとのこと。
幻獣は魔力などが高い反面、繁殖力が低いため多くの子供を作ることが出来ない。そのため初産の若い雌は流産だったり、産まれてもすぐ亡くなったりという可能性があり、おかげで今回は我が子の代わりに協力してもらえる。その場で仮契約を済ませ、森鹿にはお礼として新しい果物を追加して森を後にした。
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