角の生えたサルたち

西洋司

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聞き覚えのあるハスキーボイス_01

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 仕方ないので、昨日と同じくシノを2ケツして現地に向かうことにする。
 道すがらショウタの話すところによると、合コンは4時、駅前のカラオケ喫茶『パッセェーラ』に現地集合とのこと。

 両高有志による親睦会って形を取っているようだけど、とにかく彼女達のお目当ては何と言ってもオレなんだそうで。

 何でオレ? ショウタだって、なかなかのイケメンなんだけどさぁ。
 
「で、ショウタ、……オマエ『恋愛許可』持ちでないんだろ?」

「合コンは別に『恋愛』行為じゃないでしょ? それにさぁ、……これは、ただの両高有志による親睦会だよ」

 ショウタのヤツは、オレにそう嘯いた。

「ホンと、コイツ昔からいい根性しているよねぇ」 

 それを横で聞いていたシノも、半ば呆れ顔だ。

 でも、彼女はわざわざ上に報告するつもりはないらしい。
 まぁ未来人同士、駆け引きとかいろいろとあるんだろうね。

 店の前に自転車を停めていると、突然ピピピピピッとショウタのポケベルが鳴り出した。
 ショウタは液晶モニターをじっと見ると、怪訝そうな顔をして首を捻った。

「ショウタ、どしたん?」

「何だろ? 彼女達に何かあったのかも」

 コイツによると、ポケベルの連絡メッセージの符牒で、何かヤバい事案が発生した場合には、周囲に悟らせないように〈イベント有り〼〉って連絡させているのだとか。
 それで、そのイレギュラーなメッセージが届いたのを見て、様々な事案を想定しているのだろう。
 
 入店しようとすると、改進高の制服を着た女子2名とオレ達は鉢合わせになる。

「ショウタ君、ホノオさんっっ、逃げてっ!!」

 いや、待て!? 何? どうすりゃいいの?
 
 でも、傍らの未来人達は、……まるで菩薩のように笑みを湛え、青ざめて叫ぶ少女達を見つめているんだよね。

 何それ!? むしろオマエらの肝が据わり過ぎていて、よっぽど怖い!!
 
 すると、その少女達の頭にすらりとした手が伸びて来る。
 そして、……店の中から、聞き覚えのあるハスキーボイスがオレの名を呼んだ。

「ホ~ノオッ君。とりあえずぅ、このメンバーで合コンやろっか?」

 その声の主は九条リンゴ。満面の笑顔でオレ達を出迎えてくれた。
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