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第4話 恋に落ちたあの日のこと(4)★
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「んな煽るなっての。もう一度確認するが、初めての相手が俺で本当にいいんだな?」
「っ……変な言い方すんな」
返ってきたのは、驚くほどにか細い声。
精一杯の虚勢を張っているのは明らかだった。どうにも気が急いているようだが、それだけ胸中ではさまざまな思いが駆け巡っているのだろう。
本城に対する感情も何もかも、自分の手で忘れさせてやりたい――自然とそんな考えが高山の頭をよぎった。
「嫌だったら、いつでもやめる。無理しないでちゃんと言えよ」
静かに告げて、四つん這いになるよう促す。
侑人は素直に従ってくれたが、やはり不安げな様子だ。
「後ろからすんのかよ?」
「こっちの方が楽だろ。ほら、枕使っていいから」
枕を手渡しながらも、細い腰を持ち上げる。
侑人はというと、秘所が丸見えになる体勢に戸惑いを見せたが、やがて観念したように枕を抱え込んだ。
素直なんだか、素直じゃないんだか――高山は苦笑しつつベルトを緩め、下着の中から己の欲望を取り出した。手で軽く扱いてからコンドームを装着し、先端を窄まりに押し当てる。
侑人がわずかに身じろいたが、気遣ったところでどうにもならないとわかっていた。高山は一呼吸置いて、
「挿れるぞ」
短く告げると、慎重に体重をかけ始める。
初めて男を受け入れるそこはさすがに狭かった。高山を拒むかのようにギチギチと締め上げてきて、当の本人もくぐもった声を漏らす。
「くっ、うぅ……」
顔は見えないが、指とは比べものにならない圧迫感で相当苦しいはずだ。
高山は労わるように頭を撫でながら、声をかけてやった。
「ゆっくり息しろ。……そう、上手だ」
「っは……はぁ……」
侑人が懸命に深呼吸を繰り返す。
すると少しずつではあるが、強張っていた体が弛緩していくのを感じた。挿入を再開させ、亀頭が入り込んだあたりで動きを止める。
「大丈夫か、瀬名」
「だ、大丈夫に決まって……っ」
「強がるなよ。これ以上は無理だろ?」
侑人は頑なに首を左右に振るものの、シーツをぎゅっと握りしめる姿を見れば一目瞭然だった。脚もガクガクと震えており、とてもじゃないが続けられるとは思えない。
「……とにかく一度抜くから」
「あっ、だめ、今抜いたらっ!」
ハッとしたように侑人が顔を上げる。が、高山は構わずにそっと自身を引き抜いた。
「ふあ、あ、ぁ……っ」
その直後、甲高い声とともに侑人の体がビクビクと跳ねる。
高山は呆然としてその様子を見つめていた。侑人は枕に顔を埋めて震えており、シーツの上に粘り気のある体液を飛ばしている。――達したのだと理解するのに数秒かかった。
「ぁ……ごめんなさ、シーツ……汚して」
顔を少しだけこちらに向ける侑人。
とろんと蕩けた瞳と目が合った瞬間、高山の中で何かが弾けたような気がした。
「瀬名」
侑人の体を反転させ仰向けにするなり、すかさず股を割って覆い被さる。そして、再び自身を後孔に宛がい――今度は容赦なく押し入った。
「う……っく、あ、あぁ……!」
突然の衝撃に侑人が仰け反るも、目もくれずに腰を進めていく。
本当はできるだけ優しくしようと思っていた。にも関わらず、今となってはそんな余裕もない。衝動のままに奥まで貫くと、高山は一旦動きを止めて息をついた。
「悪い。こんなつもりじゃなかったんだが……もう抑えきれねえ」
「っ……変な言い方すんな」
返ってきたのは、驚くほどにか細い声。
精一杯の虚勢を張っているのは明らかだった。どうにも気が急いているようだが、それだけ胸中ではさまざまな思いが駆け巡っているのだろう。
本城に対する感情も何もかも、自分の手で忘れさせてやりたい――自然とそんな考えが高山の頭をよぎった。
「嫌だったら、いつでもやめる。無理しないでちゃんと言えよ」
静かに告げて、四つん這いになるよう促す。
侑人は素直に従ってくれたが、やはり不安げな様子だ。
「後ろからすんのかよ?」
「こっちの方が楽だろ。ほら、枕使っていいから」
枕を手渡しながらも、細い腰を持ち上げる。
侑人はというと、秘所が丸見えになる体勢に戸惑いを見せたが、やがて観念したように枕を抱え込んだ。
素直なんだか、素直じゃないんだか――高山は苦笑しつつベルトを緩め、下着の中から己の欲望を取り出した。手で軽く扱いてからコンドームを装着し、先端を窄まりに押し当てる。
侑人がわずかに身じろいたが、気遣ったところでどうにもならないとわかっていた。高山は一呼吸置いて、
「挿れるぞ」
短く告げると、慎重に体重をかけ始める。
初めて男を受け入れるそこはさすがに狭かった。高山を拒むかのようにギチギチと締め上げてきて、当の本人もくぐもった声を漏らす。
「くっ、うぅ……」
顔は見えないが、指とは比べものにならない圧迫感で相当苦しいはずだ。
高山は労わるように頭を撫でながら、声をかけてやった。
「ゆっくり息しろ。……そう、上手だ」
「っは……はぁ……」
侑人が懸命に深呼吸を繰り返す。
すると少しずつではあるが、強張っていた体が弛緩していくのを感じた。挿入を再開させ、亀頭が入り込んだあたりで動きを止める。
「大丈夫か、瀬名」
「だ、大丈夫に決まって……っ」
「強がるなよ。これ以上は無理だろ?」
侑人は頑なに首を左右に振るものの、シーツをぎゅっと握りしめる姿を見れば一目瞭然だった。脚もガクガクと震えており、とてもじゃないが続けられるとは思えない。
「……とにかく一度抜くから」
「あっ、だめ、今抜いたらっ!」
ハッとしたように侑人が顔を上げる。が、高山は構わずにそっと自身を引き抜いた。
「ふあ、あ、ぁ……っ」
その直後、甲高い声とともに侑人の体がビクビクと跳ねる。
高山は呆然としてその様子を見つめていた。侑人は枕に顔を埋めて震えており、シーツの上に粘り気のある体液を飛ばしている。――達したのだと理解するのに数秒かかった。
「ぁ……ごめんなさ、シーツ……汚して」
顔を少しだけこちらに向ける侑人。
とろんと蕩けた瞳と目が合った瞬間、高山の中で何かが弾けたような気がした。
「瀬名」
侑人の体を反転させ仰向けにするなり、すかさず股を割って覆い被さる。そして、再び自身を後孔に宛がい――今度は容赦なく押し入った。
「う……っく、あ、あぁ……!」
突然の衝撃に侑人が仰け反るも、目もくれずに腰を進めていく。
本当はできるだけ優しくしようと思っていた。にも関わらず、今となってはそんな余裕もない。衝動のままに奥まで貫くと、高山は一旦動きを止めて息をついた。
「悪い。こんなつもりじゃなかったんだが……もう抑えきれねえ」
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