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第24話 ヌーディーリップ

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ヌーディーリップが似合わない
そんなわたしでも、
そんなわたしだから


 ブルベ冬(セカンドブルベ夏のドブルベ)なので、ヌーディーリップが似合わない。
 わたしは自分の顔が大きらいで、コンプレックスの塊だったので、昔はそれはもう、化粧が濃かった。きっと、魚拓がとれたと思う。

 外の世界がきらい。人間がきらい。
 なにより、自分が一番大きらい。

 素顔がわからないほどの濃い化粧で、本音を隠して。
 化粧は、わたしなりの処世術だった。

 今は、外の世界はほどほどにきらい。人間は好きでもきらいでもない。
 生きるのに精いっぱいで、自分にも他人にも興味がなくなった。

 年を重ねて、ずいぶんと生きやすくなった。
 白でも黒でもなく、まだらの灰色でもいいじゃないかと赦せるようになったのだ。

 化粧はかなりいいかげん。ときどき、似合わないヌーディーリップを塗ってみる。

「ふうん。やっぱり、いまいちやな」

 試してみないと、本当に似合わないのか、わからない。
 きれいと汚いが混在するこの世界で、自分だけのお気に入りが見つけられたら、いいね。
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