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episode.35

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王子はうーんと少し考え答える。
「厄介なご令嬢に付き纏われていたな」
(あ、やっぱり王子もそう思ってたんだ)
「それってやっぱりリリーのことかしら?」
皆んな無言で頷く。

「リリーは悪い子じゃないんだけど、ちょっと最近暴走気味なのよね。ちなみにだけど皆さんがリリーを好きになることってありそうかしら?」

「ないな」「ありえない」「ない」
王子、レイ、アルバートが順番に答えた。
あらーっと言ってメアリーは残念そうな顔をした。
私も、なんかあのリリーをみんなに選んで欲しくないと思っている。

(そうなるともうこの世界にはヒロインはいなくなるのかな……?)
なんか乙女ゲームでヒロインがいないって不思議な感じだ。

その後は軽く雑談をしてお開きになった。
お茶会の時間は数時間だったけど、すごく疲れた。
あのお茶会の緊張感は一体何だったんだろうか。
レイと王子は相変わらずバチバチだし。

その後私はみんなを玄関まで送った。
皆それぞれの馬車で帰るので、順番に帰って行く。

一番最初はレイが帰っていった。
みんなの前で私を抱きしめ、帰りたくないけど帰りますね。と言い、私達の仲を見せつけていった。
本当は人前では恥ずかしのに。
多分牽制する為に最初に帰ったんだろう。

その次は王子が帰っていった。
また来ますねと意味深な事をいいレイが見てないのをいいことに、私の手の甲にキスをした。

アルバートがお手洗いに行くと言ったので、メアリーが先に帰る事になった。
今度は二人でお茶会しましょ。まだまだ喋りたいしと言っていた。メアリーはお喋りが好きだから喋り足りなかったんだろう。

皆帰って後はアルバート一人だ。
お手洗いから帰ってきたアルバートは私の元に一直線に来た。

周りに誰もいない事を確認すると私の身体を優しく抱きしめた。
アルバートの腕の中で体温を感じる。
(え、え、何何どういう事なの?)

「リオン私の事をお忘れですか?」
私は混乱している。頭にはてなマークが浮かんでいる。
「え、あのスミス様?どういう事でしょうか?」
「やっぱり思い出せないですか?昔あんなにたくさん遊んだのに」
(昔遊んだ?アルバート…アルバート…あっ)
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