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出会い編
その建物は
しおりを挟む金貨が袋の半分を占めているそれは、グランディオール王国に長らく帰ってきていないクロードがリディメリアの為に掻き集めてくれたのだろう。
お金は仕事を見つけるまでの生活資金にありがたく使わせてもらおうと思った。
そしてもう一つ、小さな上質な布生地の袋に包まれているこのネックレスはどういう物なのか。普段使いする様な簡易な造りではなさそうなそれを、どういう理由でリディメリアに渡したのか。
次にクロードに会えた時まで大切に保管しておこうと決めた。
クロードに渡された二つのそれをノエルに貰った大きめの袋に丁寧に入れておく。
ミュールの街の治安がどうかわからない為、盗まれたり落としたりしない様に持ち手部分をしっかりと握った。
「それでは早速ですが、用意した部屋にご案内しますね」
もう暮らせる状態にはなってますよ。とアルドランはソファから立ち上がりリディメリアを連れて応接室を後にした。
馬車は既に屋敷の前に用意されていて、リディメリアが先に馬車に入り、その後にアルドランが馬車に乗り向かい側の席に座った。領主自ら案内してくれるらしい。
アルドランが御者に「行ってくれ」と声を掛けると御者は馬車を走らせてアルドランの屋敷を後にした。
馬車の窓から街の景色が見えてリディメリアは外を見ることに夢中になってしまう。
そんなリディメリアにアルドランは街の案内をしてくれた
「この建物は教会です。建物の中から見るステンドグラスはとても美しいものですのでまた是非見に行ってみてください。そちらの緑の屋根の建物は病院です。この街は医師不足で病院の数が少ないのですが、ここの医師の腕はとてもいいと評判です」
「あの大きな看板の建物は何ですか?」
リディメリアが気になった建物もアルドランに尋ねるとアルドランは言い忘れてましたと言わんばかりに教えてくれた。
「あれはミュールにある唯一のギルド『ヤドリギ』の本部です」
大きな看板がよく見える所までくると、『ヤドリギ』と書かれた看板がよく見える。建物は大きく立派な石造りで正面の入口からの人の出入りは頻繁でギルドの活気がいい事がわかる。
「初めて冒険者になる人が冒険者登録をしにに来たり、冒険者達に仕事の斡旋を始め様々なことをしてくれます」
「ここが、ギルド」
グランディオール王国にはギルドは無いが、ミュールの他にもこの地方では各国のあちこちにギルドは存在してるらしい。
冒険者はギルドに冒険者登録をしてギルドを経由して依頼を受け達成し、報酬を受け取る。その為連日ギルドにはたくさんの冒険者が訪れ、自分に合う依頼を探している。今も前を通りかかった時に屈曲な男性や剣を腰に携帯した女性剣士が出入りをしていた。
リディメリアは説明されたどの施設や建物よりもこのギルドがとても強く印象に残った。
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