6 / 15
食べ物探し、救助
しおりを挟む
街は人通りが多くて、すぐに二人を見失いそうだった。
……ま、まあ!さっきのはああいう前提で行っただけだし!
「お腹空いた……しかもかなり」
りんが空腹を訴える。それはりんだけじゃない。
三日くらい飲まず食わずで、オレ達は死にそうだった。
今も生死の狭間を彷徨っているだろう。
「そんな事考えてても仕方ないよ。あー、早く何か食べたい」
揮の言う通りだった。話していても腹は満たされない。
りんがハッと声を上げた。
「あそこにあるのって、……キャベツ?」
食べ物の名前に反応し、オレと揮はその方向を向いた。
一面に広がる緑色。大きく野菜が育っている。
ー畑か?
次の瞬間、揮とりんはキャベツの方に突進した。
生で食う気かよ。今は生でしか食べられないんだけど。
そう思いながら、オレも畑に入っていった。
幸い畑の人はいなかった。
そもそも犬ってキャベツいけるのか?
中身が人間だからいけるか。
一度周辺を見渡す。人がいないか確認するためだ。
そしてキャベツに夢中になっている二人を見ると、オレもキャベツを頬張った。
―最低限の食料はキャベツでいいだろう。
オレ達はキャベツを持ち、家に帰ろうとした。
街の道沿い。家までかなり近づいてきた。
その日は街のイベントがあったらしく、車が沢山通っていた。
「今日も特に何もなくて良かったね」
「死にそうになったけど」
会話をしながら歩くりんと揮を横目に、オレは道路を見た。
その時、オレはとんでもない光景が目に映った。
茶色の犬が道路を横断しようとしている。そこに車が迫ってきた。
運転手は、彼の事に気づいていなかった。
りんと揮も気づいていない。あのままだと、犬は轢かれてしまう。
オレは抱えていたキャベツを投げ捨てて、道路に飛び込んだ。
オレは犬を抱いて道路の外に出た。
オレが助けたその茶犬は、目をぱちくりさせて驚いている。
「大丈夫ですか―って……」
オレは途中で言葉を止めた。
―どこかで見た事のある犬だ。
「ありがとうございます……ってえええ……!」
茶色の犬もそうだった。
りんと揮はいつの間にかいなくなっている。
オレと犬はただ見つめあってお互いを確認している。
―犬の正体は、この前の犬だった。
……ま、まあ!さっきのはああいう前提で行っただけだし!
「お腹空いた……しかもかなり」
りんが空腹を訴える。それはりんだけじゃない。
三日くらい飲まず食わずで、オレ達は死にそうだった。
今も生死の狭間を彷徨っているだろう。
「そんな事考えてても仕方ないよ。あー、早く何か食べたい」
揮の言う通りだった。話していても腹は満たされない。
りんがハッと声を上げた。
「あそこにあるのって、……キャベツ?」
食べ物の名前に反応し、オレと揮はその方向を向いた。
一面に広がる緑色。大きく野菜が育っている。
ー畑か?
次の瞬間、揮とりんはキャベツの方に突進した。
生で食う気かよ。今は生でしか食べられないんだけど。
そう思いながら、オレも畑に入っていった。
幸い畑の人はいなかった。
そもそも犬ってキャベツいけるのか?
中身が人間だからいけるか。
一度周辺を見渡す。人がいないか確認するためだ。
そしてキャベツに夢中になっている二人を見ると、オレもキャベツを頬張った。
―最低限の食料はキャベツでいいだろう。
オレ達はキャベツを持ち、家に帰ろうとした。
街の道沿い。家までかなり近づいてきた。
その日は街のイベントがあったらしく、車が沢山通っていた。
「今日も特に何もなくて良かったね」
「死にそうになったけど」
会話をしながら歩くりんと揮を横目に、オレは道路を見た。
その時、オレはとんでもない光景が目に映った。
茶色の犬が道路を横断しようとしている。そこに車が迫ってきた。
運転手は、彼の事に気づいていなかった。
りんと揮も気づいていない。あのままだと、犬は轢かれてしまう。
オレは抱えていたキャベツを投げ捨てて、道路に飛び込んだ。
オレは犬を抱いて道路の外に出た。
オレが助けたその茶犬は、目をぱちくりさせて驚いている。
「大丈夫ですか―って……」
オレは途中で言葉を止めた。
―どこかで見た事のある犬だ。
「ありがとうございます……ってえええ……!」
茶色の犬もそうだった。
りんと揮はいつの間にかいなくなっている。
オレと犬はただ見つめあってお互いを確認している。
―犬の正体は、この前の犬だった。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
会うたびに、貴方が嫌いになる
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。
アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる