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九話 学園探索

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俺達がいるのは一階のようだ。わざわざ探索する場所に飛ばしてくれたのか?
まず図書室に向かうことにした。
向かうまでの光景を目にしていく。壁の汚れや質感、床の素材など間違いなく金白学園だ。ちょっと違う雰囲気だけど。
図書室に入ると、視界の右側に由梨先生が見えた。
「いらっしゃい。本を持っていないなら、借りに来たのかな?」
いつもと同じ優しい口調。ないよー君はすかさず返事をした。
「すみません、今日は良い本がないか見ていくだけにします」
「そう。いいわよ。沢山見ていきなさい」
先生からの許可が出ると、早速図鑑系が置いてある棚に向かった。
(この辺に俺がよく借りる「税金図鑑」っていうのがあったはず……)
目で一列ずつ本を辿っていくと、黄色の本が目に留まった。手にとってみると、やっぱり税金図鑑だった。
ないよー君と一緒に本を見ていくうちに、一つの疑問が浮かび上がってきた。
金白はこの時間、朝の会が終わって一限目なのに、由梨先生は「授業があるんじゃないの?」なんて口にしていない。
時計に視線を向けるが、10時23分だった。10時ならニ限目の途中だ。
図書室の時計が壊れているっていうのもあり得るから、時間の事は一旦置いておこう。
俺達は由梨先生に「ありがとうございました」とだけ挨拶すると、会議室に足を運んだ。

会議室はあまり使われていないから綺麗だった。
部屋に連なる机の上は何もなく、ホワイトボードがあったが何も書かれていない。
その後も少し漁ってみたが、特に何もなく体育館へと移動をした。

体育館は全体的にオレンジ色で、ステージのカーテンは閉まっていた。
「んー何かある?」
俺の声が体育館に響いた。俺とないよー君は手分けして十分程探索した。
それでも何もなかった為ステージ付近に集まった時、俺はふと上を見た。
そこには学園のロゴがあった。いつもと同じ―
の筈だった。
ロゴは丸の中に大きく「黒」と書かれていた。それがとても不自然で違和感を感じた。
「ポケっこ、どうしたの?上を向いて……」
ないよー君も俺が上を見ているのが気になって、一緒に上を見た。
「……なんか違う」
「え?何処が?」
俺はロゴの場所を指さした。ないよー君も怪訝な顔をしている。
俺達は上を見るのをやめ、ロゴについて考えた。
「確か丸の中に書いてあったのは「白」だったよね?」
ないよー君のお陰で違う点を理解した。
校歌を歌う時、音楽の先生が「あの「白」の字を見て歌いましょう」とか言ってたな。
「学校のロゴは学校名の漢字の一部を取り入れているよね」
ないよー君が小さく呟いた。
となると?何故「白」から「黒」になっているのか。

―ここは金白学園じゃないのか?

ロゴの事を頭の中に入れながら、俺達は最後の探索場所の職員室に向かった。
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