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人形に性別はあるか

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 空になったゴブレットに、レオがおかわりのワインを注ごうとするのをエステルは止めた。

「いや、もうやめておく。酔ってしまうから」

「そうか。じゃあこのくらいにしておこう」

 食器を片づけ始めるレオに、何故か気が引けてしまうエステル。

「すまないが、その食器は洗ってから厨房に返して欲しい」

 だからつい、レオ人形相手にすまないなどと口にしてしまう。

 食器を持って台所に行ったレオが戻ってくると、風呂の準備が出来たという。

「えっ? だって……いつの間に?」

 風呂を沸かすのは、重労働だ。
 井戸から水を何度も汲み、薪を燃やして湯を沸かさなければならない。
 時間もかかるはずだ。

「ありがたいけれど、人手がないから……」

 風呂には入りたいけど、エステルは介助が無ければ、一人で入れない。

「僕が手伝おう」

「レオが? 濡れても大丈夫なのか?」

『問題ない』

 レオはエステルの肩に手を回し、膝裏に手を入れると、横抱きにして軽々と風呂場へ連れて行く。

 脱衣場で椅子に座らされ、服を脱がされるとエステルは羞恥に顔を赤く染めた。

 ――レオは人形だ。恥ずかしくない。

 そう自分に言い聞かせるエステル。

 さっとレオも服を脱いで、裸になったエステルを再び抱きかかえ、浴室の中に入った。

  さっとレオも服を脱いで、裸になったエステルを再び抱きかかえ、浴室の中に入った。そして器用に手桶で浴槽のお湯をすくい、心臓から遠い足の方から徐々に身体の中心に向けてお湯をかける。
 それからふたり一緒に浴槽に浸かった。エステルはレオの膝の上に座って、背中を預けた格好だ。

 ふとエステルが思ったのは、レオの性別だ。男なのか、女なのか。人形に性別もないだろうが、製作者の意図というか……。
 背中に当たるレオの胸は平らで、女性のような胸の膨らみはない。

 では、股間に男根は……。いや、人形にそんなものがあるわけないか。
 気になるなら、見るか触るかすれば分かる。でもレオがどう思うだろう。

 なんとなく、レオのその部分は見ないでおこう、と決める。知らないままの方が良いこともあるし。
 それにしても人形がどう思うか気になるというのも、変な話だ。


 レオはエステルの身体を浴槽にもたれさせ、縁に首を当て上を向かせると、自分は洗い場に出てエステルの髪を洗った。

 髪を洗い終えると、今度は洗い場に置いてある椅子にエステルを座らせ、身体を洗い始めた。

 柔らかい布に石鹸を擦りつけて泡立てたもので、肌を傷つけないよう、マッサージするように洗っていく。

「あ、レオ。前の方は自分でやるから……」 

「大丈夫、まかせて」

 椅子に座っているエステルの前に膝をついて、洗い始めるレオ。
 うなじから鎖骨、それから脇の下、二の腕から指先まで丁寧に。

 コーレイン家令嬢であるエステルは、かつて入浴時には使用人にすべてまかせていた。
 騎士になってからは王城の近衛騎士宿舎に入ったこともあり、自分で身の回りのことはすべてするようになったのだが、病床に着いてからはまた乳母たち使用人に手伝ってもらっていた。
 だから、使用人に身体を洗われるのは慣れているはずだった。

 病身の痩せたエステルの身体を、労るように洗ってくれた乳母と比べ、レオは……。

 いつの間にか、座っている足の膝が開いて、その間にレオの身体が入るようにして密着して洗われていた。

「あっ……」

 双丘を柔らかく円を描くように、石鹸の泡をクッションのようにしてレオの繊細な指先が動く。
 レオは布を置いて、手で直に洗っていた。

 久しぶりに飲んだワインに酔ってしまったのか、頭がぼうっとする。
 檜風呂の香りにリラックスして温まった身体に、心地よいマッサージ。
 うとうとと眠りに誘われ、エステルはその身をレオに委ねる。

 くったりと椅子に寄りかかり、眠っているエステルの脚をレオは大胆に大きく開いた。
 そしてエステルの秘所にそっと触れる。

「こんなに蜜が……」

 金の和毛の下の花弁の合間から、トロトロと透明な蜜液が滴り落ちていた。

 
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