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第十五話 ルシフェルは直感を信じる
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「その、あれだ。リリスはどうも怖い夢を見てしまったらしいぞ。それで我の所に来たのだ。な?」
とっさに「かばう」方に判断の舵を切った。もし今回のことが公になればこの子は帝都に送られるだろうが、俺を手にかけようとしたということで、どんな目に合うかわからない。
もう一点、これは根拠も何もないが、彼女は傍に置いておかないといけないと勘が囁いている。俺は小五のある日、たまたま気が変わって普段と違う道で帰ったら、本来の帰り道でトラックが歩道に乗り上げて大事故を起こしたということがあって以来、自分の直感というものを信用することにしている。
「そうなのですか、リリス?」
「えと、リリスは……」
「さあ、もう一度休むといい。騒がせたな、ベル。もう戻って良いぞ」
ベルの問いに、リリスが馬鹿正直に答えてしまいそうだったので、慌てて彼女の口を抑えてフォローする。ベルは釈然としない様子だったが、自室へ戻って行った。しかし、一歩間違えれば俺がリリスを連れ込んで良からぬことをしようとしたと誤解されかねない場面だったな。信用って大事だ。
「リリス、さっきのことは我の胸中にしまっておく。お前もそうせよ」
小声で言い聞かせると、彼女は小さく頷いた。
「再確認しよう。さっきのは自分の意志ではないのだな?」
再び頷く。怯えようから、嘘を吐いているようには見えない。ふむ、どういうことだろうな? 例えば、神や天使に操られている? だが、仮説の域を出ない。ただ、この子に非がないなら、俺や周囲が腫れ物を触るように扱うことは、彼女を傷つけてしまうだろう。ならば、普通に接することが一番だ。
もう一度ベッドに横になり手招きをすると、やや躊躇していたものの、リリスも入ってきた。
きっと、少なくとも今日はもうあんなことは起こらないだろうという、無根拠の安心感、楽観と言ってもいいかもしれない――があった。
そして事実、何も起きなかった。
とっさに「かばう」方に判断の舵を切った。もし今回のことが公になればこの子は帝都に送られるだろうが、俺を手にかけようとしたということで、どんな目に合うかわからない。
もう一点、これは根拠も何もないが、彼女は傍に置いておかないといけないと勘が囁いている。俺は小五のある日、たまたま気が変わって普段と違う道で帰ったら、本来の帰り道でトラックが歩道に乗り上げて大事故を起こしたということがあって以来、自分の直感というものを信用することにしている。
「そうなのですか、リリス?」
「えと、リリスは……」
「さあ、もう一度休むといい。騒がせたな、ベル。もう戻って良いぞ」
ベルの問いに、リリスが馬鹿正直に答えてしまいそうだったので、慌てて彼女の口を抑えてフォローする。ベルは釈然としない様子だったが、自室へ戻って行った。しかし、一歩間違えれば俺がリリスを連れ込んで良からぬことをしようとしたと誤解されかねない場面だったな。信用って大事だ。
「リリス、さっきのことは我の胸中にしまっておく。お前もそうせよ」
小声で言い聞かせると、彼女は小さく頷いた。
「再確認しよう。さっきのは自分の意志ではないのだな?」
再び頷く。怯えようから、嘘を吐いているようには見えない。ふむ、どういうことだろうな? 例えば、神や天使に操られている? だが、仮説の域を出ない。ただ、この子に非がないなら、俺や周囲が腫れ物を触るように扱うことは、彼女を傷つけてしまうだろう。ならば、普通に接することが一番だ。
もう一度ベッドに横になり手招きをすると、やや躊躇していたものの、リリスも入ってきた。
きっと、少なくとも今日はもうあんなことは起こらないだろうという、無根拠の安心感、楽観と言ってもいいかもしれない――があった。
そして事実、何も起きなかった。
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