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第三十七話 六月二十三日(土) 映画館デートで幸せ!

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「ねえ、ユー。映画観に行かない?」

 そんな電話が、エレンちゃんから、朝かかってきました。

「いいけど、わたし、ちょっとおサイフ厳しいよ?」

「私の奢り。一日早いけど、これが誕生日プレゼント」

 ほむ。

「アニメでも見るの?」

「恋愛映画よ? それも女同士の」

 ひょわ!? また、前衛的な!

「ちょっと……観たいかも。でも、小学生だけで見れるのかなあ?」

「いざとなったら、私が中学生ってことにしとく。少し高くなっちゃうけど」

 さすが、エレンちゃん。策士だな~。

「わかった。メイクしてから行くね。お昼はどうしよう?」

「ポップコーンぐらいだったら、それも奢っちゃうよ」

「わあ、ありがとう!」

 そんなわけで、駅ビルの映画館でデートとなりました!


 ◆ ◆ ◆


「待った?」

 エレンちゃんが先に来ていたので、まずはお約束の言葉。

「ううん。せいぜい五分ぐらい。ユー、メイク決まってるね」

 そこは「いま来たとこ」じゃないのね。それはさておき、許してくれてるみたいで良かった。

「エレンちゃんも、きれいだよ」

「ありがと。入ろ」

 特に視聴制限とかはないようで、小学生だけでも見れるよう。

 ポップコーンとコーラっぽい飲み物を片手に上映を待っていると、照明が暗くなってきました。

 予告編や注意事項のあと、ついにはじまりはじまり~!

「私、好きな人がいます。でもそれを打ち明けていいのか、いつも悩むんです」

 そんなモノローグから開始。

 どうやら、親友を好きになってしまった少女の物語みたい。

 恋心を打ち明けたら、今の良好な関係が壊れてしまうかもしれない。

 そんな恐れと、孤独な戦いをする主人公。

 やがて、別の級友も主人公への想いを打ち明けてきて……。

 なんだか、わたしたちみたいだな。ユシャンちゃんも、こんな葛藤を抱えてたんだな……。すごい勇気が必要だったんだろうな。

 ごめんね。

 そんなことを考えていると、エレンちゃんが手を握ってきたので、きゅっと握り返す。

 恋心を打ち明ける決心をし、それが無事受け入れられて、二人は幸せなキスをして終了。

 どうしよう。感動で涙出てきちゃった……。

 余韻を残すスタッフロールも終わったので、わたしたちも席を立つ。

「感動で、思わず泣いちゃった」

「メイク、崩れてる」

「えっ、ちょっと直してくる」

 せっかくなので、エレンちゃんもお付き合い。

「ユー。私、今すごく気分・・になってるの。キスしよ」

「えーっ? ここで!?」

「個室があるでしょ」

 まさかのトイレキス。いかがわしい!

 でも、わたしもムズムズ。

「じゃあ、うん……」

「そうこなくちゃ!」

 個室で、ディープキスを交わすわたしたち。

 へ、変態チックでコーフンするぅ~……!

 思う存分キスすると、ちらっと様子を見て、誰もいないのを確認して、外に出る。

「あ~……ドキドキした~」

「私も」

 ミステリアスに微笑む彼女。

「ね、うち来ない? もっとしよ?」

 わたしも、まだ興奮冷めやらない。

「……うん」

 かくして、フェルマイん家へ。

 今日は土曜なので、ご両親ご在宅。

「こんにちは」

「こんにちは」

 ご挨拶を交わします。

「ユー、部屋行こ」

「うん」

 こうして、導かれるままに、彼女の部屋へ。

「じゃ、しよっか」

 囁かれる。

「えっ!? さっそく!?」

「気分がノッてるうちにやるから、いいんじゃない」

 恥ずかしいけど、ミステリアスな笑みに逆らえずうなずく。

 ちゅっ……。

 ご両親が入ってきたらどうしよう……。そんな背徳感が、より興奮を掻き立てる。

 結局、キスをし終えるまでノック一つなかったけど、すごくドキドキした……!

「ユー。良かったよ……」

 頬を愛撫される。

「エレンちゃんって、ほんとダイタンだよね……」

「そこが好きなんでしょ?」

「……うん」

 ああ、ほんとに彼女に、メロメロなのです。

 その後も、夕方前までいちゃついていたのでした。
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