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第三十四話 六月二十日(水) エレンちゃんと、例によってイチャイチャのイチャイチャで幸せ!

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 最近、水曜日はエレンちゃんといちゃつく日になっている。

 今日は、彼女の家でなく、うちでおもてなし。

 親の目……というか、耳があるから、あんまりハデなことできないけど。

「ユー。ハグとキスしよ」

 さすがエレンちゃん。開幕グイグイ来る。わたしもやぶさかではないので、抱きしめてキス。

 ああ、エレンちゃん、唇も体も柔らかいなあ。なんか、同性愛者で良かったって思う。

 どのぐらい、そうしていただろう。もう、キリがなくて、いつまでもこうしていたい。

 ぷはっ!

 互いに息苦しくなって、唇を離して、唾液をティッシュで拭う。

「やっぱり、ユーと私、相性サイコーだね」

 くすりと、ミステリアスな笑みを浮かべる彼女。

「飲み物ぬるくなっちゃうし、ケーキ食べない?」

 ちょっと照れくさくなって、ケーキと紅茶を勧める。

「そうね。いただきましょう」

 ケーキと紅茶を楽しみながら、学校でのことや、こないだ知り合った、ハーちゃんフーちゃんコンビについて話す。

「へー。お友達の輪が広がってるね。私にも、紹介してもらおうかな」

「うん! それにしても、誕生日楽しみだなー」

 今週日曜の、誕生日に思いを馳せる。

「ユーの誕生日、誰が来るの?」

「えーと、絵恋ちゃんはもちろん、ユシャンちゃん、レィナちゃんでしょ? あとリャンさん一家は来ると思う。アユムさんたちは申し訳ないけど、席がないんで、お知らせだけかなー?」

 もっと、広かったら良かったんだけどね、うち。

「賑やかだね。ユーを独占できないのが残念」

 ひょわ! ダイタンですよ、お嬢さん!

「それはさておき、あ~ん」

 エレンちゃんのムーブは、ケーキだろうと変わらない。

 ぱくっ。甘くて美味しい。そして、照れくさい。

「エレンちゃんも。あ~ん」

 恥ずかしげもなく、ぱくっといく彼女。鋼メンタル。

「美味しいね。ユーに食べさせてもらうとひとしおだよ」

 あーん、もう! この前向きさんは!

「もっかいキスとハグしよ。ふふ、ユーの唇見てたら、ムラムラしちゃった」

 ひゃう! このダイタンさん~! でも、わたしもやぶさかじゃない。

 さっそく、互いを抱きしめ、舌を絡ませる。

 あむっ……! んむっ……!

 気持ちいいよお……。とろけちゃいそう。

 すると、スリッパの音がぺったんぺったんと近づいてくるので、慌てて離れる。

 ノック。

「誰ー?」

「僕だけど、アプリコットクッキー焼けたから、持ってきたよ」

 あーん、もう! お父さん間が悪い!

 口元を拭いて、トレイを受け取る。新しい紅茶付きだ。

「なんか、続きする空気じゃなくなったね」

「だねー。お父さん、せめてあと五分遅く来てくれればなー」

 文句を言いつつも、相互あ~ん。

「うちだとアメリが、ユーんちだとご家族がねー」

「でも、アメリちゃんケージ入れたままじゃ可哀想だし、わたしもアメリちゃんモフりたいし」

「そこだよねー」

 二人でため息。幸せ二つ、さようなら。

「いっそ、大通りとかでやる?」

「そ……それはただのバカップルです、エレンさん」

「冗談」

 ミステリアスな笑み。ほんともう、いたずら気質なんだから……。

 でも、この笑顔されると、大抵のことは許せちゃうんだなあ。

「エレンちゃんの微笑みってさ、ミステリアスでチャーミングだよね」

「そう? ありがとう。ユーの笑顔もかわいいよ」

 互いに微笑み合う。ああ、幸せな時間だ。

「それにしても、ユーのお部屋はほんと女の子趣味全開だよね」

「えへへ~ありがと~」

 つい、緩んでしまう。ぬいぐるみに、お花、リリアン、少女小説などなど。これでもか! ってぐらい、女の子してます。

「ほんと、ユーって女の子してるとき、幸せそうだよね」

「うん! 前世で、大変な思いしたからね!」

「前世に、GIDかあ……なんか、共感してあげにくくてごめんね」

 申し訳無さそうな顔をする彼女

「こればっかりは、体験しないと分かりづらいかもね。アユムさんも、苦労してるようだし」

 あれから、ちょくちょく個人的にアユムさんに電話している。とにかく、「前世の男の子の影響で、女の子らしくできない」のが悩みだそうで。

 GIDまでいかないけど、軽くはない問題だ。

 そういう意味では、転生仲間だし、わたしが一番アユムさんに寄り添えるのかもしれない。

「あ。もうこんな時間。ユーといちゃついてると、あっという間だね。お別れのキス」

 ちょんちょんと、自分の唇をつつく彼女。

 ちゅっとキスして、玄関まで送るのでした。
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