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第二十九話 六月十二日(火) お祝いパーティーで幸せ!

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「ユーちゃん、お母さん、早く行こう?」

「急かさないで~」

「そうですよ。女の支度は、時間がかかるんです」

 お母さんといっしょにメイク中。お父さんはため息。

 でも、メイクしてもバカにされないどころか、きれいって言ってもらえるの、嬉しいなあ。女に生まれて良かった!

「おまたせ~」

 お母さんと同時にフィニッシュ! なんか、この時点でお父さん疲れてるね。

 お隣の呼び鈴を鳴らすと、ユシャンちゃんが出てきました。彼女も、いつになくおめかしモード。

「こんばんは。入ってください」

 というわけで、三人でおじゃましまーす!

「やあやあ、今日はお祝いしてくださり、ありがとうございます」

 おじさんも出迎えに来て、ご挨拶。

「こちら、ケーキです」

「いつも、祝い事のたびにすみませんねえ」

「いえいえ、家業ですから」

 なんて、お父さん同士でご挨拶。

「こんばんは。お食事の用意、できましたよ」

「ほいさ。じゃあ、こちらへどうぞ」

 ダイニングに通される、わたしたち。

 勧められて着席すると、リャンおじさんがケーキの箱を開ける。ラドネスブルグ名物、チョコレートをふんだんに使ったホールケーキ。

「おお、これはいいものを」

「ありがとうございます。そうおっしゃっていただけると、職人冥利に尽きますよ」

 どうも、大人同士の会話は堅苦しいね。

「次はユーの番だなー」

「そうそう! 誕生会、みんなも誘うね!」

「プレゼント、なんにしよ」

 考え込むユシャンちゃん。おめかしのおかげか、可愛いというよりきれい。

「心がこもってれば、なんでもー」

「じゃあ、ファッション誌にでもするかね」

「ありがとー」

 なんて会話をしてると、おじさんが、「ろうそく吹き消すよ」というので、みんなで見守る。

 ふーっと息がかかると、蝋燭の火が消えたので、みんなで拍手。

「いや~、また一つ歳をとったなあ」

「いいことじゃないの」

「あたしゃ、早く大人になりたいよ」

 なんて、チャン家のみなさん。大人かー。二週目の人生では、幸せに全うできるといいな。せっかく女に生まれたんだし。

 アユムさんも、前世で早くに亡くなったのが未練で、長生きが夢なんですって。

 おっと、お祝いの席で思いを巡らせることじゃないね。

 ケーキが切り分けられて、配られる。

「それじゃ、いただきます」

 おじさんの音頭取りで、ケーキに手を付ける。う~ん、美味しい~! さっすが、お父さんとお母さんの仕事!

 これに、紅茶がまた合うんだ~。

「さ、ユシャンとユーちゃんの大好きな唐揚げだよ」

「おお!」

「ありがとうございます~!」

 みんなに、わたしたちの大好物が振る舞われ、ユシャンちゃんと盛り上がる!

 サクッ、じゅわっ!

 こっち・・・では、なかなか食べる機会のないタイオウ料理に舌鼓。

「美味しいです~!」

「ありがとうね」

 おばさんも、笑顔!

 その後も、焼売などの一品料理が次々振る舞われる。

「はう~……。もう食べられないです~」

 お腹いっぱい。烏龍茶をいただく。

「ユーちゃんは、少食だねえ」

「えー? 結構食べたよ? ほんと、美味しかったんだもん」

 お父さんの、気の利かない言葉に反論。

「いやあ、いい食べっぷりでしたよ。頑張って作ったかいがありますよ」

 おばさんも、同意してくれる。

「ユー、今日は、久々にゆっくりしてきなよ」

「そうだね。そういえば、そういうの久しぶりかも」

 そんなわけで、一足先に二人でごちそうさまして、ユシャンちゃんのお部屋へ。

「マオちゃ~ん、大きくなったね~!」

「うん。アメリはどう?」

「アメリちゃんも、すくすく育ってるよ~」

 さっそく二人で、レッツ・もふもふ!

 みぃみぃ鳴いて、可愛い~! 仔猫ちゃんは、反則的な可愛さだね!

 ユシャンちゃんの本も、猫のが多くなったな~。

 親友と、マオちゃんと、ゆったり戯れて幸せ!
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