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第二十四話 六月二日(日) レィナちゃんを応援して、幸せ!

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 爽やかな日曜の朝、わたし、朝食のトーストをかじってて思いました!

 わたし、レィナちゃんを応援するって決めたのに、何もやってない! がーん!

 さすがにこれはどうかと、歯磨きし終わると、レィナちゃんに電話するのでした。

「レィナちゃん! 最近ちょーしはどうですか!?」

「調子はどうですかって、唐突だなあ。フツーだよ、フツー」

「あ、ごめん。ちょっと焦りすぎちゃった。ユシャンちゃんとの仲!」

 ふう。落ち着け、わたし。

「えー? そっちもフツーだよー?」

「仲は進展してないの!?」

「あー、まー、フツー?」

 フツー連呼ガールと化してしまったレィナちゃん。身勝手かもしれないけど、わたしは、二人の仲を進展させることに決めました!

「レィナちゃん! そこは大胆アタックだよ!」

「うお!? どうした急に」

 いけない、大声出しちゃった。

「ごめん、大声出して。でも、ユシャンちゃん振ったのはわたしかもだけど、その傷を癒せるのは、レィナちゃんしかいないんだよ!」

 ザ・わがままガール。でも、ごめんなさい。わたしには、これぐらいしかできないの。

「おおう……。なんか、圧が強いな」

「あ……うん、ごめん」

「いや、別に責めてねーけど」

 流れる、微妙な間。

「レィナちゃん、わたしにできることがあるなら、なんでもするから!」

「おう……ほんと、圧強いな。いや、そう言われてもなあ……」

「デートしようよ、デート! わたしも、昨日エレンちゃんとしたし!」

 電話口から、「ええーっ!?」という、大声が流れてきたので、耳を離す。

「マジか!」

「マジで!」

 「ほえ~……」という、呆れ声なのか、感心なのかわからない声が聞こえてくる。

「進んでんなあ、ユーたち……」

「だから、レィナちゃんも、この勢いで!」

 また、「お、おう……」と尻込ませてしまいました。う~ん、つい力が入ってしまう。

「レィナちゃん! デートプラン練ろう! ユシャンちゃんとの!」

「マジで!?」

「マジで!」

 こうして、レィナちゃんとユシャンちゃんの、デート大作戦のプランを練るわたしたちでした。


 ◆ ◆ ◆


 ピンポンと呼び鈴が鳴る。出ると、レィナちゃんの姿。

「よっ。じゃあ、行ってくっから」

「応援してるよ!」

 レィナちゃんが、さっそくユシャンちゃんのおうちに向かったので、つばの広い帽子を被る。サングラスが、この世界にもあったら良かったんだけど。

 ひと足お先に、二人が出てくるであろう場所を、隠れて見張る。

 バレないかな? バレないよね?

 普段、あまり着ない服着てるし、多分だいじょーぶ!

 出てきた!

 位置も風下。耳を向けると、二人の声が、風に乗って聞こえてくる。

「急に誘って、悪りーな」

「構わんよ。マオも寝ちゃって、暇してたし」

 うん、いい出だし!

 レィナちゃん、全然緊張してないの凄いなー。

「その、さ。最近どうよ?」

「どうって、フツーだけど?」

 あうう、ユシャンちゃんまでフツーガールに。

「じゃあ、具体的に。新しい恋とか、その始める気ねえ?」

「ハァ!? なにそれ、急に」

 ごめん、私の考えた台本、初っ端しくじったぽい。

 えー!? 失恋したヒロインは、新しい恋に向かっていくもんじゃないの!? 前世の少女漫画知識だと!

「いや、気に障ったならごめん。ただその、ユシャンを好きな子が、案外身近にいるよって話で」

「そうなん?」

 ユシャンちゃん、キョトン。

「そのー、さ。アタシじゃダメかなーって」

 レィナちゃん直球! ストーンが勢いよくぶつかる!

「お前かい! いや、友人としては、大好きだよ? でも、恋愛対象かー……。ちょっと、考えさせて」

 ベンチに座る二人。わたしは、尾行中につき、立ちんぼ。

「ユシャン、ユーに振られて、泣いてたじゃん」

 ぐさっ。ほんとごめん!

「でさ、アタシそれ聞いてたら、『あ、ユシャン守ってやんねーと』って思っちゃったんだけど……おかしいかな?」

「あー……恥ずかしい泣き言聞かせたね」

「恥ずかしくねーよ! アタシも……ユシャンに振られたら、いやごめん。今のは聞かんかったことにして」

 なんか、わたしが中心人物になってる~……。もちろん、こんな流れは予想してませんでした! 軍師失格!

「そう言われたら……断れないじゃん。お試しで、付き合ってみる?」

「いーのか!?」

「ん。ところで、ユー!」

 ドキーン!

「隠れてないで、出てきなー。こっそり聞いてることぐらい、わかってるかんな」

「あー……ゴメン。バレバレだった?」

 いそいそと、二人の前に出る。

「十年以上の付き合いだからな。というわけで、あたしらつきあってみるわ」

「何かごめんね。色々と、ほんと」

「謝んなし。もう、それほど引きずってないよ」

 ユシャンちゃんが手を差し出すので、握手で返す。

「というわけで、デートの続きしよーか。ユー、こっから先は、レィナとのプライベートだから」

「うん。立ち聞きしてごめんね。レィナちゃんが、心配だったから。楽しんできてね」

 手をひらひら振るユシャンちゃんに、手を振り返す。レィナちゃんは、ちょっと恥ずかしそう。

 わたしが言えた立場かわからないけど、二人が上手くいくといいな!
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