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第二十一話 五月二十七日(火) アユムさんと会って、幸せ!

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「ユーちゃん、まだかい?」

「ちょっと待って~。メイクが決まらないの~」

 お父さんに急かされつつ、メイクで試行錯誤。

「お母さんもだけど、女性の支度って時間かかるよねえ。向こうさん、待たせたら悪いよ?」

「わかってるけど~。……どう、お母さん? おかしくない?」

「うん。きれいよ。バッチリ!」

 少し、時間オーバーしちゃったかな? 急いで行かないと!

 今日は、アユムさんと会う日!

 どんな人なんだろう? 期待半分、不安半分……。


 ◆ ◆ ◆


 互いに、ちょうどいいでしょうと提案したのが、駅ビルの喫茶店。初めて来たけど、落ち着いた感じのカフェ。

 目印に、ジュニア向けファッション誌を机の上に置いてあります。

「失礼します。マヌエルさん?」

 不意に、イケメンさん……声で、女性だとわかるけど、そんな人に話しかけられました。お父さんらしき、おじさんと一緒です。

「はい。もしかして、トマルナーさん?」

「はい! こうして会うのは、はじめましてですね。お向かい、いいですか?」

「どうぞ!」

 着席して、それぞれ飲み物を注文するお二人。

「はじめまして。アユム・トマルナーです」

「父の、アルク・トマルナーです」

 頭を下げて、自己紹介してきます。

「はじめまして。ユーフラジー・マヌエルです」

「父の、ジャン・マヌエルです」

 こちらも、頭を下げて自己紹介。

 なんだか急に、保護者同伴というのが、恥ずかしくなってくる。アユムさんも照れてる。ふふ。お互いに、お年頃ですね!

 とりあえず、女子中学生というのは、ほんとだったようで。私より、少しお姉さんだね。ちょっと、レィナちゃんに雰囲気が似てるかも。

 その後は、子供同士、大人同士でトーク。

「あの。アユムさんのお知り合いの、ユーフラジーさんって、どんな方なんでしょうか?」

「教会で出会った、女の子の幽霊でね。ボクたちが、昇天させてあげたんだ」

 そう言う顔は、どこか寂しげ。

「幽霊ですかー。同じ名前のよしみで、一度会ってみたかったですね」

 アップルティーを一口。

「疑わないんだね?」

「わたしも、転生してますし。アユムさんを疑うのも失礼ですし」

「ボクも、転生者だからねえ。バーシ……ボクの彼女なんだけど、この子が大のオカルト好きでね……」

 へー、彼女さん! アユムさんも、女の子と付き合ってるんだ!

 その後、互いの友人の話になり、趣味の話になり。

 アユムさんは、大の健康オタクとのこと。互いに、前世の未練が趣味になっているようで、アユムさんは、前世では早死にしてしまったらしい。

「ユーフラジーさんは……」

「ユーでいいですよ」

「じゃあ、遠慮なく。ユーちゃん、前世はそういう感じだったんだねー。前世の影響で、女の子らしさがニガテなボクと、真逆だねえ」

 そう言って、アユムさんもトマトジュースを飲む。

 アユムさんも前世は男の子だったけど、心は普通に男だったので、それに引きずられて、少しやりにくいみたい。わかります。

「うち、『トマラン』っていう食堂なんだ。ルンドンベアに寄ることがあったら、食べに来てくれると嬉しいな」

「うちも、スイーツショップを……。そうだ」

 ポシェットから、紙包みを取り出す。

「これ、うちで出しているクッキーです。よろしければ」

「うわあ、ありがとう! なにか、お返ししないと」

「いえ、気にしないでください」

 紅茶をもう一口。

 そんな感じで、話も盛り上がってきたけど、もうすぐ夜になってしまうので、解散することにしました。

「お話、楽しかったです。また、会いましょうね」

「うん。今度は、友達も連れてくるよ」

 互いにお辞儀。お父さんたちも、別れの挨拶を交わします。

「それでは、また」

 もう一度お礼して、退店。そのまま、バスで自宅へ。

「いい子だね、アユムさん」

「うん! すごく、気が合う! みんなにも、会わせてあげたいな!」

 こうして、初めての対面は、楽しく終わりました。

 ところが翌日、困ったことが……。
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