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第十六話 五月十八日(日) 恋人と、いちゃついて幸せ!

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「ユーの部屋、可愛いね」

 わたしのお部屋を、興味深そうに眺めるエレンちゃん。

 わたし、女の子女の子したもの、大好きだからね。そりゃもう、お花だのぬいぐるみだの、全体的に淡いピンクだったりの、女の子部屋ですとも!

「恥ずかしいよ~」

 とか思いつつも、ちょっとあざとく照れてみたり。

「ふふ。照れるユーも可愛いね」

 きゃー! 聞いた!? 聞いた!? やだ、何その口説き文句! 腰が砕けちゃう~!

 女の子同士って、最初どうなんだろうって思ったけど、こんなにも、ドキドキほわほわするんだなあ~。

 前世のわたし。相手が男の子じゃなくて、ゴメンね!

「ねえ、ユー」

「なあに?」

「ユーにキスしたい」

 思わず、「ほわあっ!?」などと、変な声を上げてしまう。

「え、いやそんな、急に言われても……」

 心臓が、バックバク!

「嫌?」

「いやその、嫌とかというより、まだ早くない?」

 視線を泳がせて、しどろもどろ。

「じゃあ、いつならいい?」

 例の、ミステリアスな笑顔。ああ、わたし、これに弱いんだ。

「い……いつと申されましても……」

 もう、言葉遣いまでおかしい。

「ふふ。大胆な告白してきたのに、意外とオクテなんだね。そんなとこもかわいいなー」

 いたずらっぽく微笑まれる。ああもう、顔がアツアツだよう!

「わかった。ユーがその気になったらね」

 人差し指で、自分の唇をちょんちょんする彼女。ああもう、なんでこんなにいちいち動作が色っぽいんだろ。

 そのとき、不意に扉がノックされる。

「お茶とケーキ、持ってきたわよ-」

 お母さんだ。なんだか、空気がブレイクしてほっとする。

「はーい。入って-」

「お邪魔するわね」

「ありがとうございます」

 ケーキとお茶が配膳され、お礼を述べるエレンちゃん。わたしもお礼を言う。

 お母さん、わたしの顔見て「あらあら」なんて言って。うう~、顔に出てるのはわかってますよぅ。

「それじゃ、ごゆっくり~」

 手をひらひら降って、出ていくお母さん。

「ねえ、ユーは私のどこが気に入ったの?」

 真剣な表情で尋ねてくる。

「んー……上手く言えないんだけど、ミステリアスなところ?」

「なにそれ」

 そう言って、くすくす笑う。

「なんか、うまく言葉にできなくてごめんね。でも、ほんとそこに、キュンってきちゃって。逆にエレンちゃんは、わたしのどこが良かったの?」

「一言で言うなら、やっぱ、女の子らしいところかな。お人形さんみたいで可愛い! って、一目惚れしちゃった」

 一番言われて嬉しい言葉を言われて、「ありがとう……」と小声で言い、思わずうつむく。もう、好きすぎて直視できないよぉ……。頬が熱い。

「ねえ、ほっぺた触っていい?」

「ひゃい?」

 照れくささマックスのところに、そんな提案をされて、変な声を出してしまう。

「ダメ?」

 ミステリアスなほほ笑みを浮かべ、小首をかしげる彼女。うぅ……。その笑顔に弱いのぉ……。

「それぐらいなら……いいよ」

「ありがと」

 ほっぺたに、柔らかな感触を感じる。は、恥ずかしい~!

「ユーのほっぺた、熱い」

 ああ……わたし、心臓がバクハツしそう! これでキスなんかしたら、また死んじゃうとこだった!

「あの、ね。エレンちゃん」

「なあに?」

「ユシャンちゃんの前では、こういうのしないでね。その、さっき振ったばかりなんだ。エレンちゃんは気づいてないかもしれないけど、彼女もわたしに恋してて……」

 そう言うと、くすくす笑い出す。ほえ?

「とっくに気づいてたよ。逆に、ユーが気づいてなかったんだ。わかった。ユシャンの前では、こういうのやめるね」

 がーん! わたし、鈍感ヒロインだった!

「ありがとう……。うう、恥ずかしい」

 穴があったら入りたい。

「気にしないで。それだけ、私に夢中だったってことだよね。嬉しいよ」

「そう言ってもらえて、助かるよ……。ねえ、わたしもエレンちゃんのほっぺた、触っていい? なんか、不公平」

「もちろん」

 彼女のほっぺたに触る。熱い。彼女も、わたしに熱くなってるんだ。

 そうやって、どのぐらいの時間か、互いに触り合っていたけど、唐突なノックで、我に返る。

「ユーちゃん、もうだいぶ日が傾いてるわよ? エレンちゃん、帰さなくて大丈夫?」

 お母さんだ。もう、そんな時間か……。時間が経つの、早いな。

「はーい! ……エレンちゃん、暗くなると危ないから。道、わかる?」

「まだ。学校まで送って」

 そう言って、微笑む彼女。ああ、ほんともう、それにメロメロです。

「じゃあ、行こ!」

 こうして、エレンちゃんと恋人つなぎでお手々つないで、学校まで送るのでした。また明日!
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