15 / 49
第十五話 五月十八日(日) 恋人ができて、幸せ!
しおりを挟む
どのぐらい、そうしていただろう。
やがて、彼女から拘束を緩めてくれた。
「みっともないとこ、見せてごめん」
鼻声で、そう言うユシャンちゃん。
「ううん。わたしこそ、ごめんね」
それを言うのが精一杯で。涙と鼻水で濡れた胸元を、春風が冷やす。
「ユーは、なんも悪くないよ。堂々と、エレンと付き合いな」
でも、大親友は鼻声で。
「ごめんね。相思相愛だったら良かったのにね」
「言うな」
そうだね。もう、言ってもしょうがないこと。
「せめてわたしたち、幸せになるね」
「ならんかったら、許さん」
うん、うん。
「ユシャンちゃん、変わらず親友でいてくれる?」
「わからん。まだ、心の整理つかん」
「都合の良いお願いだけど、大親友のままでいられたらいいな」
鼻をぐずっとすすり、「善処する」なんて、難しい言い回しをする彼女。
「じゃあね、私の一番の大親友!」
ユシャンちゃんをぎゅっとハグすると、それぞれ自宅へ戻りました。
◆ ◆ ◆
さ・て。
ユシャンちゃんについては、とにもかくにも、決着が着いた。
となると、やることはただ一つ。
受話器を握りしめる。うう……心臓がバクハツしそうだよぅ!
ずいぶん唸ってたけど、意を決して、ダイヤル! アユムさんも、「押せ押せだよ!」って言ってたし!
「はい、フェルマインです」
「あ! その声、エレンちゃん!?」
「ユー! 嬉しいな。ちょうど、ユーと話したかったんだ」
心臓が、バクバクするぅ~! 落ち着けー。深呼吸~!
「あのっ! わたし、その、エレンちゃんのこと、なんかいいなって思ってて……その……あの……好き! 恋愛的な意味で! お付き合い、してくれないかな!?」
頭と心臓がどうにかなりそうなので、一気に言い切る。
間。
「嬉しい……。私も、ユーのこと、そういう意味で好きだったから……。ふふ、相思相愛だったんだね」
頭が真っ白になって、体の芯から、あったかいものが広がっていく。
「ありがとう……!」
涙が、ぽろぽろこぼれてくる。
「正式に、恋人、なろう?」
「うん……! うん……!」
感極まって、それしか言えなかった。
わたし、ひどい女の子だね。親友振った直後に、こんなに幸せな気持ちになって。ごめんね、ユシャンちゃん。身を引いてくれて、ありがとうユシャンちゃん。
色んな感情がぐちゃぐちゃになって、ひたすらに泣き倒してしまうわたし。エレンちゃんは、そんなわたしを、うん、うん、と相づちを打って、受け止めてくれました。
会いたいな。今すぐ会いたい!
「ねえ! 今、会えないかな!?」
「今? いいよ」
やった! やった! やった!
「どこで会う?」
「ユーの家、行ってみたいな」
うち!?
うわあ、うわあ……! エレンちゃんがおうちに来るううう!?
「わかった! 迎えに行ったほうがいい!?」
「そうしてくれると助かるかな。学校前で落ち会お?」
「うん! すぐ着替えていく!!」
空をふわふわ飛ぶような気持ちで、おめかしして家を出るのでした。
◆ ◆ ◆
校門前でそわそわして待っていると、来た! 来ましたよ!
「待った?」
「ううん、いま来たとこ」
うふふ。デートのお約束セリフだ~!
「じゃあ、行こ!」
恋人つなぎで、ふわふわ気分で歩いちゃいます。
ああ、見慣れた風景が、とても新鮮に見える!
花が綺麗! 空が蒼い! お日様があったかい! ああ! 世界って、こんなに素晴らしいのね!
プールでの疲れなんて、吹っ飛んじゃったよ!
気づいたら、家に着いてました。店側から、一度入る。
「おや、ユーちゃん。その子は?」
「お友達のエレンちゃん! 前話したでしょ?」
エレンちゃんに目配せ。お父さんには、まだシゲキが強そうだからね-。
「エレン・フェルマインです。今日は、お邪魔しに伺いました」
お行儀よく、お辞儀する彼女。
「いらっしゃい。遊びに来たのね。ありがとう」
ケーキを、お客さんに渡し終わったお母さんも、挨拶する。
「よろしくお願いします」
またも、ぺこりとお辞儀するエレンちゃん。
「それじゃふたりとも、仲良くね」
状況を察したであろうお母さんが、ウィンクする。
「はい!」
ハモってお返事。
「じゃあ、裏口に回ろ」
ああ! いきなり恋人のお招き! わたしってば、ダ・イ・タ・ン! ドキドキするぅ~!
やがて、彼女から拘束を緩めてくれた。
「みっともないとこ、見せてごめん」
鼻声で、そう言うユシャンちゃん。
「ううん。わたしこそ、ごめんね」
それを言うのが精一杯で。涙と鼻水で濡れた胸元を、春風が冷やす。
「ユーは、なんも悪くないよ。堂々と、エレンと付き合いな」
でも、大親友は鼻声で。
「ごめんね。相思相愛だったら良かったのにね」
「言うな」
そうだね。もう、言ってもしょうがないこと。
「せめてわたしたち、幸せになるね」
「ならんかったら、許さん」
うん、うん。
「ユシャンちゃん、変わらず親友でいてくれる?」
「わからん。まだ、心の整理つかん」
「都合の良いお願いだけど、大親友のままでいられたらいいな」
鼻をぐずっとすすり、「善処する」なんて、難しい言い回しをする彼女。
「じゃあね、私の一番の大親友!」
ユシャンちゃんをぎゅっとハグすると、それぞれ自宅へ戻りました。
◆ ◆ ◆
さ・て。
ユシャンちゃんについては、とにもかくにも、決着が着いた。
となると、やることはただ一つ。
受話器を握りしめる。うう……心臓がバクハツしそうだよぅ!
ずいぶん唸ってたけど、意を決して、ダイヤル! アユムさんも、「押せ押せだよ!」って言ってたし!
「はい、フェルマインです」
「あ! その声、エレンちゃん!?」
「ユー! 嬉しいな。ちょうど、ユーと話したかったんだ」
心臓が、バクバクするぅ~! 落ち着けー。深呼吸~!
「あのっ! わたし、その、エレンちゃんのこと、なんかいいなって思ってて……その……あの……好き! 恋愛的な意味で! お付き合い、してくれないかな!?」
頭と心臓がどうにかなりそうなので、一気に言い切る。
間。
「嬉しい……。私も、ユーのこと、そういう意味で好きだったから……。ふふ、相思相愛だったんだね」
頭が真っ白になって、体の芯から、あったかいものが広がっていく。
「ありがとう……!」
涙が、ぽろぽろこぼれてくる。
「正式に、恋人、なろう?」
「うん……! うん……!」
感極まって、それしか言えなかった。
わたし、ひどい女の子だね。親友振った直後に、こんなに幸せな気持ちになって。ごめんね、ユシャンちゃん。身を引いてくれて、ありがとうユシャンちゃん。
色んな感情がぐちゃぐちゃになって、ひたすらに泣き倒してしまうわたし。エレンちゃんは、そんなわたしを、うん、うん、と相づちを打って、受け止めてくれました。
会いたいな。今すぐ会いたい!
「ねえ! 今、会えないかな!?」
「今? いいよ」
やった! やった! やった!
「どこで会う?」
「ユーの家、行ってみたいな」
うち!?
うわあ、うわあ……! エレンちゃんがおうちに来るううう!?
「わかった! 迎えに行ったほうがいい!?」
「そうしてくれると助かるかな。学校前で落ち会お?」
「うん! すぐ着替えていく!!」
空をふわふわ飛ぶような気持ちで、おめかしして家を出るのでした。
◆ ◆ ◆
校門前でそわそわして待っていると、来た! 来ましたよ!
「待った?」
「ううん、いま来たとこ」
うふふ。デートのお約束セリフだ~!
「じゃあ、行こ!」
恋人つなぎで、ふわふわ気分で歩いちゃいます。
ああ、見慣れた風景が、とても新鮮に見える!
花が綺麗! 空が蒼い! お日様があったかい! ああ! 世界って、こんなに素晴らしいのね!
プールでの疲れなんて、吹っ飛んじゃったよ!
気づいたら、家に着いてました。店側から、一度入る。
「おや、ユーちゃん。その子は?」
「お友達のエレンちゃん! 前話したでしょ?」
エレンちゃんに目配せ。お父さんには、まだシゲキが強そうだからね-。
「エレン・フェルマインです。今日は、お邪魔しに伺いました」
お行儀よく、お辞儀する彼女。
「いらっしゃい。遊びに来たのね。ありがとう」
ケーキを、お客さんに渡し終わったお母さんも、挨拶する。
「よろしくお願いします」
またも、ぺこりとお辞儀するエレンちゃん。
「それじゃふたりとも、仲良くね」
状況を察したであろうお母さんが、ウィンクする。
「はい!」
ハモってお返事。
「じゃあ、裏口に回ろ」
ああ! いきなり恋人のお招き! わたしってば、ダ・イ・タ・ン! ドキドキするぅ~!
0
お気に入りに追加
12
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる