4 / 49
第四話 四月一日(火) 女友達のお部屋で幸せ!
しおりを挟む
「おかーさーん、ユーからこれ~。んで、部屋に行って遊ぶわ。お隣に、連絡しといて」
おばさんに、ケーキを手渡すユシャンちゃん。
「あらー、いつもありがとうー。後で。おいしくいただくわね。飲み物とお菓子、後で持っていくから」
「いえいえ、お気遣いなく!」
「子供が遠慮しないの! ね」
うにゅう。そういうなら、ありがたくいただきましょー。
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ、上で待っててちょうだいね」
「はーい」
二人でお返事。おばさんにぺこりと頭を下げ、親友のお部屋へ。
◆ ◆ ◆
ユシャンちゃんのお部屋は、本だらけだ。少女小説から、なんだか難しそうな専門書まで!
「また、本増えた?」
「うん。ユーも、なにか適当に読みなよ」
さっそく、手近な本を取ってベッドに腰掛け読み始める彼女。
わたしも、読みかけの少女小説を手に取り、彼女の横に掛ける。わたしたちの遊びは、だいたいこんな感じだ。
ユシャンちゃんの部屋も、本だらけというわけでもなくて、年頃の女の子してる、かわいらしい家具で揃えられている。ただ、わたしよりは若干趣味が大人っぽいかな?
机の上の、ミニサボテンがかわいらしい。
女友達のお部屋に上がって、まったり……。前世では出来なかった、幸せムーブ~。
「ユーさー」
本から目を上げずに、彼女が話しかけてくる。
「なーに?」
わたしは、読書しながら会話できるほど器用じゃないので、栞をはさみ直して、ユシャンちゃんに視線を向ける。
「まさかとは思うけど、ユベールはやめときなよー」
一瞬意味がわからなかったけど、少ししてから理解して、「ないない! ユベールはないよー」と、くすくす笑う。
「そーう? いや、今日のアレさ、まさかと思って」
彼女も、話に集中する気になったのか、本から目を上げ、こちらを見る。
「わたしは、女扱いされたのが、心の底から幸せなだけなんだ~。ほんと、そんだけだよ~」
にゅいんっと、伸びをする。
「ユーのそれも、よくわからないよね。やっぱ、前世の影響ってやつ?」
ユシャンちゃんは、私の前世に半信半疑。でも、この世界のものではない知識を色々話して聞かせてるので、否定できないって感じかな。
「だねぇー。前世の子がね、凄く苦しんでたから。多分、当事者になるか、わたしみたいに一心同体になるかしないと、わかんないと思う」
「ふーむ……。ユーはさ、前世に振り回される生き方、辛くないの?」
「わかんない。混ざっちゃったらもう、そこは違和感とかなくて。逆に、前世のわたしの思い残しを、少しでも実現してあげたいなーって」
わたしにとって、女の子するのは、苦痛どころか、心の底からじわ~っと溢れてくる喜びに満たされる行い。だから、今どき古風かもだけど、女の子らしいことするのが、幸せで、幸せで仕方ない。
ただ、普通に生きてるだけで、幸せなんだもん。わたし、サイキョーかも。
「逆に、ユシャンちゃん、人生辛い?」
「んー。今んとこ、不満はないかな。この、紙とインクの匂いがあれば、当面幸せに生きられる。あ、でも月イチのあれはやだなー。ユー、まさか、あれすら幸せだったりするん?」
「うん! 痛いは痛いけどね!」
満面の笑みで回答するわたしを見て、やや引き気味に、肩をすくめるユシャンちゃん。
「やっぱわからんわ」
「ユシャンちゃんは、それでいいと思うよ!」
にこにこしながら、ポンと彼女の肩を叩く。さらに不可解そうに、首を傾げるユシャンちゃんでありました。
そのとき、不意にノックの音。
「どうぞー」とユシャンちゃんが言うと、お盆を手にしたおばさんが入ってきた。
「おまたせ。ユーちゃんのお母さんから、よろしくお願いしますって」
「ありがとう。気兼ねなく遊べるね」
「ありがとうございます~」
おばさんが、月餅とウーロン茶の入った茶碗を置いて、「ゆっくりしていってね」と、去って行く。
ユシャンちゃんたちの一家は、「タイオウ」という東の国出身。ここ、商業地区を北に行くと、大きなタイオウ人街がある。よく、ユシャンちゃんたちと観光に行ったものです。
月餅、美味しいなー。前世と同じ味。あんこの味を、ここ、ラドネスブルグでも味わえるなんてねー。
こうして引き続き、親友とまったり過ごすのでした。幸せ!
おばさんに、ケーキを手渡すユシャンちゃん。
「あらー、いつもありがとうー。後で。おいしくいただくわね。飲み物とお菓子、後で持っていくから」
「いえいえ、お気遣いなく!」
「子供が遠慮しないの! ね」
うにゅう。そういうなら、ありがたくいただきましょー。
「はい、ありがとうございます」
「じゃあ、上で待っててちょうだいね」
「はーい」
二人でお返事。おばさんにぺこりと頭を下げ、親友のお部屋へ。
◆ ◆ ◆
ユシャンちゃんのお部屋は、本だらけだ。少女小説から、なんだか難しそうな専門書まで!
「また、本増えた?」
「うん。ユーも、なにか適当に読みなよ」
さっそく、手近な本を取ってベッドに腰掛け読み始める彼女。
わたしも、読みかけの少女小説を手に取り、彼女の横に掛ける。わたしたちの遊びは、だいたいこんな感じだ。
ユシャンちゃんの部屋も、本だらけというわけでもなくて、年頃の女の子してる、かわいらしい家具で揃えられている。ただ、わたしよりは若干趣味が大人っぽいかな?
机の上の、ミニサボテンがかわいらしい。
女友達のお部屋に上がって、まったり……。前世では出来なかった、幸せムーブ~。
「ユーさー」
本から目を上げずに、彼女が話しかけてくる。
「なーに?」
わたしは、読書しながら会話できるほど器用じゃないので、栞をはさみ直して、ユシャンちゃんに視線を向ける。
「まさかとは思うけど、ユベールはやめときなよー」
一瞬意味がわからなかったけど、少ししてから理解して、「ないない! ユベールはないよー」と、くすくす笑う。
「そーう? いや、今日のアレさ、まさかと思って」
彼女も、話に集中する気になったのか、本から目を上げ、こちらを見る。
「わたしは、女扱いされたのが、心の底から幸せなだけなんだ~。ほんと、そんだけだよ~」
にゅいんっと、伸びをする。
「ユーのそれも、よくわからないよね。やっぱ、前世の影響ってやつ?」
ユシャンちゃんは、私の前世に半信半疑。でも、この世界のものではない知識を色々話して聞かせてるので、否定できないって感じかな。
「だねぇー。前世の子がね、凄く苦しんでたから。多分、当事者になるか、わたしみたいに一心同体になるかしないと、わかんないと思う」
「ふーむ……。ユーはさ、前世に振り回される生き方、辛くないの?」
「わかんない。混ざっちゃったらもう、そこは違和感とかなくて。逆に、前世のわたしの思い残しを、少しでも実現してあげたいなーって」
わたしにとって、女の子するのは、苦痛どころか、心の底からじわ~っと溢れてくる喜びに満たされる行い。だから、今どき古風かもだけど、女の子らしいことするのが、幸せで、幸せで仕方ない。
ただ、普通に生きてるだけで、幸せなんだもん。わたし、サイキョーかも。
「逆に、ユシャンちゃん、人生辛い?」
「んー。今んとこ、不満はないかな。この、紙とインクの匂いがあれば、当面幸せに生きられる。あ、でも月イチのあれはやだなー。ユー、まさか、あれすら幸せだったりするん?」
「うん! 痛いは痛いけどね!」
満面の笑みで回答するわたしを見て、やや引き気味に、肩をすくめるユシャンちゃん。
「やっぱわからんわ」
「ユシャンちゃんは、それでいいと思うよ!」
にこにこしながら、ポンと彼女の肩を叩く。さらに不可解そうに、首を傾げるユシャンちゃんでありました。
そのとき、不意にノックの音。
「どうぞー」とユシャンちゃんが言うと、お盆を手にしたおばさんが入ってきた。
「おまたせ。ユーちゃんのお母さんから、よろしくお願いしますって」
「ありがとう。気兼ねなく遊べるね」
「ありがとうございます~」
おばさんが、月餅とウーロン茶の入った茶碗を置いて、「ゆっくりしていってね」と、去って行く。
ユシャンちゃんたちの一家は、「タイオウ」という東の国出身。ここ、商業地区を北に行くと、大きなタイオウ人街がある。よく、ユシャンちゃんたちと観光に行ったものです。
月餅、美味しいなー。前世と同じ味。あんこの味を、ここ、ラドネスブルグでも味わえるなんてねー。
こうして引き続き、親友とまったり過ごすのでした。幸せ!
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる