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第一話 四月一日(火) 幸せで、幸せで、本当に幸せ!
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ん……目覚まし時計が鳴ってる……。
おはよー。
朝起きたら、わたしが最初にやること。
胸とお股を触って、自分が女であることを確認するの。お母さんに見つかったとき、「何やってんの!」って、すごく怒られちゃったけど。
ああ、それにしても! わたしは女! わたしは女! わたしは女の子!
ナイトキャップを取って、長い髪を下ろす。この重さも、嬉しい!
一階に降りて、洗面所へ。
そこの鏡には、猫耳金髪なゆるふわロングな女の子が映っている。正直、顔もかわいい。
これが、今のわたし!
思わず、にへら~と顔が緩んじゃう。
……いけない、いけない! 顔、洗わないと!
わたしの前世の記憶が戻ったのは、三年前。いろんなことが頭にどばっと流れてきて、わたしはとっても混乱してたらしい。
その記憶にあったのは、心が女、体が男で苦しんでいた自分。
それがあまりにも辛くて、思わず電車に……。
今でも、その最期を思い出すと、背筋がブルっときて、しっぽがぶわってなる。
辛かったね、前世のわたし。
心が女なのに、周りから男として扱われるって、辛いよね。ひげが生えてきた時は、一日中泣いてたっけ。
そして、ごめんなさい。前世のお父さん、お母さん。
手術とか色々道はあったんだろうけど、大人になるまで待てなかったよ……。
色々あった、前世のわたし。今の人生では、わたしと一緒に、幸せな人生を送ってね!
……って、顔洗う!
◆ ◆ ◆
「おはよーございまーす!」
「おはよう、ユーちゃん」
「おはよう。今日も上機嫌ねえ」
お父さんとお母さんから、挨拶を返される。
二人とも、猫耳に猫しっぽ。これが、この世界の人間。
今日の朝食は、マッシュポテトにソーセージ、オニオンスープ、そしてトースト。
「今日は、どっちが作ったんだろー」
「当ててご覧」
と、お父さんが言う。うちは、お父さんもお母さんも、二人で仕事も家事もする。もちろん、わたしもできる範囲でお手伝い。
「ん~! お父さん!」
「はーずれー! 私でしたー」
お母さんとお父さんが、楽しそうにほほえみ合う。ああ、幸せだなあ。
「いただきます」
キリスト教……この世界にはないけど、それみたいなお祈りのポーズで、いただきますを言う。和洋ごっちゃで変な感じだけど、もう慣れたよ。
美味しいなあ。
うちはスイーツショップをやっていて、お父さんとお母さんはパティシエとパティシエール。
「今日、休業日でしょ。学校から帰ったら、お菓子作り教えて!」
「いいとも、いいとも。ユーちゃんは、本当に勉強熱心だねえ」
「だって、こんなに女の子なお仕事してる、家の子供に生まれたんですもの!」
にこ~っと微笑む。
「おいおい、いつから僕は女の子になったんだい?」
「ほんとに、ユーちゃんは女の子するのが好きよねえ」
「うん! 女に生まれて、ほんとに幸せなんだもん!」
そう言って、ごはんをもぐもぐ。
「ごちそうさまでした! 美味しかったよー」
今度も、お祈りポーズでごちそうさま。
そして、歯磨きと着替えを済ませたら、いざ学校へ!
◆ ◆ ◆
お隣の家のチャイムを鳴らすと、黒髪三つ編みの大親友、ユシャン・チャンちゃんが、「おはよ」と出てきました。
「ユシャンちゃーん、お手々つないでがっこいこー!」
「朝から元気だねー、ユーは。行こか」
「うん!」
お手々つないで、らんらんと学校へ。周りから、「仲良すぎじゃない?」って冷やかされるけど、実際仲良しだもんねー!
女の子同士のスキンシップ。これも、前世のわたしが、ずっとやりたかったこと!
「ユシャンちゃんは、今日も昨日の続き?」
「ん。いいとこで寝なきゃいけなくなってさ」
「睡眠はきちんと取らないと、おハダ荒れちゃうよ~?」
ユシャンちゃんの、すべすべぷにぷにほっぺに、手を当てる。
彼女の家は、本屋さん。そんなわけか、彼女もたいそう読書家です。
こんな感じの雑談をしながら、学校へ向かう。
道すがらの商店前のプランターに、春のお花が咲いている。
春。私の好きな季節!
北国であるラドネスグルグの厳しい冬が終わって、いろんな命が芽吹く季節。前世では桜が人気だったけど、この国だと植物園でも行かないと見られないのが残念だな~。
でも、わたし、風景を眺める登校時間も大好き!
幸せで、幸せで、本当に幸せ!
おはよー。
朝起きたら、わたしが最初にやること。
胸とお股を触って、自分が女であることを確認するの。お母さんに見つかったとき、「何やってんの!」って、すごく怒られちゃったけど。
ああ、それにしても! わたしは女! わたしは女! わたしは女の子!
ナイトキャップを取って、長い髪を下ろす。この重さも、嬉しい!
一階に降りて、洗面所へ。
そこの鏡には、猫耳金髪なゆるふわロングな女の子が映っている。正直、顔もかわいい。
これが、今のわたし!
思わず、にへら~と顔が緩んじゃう。
……いけない、いけない! 顔、洗わないと!
わたしの前世の記憶が戻ったのは、三年前。いろんなことが頭にどばっと流れてきて、わたしはとっても混乱してたらしい。
その記憶にあったのは、心が女、体が男で苦しんでいた自分。
それがあまりにも辛くて、思わず電車に……。
今でも、その最期を思い出すと、背筋がブルっときて、しっぽがぶわってなる。
辛かったね、前世のわたし。
心が女なのに、周りから男として扱われるって、辛いよね。ひげが生えてきた時は、一日中泣いてたっけ。
そして、ごめんなさい。前世のお父さん、お母さん。
手術とか色々道はあったんだろうけど、大人になるまで待てなかったよ……。
色々あった、前世のわたし。今の人生では、わたしと一緒に、幸せな人生を送ってね!
……って、顔洗う!
◆ ◆ ◆
「おはよーございまーす!」
「おはよう、ユーちゃん」
「おはよう。今日も上機嫌ねえ」
お父さんとお母さんから、挨拶を返される。
二人とも、猫耳に猫しっぽ。これが、この世界の人間。
今日の朝食は、マッシュポテトにソーセージ、オニオンスープ、そしてトースト。
「今日は、どっちが作ったんだろー」
「当ててご覧」
と、お父さんが言う。うちは、お父さんもお母さんも、二人で仕事も家事もする。もちろん、わたしもできる範囲でお手伝い。
「ん~! お父さん!」
「はーずれー! 私でしたー」
お母さんとお父さんが、楽しそうにほほえみ合う。ああ、幸せだなあ。
「いただきます」
キリスト教……この世界にはないけど、それみたいなお祈りのポーズで、いただきますを言う。和洋ごっちゃで変な感じだけど、もう慣れたよ。
美味しいなあ。
うちはスイーツショップをやっていて、お父さんとお母さんはパティシエとパティシエール。
「今日、休業日でしょ。学校から帰ったら、お菓子作り教えて!」
「いいとも、いいとも。ユーちゃんは、本当に勉強熱心だねえ」
「だって、こんなに女の子なお仕事してる、家の子供に生まれたんですもの!」
にこ~っと微笑む。
「おいおい、いつから僕は女の子になったんだい?」
「ほんとに、ユーちゃんは女の子するのが好きよねえ」
「うん! 女に生まれて、ほんとに幸せなんだもん!」
そう言って、ごはんをもぐもぐ。
「ごちそうさまでした! 美味しかったよー」
今度も、お祈りポーズでごちそうさま。
そして、歯磨きと着替えを済ませたら、いざ学校へ!
◆ ◆ ◆
お隣の家のチャイムを鳴らすと、黒髪三つ編みの大親友、ユシャン・チャンちゃんが、「おはよ」と出てきました。
「ユシャンちゃーん、お手々つないでがっこいこー!」
「朝から元気だねー、ユーは。行こか」
「うん!」
お手々つないで、らんらんと学校へ。周りから、「仲良すぎじゃない?」って冷やかされるけど、実際仲良しだもんねー!
女の子同士のスキンシップ。これも、前世のわたしが、ずっとやりたかったこと!
「ユシャンちゃんは、今日も昨日の続き?」
「ん。いいとこで寝なきゃいけなくなってさ」
「睡眠はきちんと取らないと、おハダ荒れちゃうよ~?」
ユシャンちゃんの、すべすべぷにぷにほっぺに、手を当てる。
彼女の家は、本屋さん。そんなわけか、彼女もたいそう読書家です。
こんな感じの雑談をしながら、学校へ向かう。
道すがらの商店前のプランターに、春のお花が咲いている。
春。私の好きな季節!
北国であるラドネスグルグの厳しい冬が終わって、いろんな命が芽吹く季節。前世では桜が人気だったけど、この国だと植物園でも行かないと見られないのが残念だな~。
でも、わたし、風景を眺める登校時間も大好き!
幸せで、幸せで、本当に幸せ!
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