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第三章 ホムンクルスの中のマンドラゴラ
071.そのまま持ってきたのニャッ!
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数日後。
「ただいまなのニャア!」
ポチが上機嫌で帰ってきた。
ここ数日、しょんぼりして帰ってくることが多かったので、なによりだ。
なによりなのだが、嫌な予感がする。
数日前に話していたアレを手に入れてきた可能性があるからだ。
「おかえり、ポチ」
「おかえりなさい、ポチちゃん」
とりあえず、帰宅の挨拶を返す。
ポチは後ろ手に何かを持って、俺とメイに近寄ってくる。
見るからに、褒めてしてもらいそうにしている。
「うふふ、ポチちゃん、どうしたの?」
メイは母親が子供を出迎えるようにポチが近寄って来るのを待つ。
予想はついているだろうけど、自分からは口にしない。
本人が喋りたそうにしているから、それまで待つつもりなのだろう。
仲睦まじいのはよいことなのだが、ポチがメイに渡そうとしているのがアレだと思うと複雑な気分だ。
「ついに、手に入ったのニャッ!」
じゃあんっ!といった感じで、ポチが後ろ手に持っていたものをメイに見せる。
それは、俺が予想していたものとは違った。
アレではなかった。
けれど、ある意味、アレの方がよかった。
アレより、はるかにアレなものだった。
「でも、途中で邪魔するのは悪いと思ったから、そのまま持ってきたのニャッ!」
「返してこいっ!!!!!」
思わず叫んだ。
ポチが持ってきたものは、アレではなかった。
でも、アレが出る寸前のモノだった。
夫婦の営みというか、生命の神秘というか、そんな感じのモノだった。
ようするに、交尾をしているオスとメスのセットだった。
モザイクがかかりそうな感じでくっついている二匹の猫だった。
「あ、こっちの黒猫は見たことがあります」
「18歳未満は見ちゃいけません!!!」
「むぎゅっ」
メイの肩に跳びついて、強引に首を逸らさせる。
メイがなんだか変な声を上げたけど気にしない。
「元気に腰を振っているから、もうすぐ出ると思うのニャッ!」
「15歳未満はもっと見ちゃいけません!!!」
「ニャアッ!」
メイの肩からポチの頭に飛び降りて、耳を引っ張って強引に首を逸らさせる。
ポチが悲鳴を上げたけど気にしない。
「おまえら、もう少し恥じらいを持てっ!!!!!」
俺がメイとポチにお仕置きをしている間、二匹の猫は愛を育み続けていた。
*****
「もう、ひどいですよぅ」
「ケイはひどいのニャ」
「ひどくない。アレの最中の二匹を連れてきて、アレを回収しようとする、おまえらの方がひどい」
しかも、俺が止めたにも関わらず、結局アレを回収しやがったし。
「なにはともあれ、これで材料が手に入りましたね。ありがとう、ポチちゃん」
「どういたしましてなのニャ」
ちなみに、スポイトで吸い取っていた。
吸い取られた二匹は、吸い取られた分を補充するように、二回戦に突入していた。
さすがに家の外にご退場願ったが、先ほどから甘ったるい鳴き声が聞こえてきている。
なんとか頑張って意識の外に追いやっているが。
「それで、あとはどうするんだ?材料は揃ったのか?」
まあ、すでに手に入れてしまったものを捨てろとも言えない。
だから、これからのことを考えることにする。
確か今回手に入れたアレが一番準備しづらいと言っていたはずだ。
他の材料は揃ったのだろうか。
「ええ。あとは作るだけです。あ、でも、道具が必要ですね」
「道具?」
「ホムンクルスの核を育てるための部屋です。人口のものでも天然のものでもいいんですけど」
「人口?天然?」
ホムンクルスの核というのは、人間でいうところの受精卵のことだろう。
ならば、それを育てる部屋というのは予想がつく。
「さいわい天然モノが外にいるので、それを使いましょうか」
「それもう、普通の子作りと変わらないだろ。そっとしておいてやれよ」
「それじゃあ、ホムンクルスにならないですよぅ」
「ならなくていいんだって」
魔女っぽいところを見せようと張り切るメイ。
なんとかやめさせようとする俺。
そしてポチは、
「頑張ったから、お腹が減ったのニャア」
空腹に目を回していた。
「ただいまなのニャア!」
ポチが上機嫌で帰ってきた。
ここ数日、しょんぼりして帰ってくることが多かったので、なによりだ。
なによりなのだが、嫌な予感がする。
数日前に話していたアレを手に入れてきた可能性があるからだ。
「おかえり、ポチ」
「おかえりなさい、ポチちゃん」
とりあえず、帰宅の挨拶を返す。
ポチは後ろ手に何かを持って、俺とメイに近寄ってくる。
見るからに、褒めてしてもらいそうにしている。
「うふふ、ポチちゃん、どうしたの?」
メイは母親が子供を出迎えるようにポチが近寄って来るのを待つ。
予想はついているだろうけど、自分からは口にしない。
本人が喋りたそうにしているから、それまで待つつもりなのだろう。
仲睦まじいのはよいことなのだが、ポチがメイに渡そうとしているのがアレだと思うと複雑な気分だ。
「ついに、手に入ったのニャッ!」
じゃあんっ!といった感じで、ポチが後ろ手に持っていたものをメイに見せる。
それは、俺が予想していたものとは違った。
アレではなかった。
けれど、ある意味、アレの方がよかった。
アレより、はるかにアレなものだった。
「でも、途中で邪魔するのは悪いと思ったから、そのまま持ってきたのニャッ!」
「返してこいっ!!!!!」
思わず叫んだ。
ポチが持ってきたものは、アレではなかった。
でも、アレが出る寸前のモノだった。
夫婦の営みというか、生命の神秘というか、そんな感じのモノだった。
ようするに、交尾をしているオスとメスのセットだった。
モザイクがかかりそうな感じでくっついている二匹の猫だった。
「あ、こっちの黒猫は見たことがあります」
「18歳未満は見ちゃいけません!!!」
「むぎゅっ」
メイの肩に跳びついて、強引に首を逸らさせる。
メイがなんだか変な声を上げたけど気にしない。
「元気に腰を振っているから、もうすぐ出ると思うのニャッ!」
「15歳未満はもっと見ちゃいけません!!!」
「ニャアッ!」
メイの肩からポチの頭に飛び降りて、耳を引っ張って強引に首を逸らさせる。
ポチが悲鳴を上げたけど気にしない。
「おまえら、もう少し恥じらいを持てっ!!!!!」
俺がメイとポチにお仕置きをしている間、二匹の猫は愛を育み続けていた。
*****
「もう、ひどいですよぅ」
「ケイはひどいのニャ」
「ひどくない。アレの最中の二匹を連れてきて、アレを回収しようとする、おまえらの方がひどい」
しかも、俺が止めたにも関わらず、結局アレを回収しやがったし。
「なにはともあれ、これで材料が手に入りましたね。ありがとう、ポチちゃん」
「どういたしましてなのニャ」
ちなみに、スポイトで吸い取っていた。
吸い取られた二匹は、吸い取られた分を補充するように、二回戦に突入していた。
さすがに家の外にご退場願ったが、先ほどから甘ったるい鳴き声が聞こえてきている。
なんとか頑張って意識の外に追いやっているが。
「それで、あとはどうするんだ?材料は揃ったのか?」
まあ、すでに手に入れてしまったものを捨てろとも言えない。
だから、これからのことを考えることにする。
確か今回手に入れたアレが一番準備しづらいと言っていたはずだ。
他の材料は揃ったのだろうか。
「ええ。あとは作るだけです。あ、でも、道具が必要ですね」
「道具?」
「ホムンクルスの核を育てるための部屋です。人口のものでも天然のものでもいいんですけど」
「人口?天然?」
ホムンクルスの核というのは、人間でいうところの受精卵のことだろう。
ならば、それを育てる部屋というのは予想がつく。
「さいわい天然モノが外にいるので、それを使いましょうか」
「それもう、普通の子作りと変わらないだろ。そっとしておいてやれよ」
「それじゃあ、ホムンクルスにならないですよぅ」
「ならなくていいんだって」
魔女っぽいところを見せようと張り切るメイ。
なんとかやめさせようとする俺。
そしてポチは、
「頑張ったから、お腹が減ったのニャア」
空腹に目を回していた。
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