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第一章 森の中のマンドラゴラ

011.ひゃんっ!

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 おっぱいに挟まれながら、俺は考える。

 顔を胸で挟まれているならパフパフだが、全身が包まれているわけだから、ちょっと違う気がする。
 現在の俺の身体は、手のひらサイズで棒のような形状だ。
 この形状のものを胸で挟む行為は、何か違う言い方をした気がする。
 なんと言っただろうか。
 そうだ、思い出した。
 パイ〇リだ。
 俺はパイ〇リをされている。
 大人向けの性教育の教科書で見たことがある。
 子供向けの性教育の教科書には載っていない上級テクニックだ。

「・・・・・」

 あんまり気持ちよくないな。
 植物の根っこは性感帯というわけじゃないらしい。
 仕方が無いので、つきたての餅のような感触だけでも楽しむことにする。
 ぷにぷにとした弾力だけど、吸い付くような独特の感触だ。
 触っていると、なんだか楽しい。

「ひゃんっ!」

 服の外から、メイの声が聞こえてきた。
 どうやら、メイは胸が敏感なようだ。
 反応が面白くて、さらにぷにぷにする。

「やんっ!ちょっ!」
「どうしたんだい、メイ。変な声を出して」
「な、なんでもないの、おばあちゃん」

 おっといけない。
 人がいるんだった。
 見つかったら磨り潰されてしまうらしいので、大人しくしていることにする。

「課題は終わったのかい?」
「魔術の課題なら、やっと希少な素材が手に入ったところで・・・」

 しかし、こうして挟まれていると、メイの胸は極上の羽毛布団のようだ。
 全身を優しく包み込んでくれる。
 それでいて、俺を挟んで落とさないので、それなりの質量もある。

「そっちじゃなくて、勉強の方だよ。数学で赤点とったんだってね」
「そ、そっちの課題は・・・半分くらい?」

 でも、質量はあるけど、圧し潰されるような圧迫感はない。
 ふわふわと柔らかく包んでくれる絶妙なサイズなのだ。
 俺のために作られたオーダーメイドの羽毛布団なんじゃないだろうか。

「自分のことなのに、なんで疑問形なんだい」
「きょ、今日中には終わらせるよ」

 張りもあって形も綺麗だし、これはただの巨乳じゃない。
 きっと美乳というやつだ。
 微乳ではない、美乳の方だ。

「なら、今日中に終わらないようだったら、監視しながらやってもらうけどいいね」
「え、それは、その・・・難しい問題で時間がかかるかも知れないし・・・」

 メイの胸には、きっと夢や希望が詰まっているのだろう。
 だって、挟まれていると幸せな気持ちになる。

「難しかったら、先生に質問しに行けばいいだろ」
「わ、わかったよぅ」

 俺が夢見心地でいる間に、どうやらメイともう一人の会話は終わったらしい。
 もう一人の足音が遠ざかり、扉から外へ出ていった。

「ふぅ」

 メイが緊張から解放されたように溜息をついて、胸元から服の中を覗き込んでくる。

「ケイ、もう大丈夫ですよ」
「・・・・・」
「ケイ?もう出てきてもよいですよ?」
「・・・・・」

 心地よいから、このままでも良かったのだけど、そういうわけにはいかないか。
 俺はもぞもぞと谷間から這い出る。

「ふぁんっ!あんまり、おっぱいを突かないで下さいよぅ」
「仕方ないだろう。ジャストフィットしているんだから」

 這い出ようとして、谷間を押し広げようとすると、ぷにっと手が埋まるのだ。
 俺は、柔らかい餅をこねるようにしながら、ちょっとずつ這い出る。
 決して、感触が名残惜しかったわけじゃない。
 あくまでも、仕方なくだ。

「底なし沼から抜け出たような気分だ」
「人のおっぱいを変なものに喩えないで下さいよぅ」

 俺はこの世の楽園から抜け出し、テーブルの上に降り立つ。
 そう言えば、先ほどの人物が来る前は逃げていたのだった。
 しかし、今はメイもこちらを捕まえようとしてこないので、なんとなく逃げるタイミングを失ってしまった。
 どうにか、このまま安全を確保したいところだ。
 そこで俺は一計を案じることにした。

「勉強の課題があるんだって?」
「うっ!」

 俺が指摘すると、メイが狼狽える。

「お、思い出させないで下さいよぅ」
「そうは言っても、課題はやらないとダメだろう」
「そうなんですけどぉ」

 どうやら、メイは勉強があまり得意ではないようだ。
 そこに付け込む隙がありそうな気がする。

「交換条件といかないか?」

 俺はメイにそう提案した。
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