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28話 ゴブリンにやられた?
しおりを挟む※前回のお話※
クルスに「親方」を探すよう言われるショウタ。しかし、ショウタのスキルは対象者の情報が無ければ探す事が出来ない。するとクルスはゴリラが描かれた一枚のイラストをショウタに見せる。明らかにゴリラが描かれている。ゴリラだ!ゴリラじゃない!というやり取りが続き埒が明かないと判断し、アルジイの家に戻り「親方」の情報を聞く事にする。すると、絵は激似だという事が分かる。しかも「親方」だと思っていたのは「オヤカタ」という名前らしい。「オヤカタ」はゴリラの亜人で女性らしい。ドヤ顔のクルス。ショウタは渋々「オヤカタ」を探す為、念じるとあっさり見つかったのであった。
――アルジイの家――
「……見つけました……」
ショウタはやる気なく答える。
「おー!!見つかったか!カスにしては早いじゃないか!それで?どこにいる?」
前のめりで聞くクルス。
「…………あ……はーい……えーと、どこだろう?此処?…………牢屋だな。ゴブリンがいる?……ここから西に100km進んだ先にある城ですかね?」
「西に100km先の城か……カステルムの街じゃな。あそこはオヤカタの故郷じゃ。ゴブリンと牢屋か…………良く分からないのぅ……オヤカタは捕まっているのか?」
アルジイが顎髭を触りながらショウタに尋ねる。
「……いやぁ、詳しい事は分かりませんけど牢屋の中で腕を組んで座っています。ゴブリン何人か牢屋の外にいます。重装備のゴブリンですね……何でしょう?」
「………………」
アルジイは黙っている。考え事をしている様だ。
「どうしたんですか?アルジイさん?」
「いやな‥‥‥前にカステルムで妙な事件があったのを思い出したんじゃ」
アルジイが言うには一年程前にカステルムで、妙な事件が起きたらしい。
カステルム近辺の森で、狩に出た狩人が行方不明になる事件が頻発していた。
狩人を捜索する為、カステルムのギルドからも冒険者捜索隊が派遣された。
しかし、殆どの者が戻らず、戻って来た冒険者も「ゴブリンにやられた」と言うだけで何も分からなかったらしい。
事件を重く見たカステルムのギルドは、その後第二陣が派遣した。
なんと、その第二陣の捜索隊により行方不明の狩人も見つかり、第一陣の捜索隊も無傷で見つかった。
しかし、戻って来た者は皆抜け殻のようにボーッとしているらしい。何故かは分からないらしい。
その後、その事件がどうなったのか分からない。
という事みたいだ……
「いやいやいや…………なんですかその話?ゴブリンにやられた?結局戻ってきたんでしょ?別に問題無いじゃないですか?今回のオヤカタさんが捕まってる事と何か関係あるんですか?」
ショウタはアルジイに尋ねた。
「いや‥‥ワシにも分からん。ただ、お前さんがオヤカタがいる所がカステルムでゴブリンがいる。という単語を聞いて、何となくその事件を思い出したんじゃ‥‥」
アルジイは神妙な面持ちで答えた。
「いや‥‥なんか急に不安になってきたんですけど‥‥クルスさん!その事件知ってます?」
「知らん!!!早いとこそのカステラプー?って街に行くぞ!!何がゴブリンじゃ!くだらん!!」
クルスは椅子にだらしなく座っている。
「……カステルムですよ……まったく……大丈夫かな?不安だ…………」
「なんじゃと?!生意気じゃなー!カスッ!!クビにするぞ!」
「…………はいはい」
ショウタは呆れている。
「……………………なんかお前らだけだと心配じゃな……ワシも行く。」
「え!!いいんですか?アルジイさん?」
ショウタは目を輝かせている。アルジイがいた方が心強い。
「まぁ、面倒だがしょうがないじゃろう。オヤカタが捕まってるかもしれないとなると心配じゃしな。それに、ワシが行った方が何かと便利な筈じゃからな……」
アルジイは口髭を触りながら話す。
「…………フンッ!勝手にせい!!でもアルジイよ!お前は斬馬刀見つける仕事があるからな!忘れんなよ!」
クルスはアルジイに言った。
「フォッホッホッ!!心配するな!斬馬刀なら、もう見つけてある。オヤカタが持っておったわ!!」
「えっ!!オヤカタさんが?何でまた解体屋から盗んだりしたんでしょうか?」
ショウタは驚く。
「なんでじゃろうな‥‥うーむ‥‥‥」
アルジイは腕組みをして悩んでいる。
「あーー!!もうイライラするわ!お前らの会話!!そんなもんオヤカタに聞きゃ分かるじゃろうが!!!!とっとと行くぞ!!!」
クルスは、怒りながら歩きだした。
「せっかちじゃのぅ‥‥フォッホッホ!」
アルジイは呑気に笑っている。
こうして三人は牢屋にいるという「オヤカタ」を探しにカステルムへ向かうのであった。
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