上 下
29 / 30

28話 ゴブリンにやられた?

しおりを挟む

※前回のお話※
クルスに「親方」を探すよう言われるショウタ。しかし、ショウタのスキルは対象者の情報が無ければ探す事が出来ない。するとクルスはゴリラが描かれた一枚のイラストをショウタに見せる。明らかにゴリラが描かれている。ゴリラだ!ゴリラじゃない!というやり取りが続き埒が明かないと判断し、アルジイの家に戻り「親方」の情報を聞く事にする。すると、絵は激似だという事が分かる。しかも「親方」だと思っていたのは「オヤカタ」という名前らしい。「オヤカタ」はゴリラの亜人で女性らしい。ドヤ顔のクルス。ショウタは渋々「オヤカタ」を探す為、念じるとあっさり見つかったのであった。

――アルジイの家――

「……見つけました……」
ショウタはやる気なく答える。

「おー!!見つかったか!カスにしては早いじゃないか!それで?どこにいる?」
前のめりで聞くクルス。

「…………あ……はーい……えーと、どこだろう?此処?…………牢屋だな。ゴブリンがいる?……ここから西に100km進んだ先にある城ですかね?」

「西に100km先の城か……カステルムの街じゃな。あそこはオヤカタの故郷じゃ。ゴブリンと牢屋か…………良く分からないのぅ……オヤカタは捕まっているのか?」
アルジイが顎髭を触りながらショウタに尋ねる。

「……いやぁ、詳しい事は分かりませんけど牢屋の中で腕を組んで座っています。ゴブリン何人か牢屋の外にいます。重装備のゴブリンですね……何でしょう?」

「………………」
アルジイは黙っている。考え事をしている様だ。

「どうしたんですか?アルジイさん?」

「いやな‥‥‥前にカステルムで妙な事件があったのを思い出したんじゃ」



アルジイが言うには一年程前にカステルムで、妙な事件が起きたらしい。
カステルム近辺の森で、狩に出た狩人が行方不明になる事件が頻発していた。
狩人を捜索する為、カステルムのギルドからも冒険者捜索隊が派遣された。
しかし、殆どの者が戻らず、戻って来た冒険者も「ゴブリンにやられた」と言うだけで何も分からなかったらしい。
事件を重く見たカステルムのギルドは、その後第二陣が派遣した。
なんと、その第二陣の捜索隊により行方不明の狩人も見つかり、第一陣の捜索隊も無傷で見つかった。

しかし、戻って来た者は皆抜け殻のようにボーッとしているらしい。何故かは分からないらしい。

その後、その事件がどうなったのか分からない。

という事みたいだ……



「いやいやいや…………なんですかその話?ゴブリンにやられた?結局戻ってきたんでしょ?別に問題無いじゃないですか?今回のオヤカタさんが捕まってる事と何か関係あるんですか?」
ショウタはアルジイに尋ねた。

「いや‥‥ワシにも分からん。ただ、お前さんがオヤカタがいる所がカステルムでゴブリンがいる。という単語を聞いて、何となくその事件を思い出したんじゃ‥‥」
アルジイは神妙な面持ちで答えた。

「いや‥‥なんか急に不安になってきたんですけど‥‥クルスさん!その事件知ってます?」

「知らん!!!早いとこそのカステラプー?って街に行くぞ!!何がゴブリンじゃ!くだらん!!」
クルスは椅子にだらしなく座っている。

「……カステルムですよ……まったく……大丈夫かな?不安だ…………」

「なんじゃと?!生意気じゃなー!カスッ!!クビにするぞ!」

「…………はいはい」
ショウタは呆れている。

「……………………なんかお前らだけだと心配じゃな……ワシも行く。」

「え!!いいんですか?アルジイさん?」
ショウタは目を輝かせている。アルジイがいた方が心強い。

「まぁ、面倒だがしょうがないじゃろう。オヤカタが捕まってるかもしれないとなると心配じゃしな。それに、ワシが行った方が何かと便利な筈じゃからな……」
アルジイは口髭を触りながら話す。

「…………フンッ!勝手にせい!!でもアルジイよ!お前は斬馬刀見つける仕事があるからな!忘れんなよ!」
クルスはアルジイに言った。

「フォッホッホッ!!心配するな!斬馬刀なら、もう見つけてある。オヤカタが持っておったわ!!」

「えっ!!オヤカタさんが?何でまた解体屋から盗んだりしたんでしょうか?」
ショウタは驚く。

「なんでじゃろうな‥‥うーむ‥‥‥」
アルジイは腕組みをして悩んでいる。

「あーー!!もうイライラするわ!お前らの会話!!そんなもんオヤカタに聞きゃ分かるじゃろうが!!!!とっとと行くぞ!!!」
クルスは、怒りながら歩きだした。

「せっかちじゃのぅ‥‥フォッホッホ!」
アルジイは呑気に笑っている。


こうして三人は牢屋にいるという「オヤカタ」を探しにカステルムへ向かうのであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!

芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️ ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。  嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる! 転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。 新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか?? 更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
集団転移に巻き込まれ、クラスごと異世界へと転移することになった主人公晴人はこれといって特徴のない平均的な学生であった。 異世界の神から能力獲得について詳しく教えられる中で、晴人は自らの能力欄獲得可能欄に他人とは違う機能があることに気が付く。 そこに隠されていた能力は龍神から始まり魔神、邪神、妖精神、鍛冶神、盗神の六つの神の称号といくつかの特殊な能力。 異世界での安泰を確かなものとして受け入れ転移を待つ晴人であったが、神の能力を手に入れたことが原因なのか転移魔法の不発によりあろうことか異世界へと転生してしまうこととなる。 龍人の母親と英雄の父、これ以上ない程に恵まれた環境で新たな生を得た晴人は新たな名前をエルピスとしてこの世界を生きていくのだった。 現在設定調整中につき最新話更新遅れます2022/09/11~2022/09/17まで予定

婚約者は、今月もお茶会に来ないらしい。

白雪なこ
恋愛
婚約時に両家で決めた、毎月1回の婚約者同士の交流を深める為のお茶会。だけど、私の婚約者は「彼が認めるお茶会日和」にしかやってこない。そして、数ヶ月に一度、参加したかと思えば、無言。短時間で帰り、手紙を置いていく。そんな彼を……許せる?  *6/21続編公開。「幼馴染の王女殿下は私の元婚約者に激おこだったらしい。次期女王を舐めんなよ!ですって。」 *外部サイトにも掲載しています。(1日だけですが総合日間1位)

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

処理中です...