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26話 「そうじゃ!!!お前のスキルじゃ!!」
しおりを挟む※前回のお話し※
借金をしていたのは、シンノスケだけでは無かった事がクルスの口から明かされる……
亜人の女ファイター「フィオナ」は、浪費癖。
エルフの男狩人「ルカ」はアルコール中毒。
ヒューマンの女神官「リア」はギャンブル中毒。
それぞれ、シンノスケと出会う前から借金をしていたのだ。唖然とするシンノスケ。
嘘をついていたのは自分だけでは無かった事を知る。
クルスは借金は帳消しにしてやる。その代わりにリンドブルムの死体を貰うと言う。
リンドブルムの素材は売れば金貨500枚は、くだらないと言う。
クルスとショウタはリンドブルムの死体を解体屋に持っていく。しかし、解体屋はリンドブルムのようなドラゴンは自分には解体出来ない。しかも3日前に斬馬刀を盗まれてしまい、大型魔物の解体が出来ず困っていると言う。
クルスは、一先ずリンドブルムの死体を解体屋に預け、何も言わずに歩き出し、ある家の前で足を止めた……
――パラディソス市内――とある家の前
市内にポツンとあるその家は、民家なのか何かの店なのかよく分からなかった。
ただ、怪しい感じはした。
「クルスさん?なんかあるから来たんですよね?よく分からないですけど……」
ショウタはクルスに尋ねる。
「………………」
クルスは無言で、その家に入った。
ガチャ…………
ギィ……
ドアがゆっくり開いた。
中は薄暗く、視界が悪い。
紫色の煙が立ち込めているかのような感じだ。
棚がある。
棚には、見た事のない色をした綺麗な鉱石、奇妙な形の頭蓋骨、不気味なキノコ…………
本も沢山ある……
何だろう……ここ……
気味悪いな……
ショウタは、入ってすぐに部屋の雰囲気に嫌悪感を抱いた。
「………………オイッ!ジジイ!!いるか?」
クルスは急に店内で叫ぶ。
すると…………
「…………………………なんじゃ?誰じゃ?」
ショウタの真横から声がした。
急に、トンガリ帽子を被った老人が姿を現した。魔法使いのような見た目だ?かなり小さい……白い長い顎髭が気になる……ドワーフ?
「ヒィッ!!誰?」
ショウタはビックリして叫んでしまった。
「誰とは何じゃ?お前らこそ誰じゃ?」
老人が尋ねる。
「ヨッ!!アルジイ!!久しぶりじゃな!」
ショウタの後ろにいたクルスが、ひょこっと姿を見せた。
「オーーーーーッ!!クルスじゃないか?!元気じゃったか?」
老人は、クルスに気付き嬉しそうな顔をしている。
再会を喜んでいる様子だ。
「オゥッ!アルジイも元気そうで良かった!」
クルスも久しぶりの再開を喜んでいる様子だ。
なんか…………仲良さげだな二人……
完全に置いてけぼりだぞ俺……
「して……クルスよ。こちらは?」
アルジイはクルスに尋ねた。
「……あーコイツはカス……いやショウタじゃ。ワシの仕事を手伝ってもらってる。まぁ仮採用だがな。」
クルスはチラッとショウタを見た。
「あ……はじめまして!トガシショウタと言います!」
ショウタはアルジイに挨拶をした。
「はじめましてショウタくん。おぬしも大変じゃのぅ……こんな変わり者と一緒で……」
アルジイはニヤニヤ笑ってクルスをチラッと見た。
「ハッ!!アルジイには言われたくないわ!!」
クルスは近くの椅子にドガッと座った。
「あの…………お二人はどんなご関係なのでしょうか?」
ショウタは恐る恐るアルジイに尋ねた。
「あぁ…………ワシとクルスは元冒険者仲間じゃよ。もう30年前じゃなぁ……あの頃はワシもイケメンで酒場に行けば女がわんさか寄ってきたもんじゃ。それと………………」
急にアルジイの何かのスイッチが入ったのか、昔話を語り始めてしまった。
「へぇ…………」
ショウタは少し興味があった。クルスの昔の話も聞けると思ったのだ。
すると…………
「アルジイ!!もうその話しつこいんじゃ!ジジイは昔の自慢話が長いから嫌じゃ!」
クルスが堪らずアルジイの話を静止した。
「もう!何じゃクルスよ!相変わらずせっかちじゃなおぬしは!!………………それはそれとクルスよ!今日は何の用じゃ?お前さんの事だからどうせ面倒事だと思うがな……」
アルジイは顎髭を触りながらクルスに尋ねた。
「面倒事とは失礼な!!アルジイには、あるものを探して貰いたいんじゃ!!」
クルスは椅子から立ち上がる。
「なんじゃ?あるものって?」
アルジイがクルスに尋ねた。
「解体屋の若い奴知ってるじゃろ?親方が失踪してからアイツが跡を継いだらしいんじゃが、親方が使ってたオリハルコン製の斬馬刀が盗まれたらしいんじゃ……全く、マヌケなヤツじゃ。アルジイよ。お前には、それを見つけて欲しい」
クルスはアルジイに来訪理由を説明した。
「はぁ…………やっぱり面倒事じゃないか……老人を労わる気持ちは無いのか?………………まぁ良い……その代わりお代は金貨10枚じゃ。前金で5枚貰う。いいな?」
アルジイは面倒臭そうにしている。
「ああ!それで良い!頼んだぞアルジイ!」
「あぁ……3日後にここに来い!」
アルジイは何やら探している。
「わかった!」
そう言うとクルスとショウタは足早にアルジイの家を出た。
――アルジイの家の外――
「ヨシッ!!これで斬馬刀の件は解決じゃな!!次はお前じゃカスッ!」
クルスはショウタの方を向いてニヤっと笑った。
「えっ?ちょっと待ってください!さっきから全然分からないんですけど!アルジイさんって何者なんですか?なんで斬馬刀の件は解決なんですか?」
ショウタはクルスに尋ねた。
「まったく!…………面倒じゃな!よく聞け?アルジイは、あんな見た目だが、モノ探しのプロで現役時代は凄腕のトレジャーハンターじゃった。アイツのスキルは『イメージしたモノの場所が分かるスキル』なんじゃよ!まぁ……要するにお前のモノバージョンじゃな。
だから、探しものがある時はアルジイに頼めば一発じゃ。ただ、昔より時間はかかるみたいじゃがな」
クルスはアルジイに頼んだ理由を説明してくれた。
「……なんすか……それ!めちゃくちゃ羨ましい!!そんなスキルあったら宝物見つけまくってすぐ大金持ちじゃないですか?!いいなーー!」
ショウタはアルジイを羨ましがる。
「バカもん。見つけてどうする?ダンジョンには強力な魔物がいるんじゃぞ?どうやって魔物を倒しながら進むんじゃ?」
クルスは呆れながら尋ねる。
「そ……それは……強い人を傭兵で雇えば良いんですよ!」
ショウタは自信満々に言う。
「おめでたいヤツじゃ。傭兵なんてすぐ裏切るぞ……」
クルスは淡々と話す。
「……なんですかもう……まぁいいですよ!!それで?!斬馬刀見つけても解体屋の人はリンドブルムは親方じゃないと、解体出来ないって言ってましたよ?どうするんですか?親方いないと解体出来ないから素材売れませんよ!!………………ん?まさか………………親方…………」
ショウタは話している途中で何かに気付いた。
「そうじゃ!!!お前のスキルじゃ!!」
クルスはニカっと笑った………………
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