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21話 「今回のターゲットはコイツじゃ!!!」
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広い洞窟内……ダンジョンだろうか。
洞窟の内部は、うっすらと青白く光っている……
壁に生えているヒカリゴケや埋まっている魔石から出る僅かな光で照らされているようだ。
洞窟の最下層から声が聞こえる………………
――ダンジョン最下層――
「みんな!後もう一息だ!!頑張れ!!!コイツを倒したらクエストクリアだぞ!!」
ヒューマンの男戦士がパーティメンバーを鼓舞した。
目の前には、巨大なモンスターが立ちはだかっている。蛇のようなドラゴンのような巨大なモンスターだ。
鋭い爪。硬そうな鱗に覆われた皮膚。
生半可な剣では貫通しそうにも無い……モンスターは余裕の表情を見せるかの様に時折、大きな翼をバサバサと動かし、威嚇してくる…………
「ハァ……ハァ……もう無理、限界…………」
ウサギ耳の武闘家の少女が力無く地面に膝を付く。呼吸は荒く、かなりキツそうだ。
「諦めるな!!!クソッ!!…回復を頼む!!!」
叫ぶ戦士。後ろにいる回復役からの回復を待つ。
しかし、反応が無い。どういう事だ。
他のメンバーはどうなってる……
後ろを振り返る戦士。
エルフの男狩人、ヒューマンの女神官……どちらも瀕死の状態だ。
「オイッ!!!二人共大丈夫か?!」
戦士が叫ぶ。
「………………………………ゥゥ」
横たわる神官。気絶寸前だ。
「ウゥ………………クソ……」
狩人はヨロヨロ這いつくばり、モンスターに弓を構えている。
ポロ……
しかし力が入らず、矢を落としてしまった。
「クソ…………無理するな!!!」
戦士が狩人に向かって叫ぶ。
モンスターは、何もしてこない。
余裕の表情を浮かべ、大きなあくびをしている。
威嚇することもしなくなった。
完全に舐め切っている。
「クッ…………クソがーーーーーーー!!!」
無謀にもモンスターに向かって剣を振り上げる戦士。
ガキンッ………………
モンスターの硬い鱗に歯が立たず折れてしまった。
圧倒的な力の差だ‥‥
ドサ…………
後ろに尻もちをつく形で倒れる戦士……
目は虚で放心状態。
息は荒く呆然としている。
「ハァ……ハァ………………ハ…………ハハ……どうなってやがる。何で?……………………こんな筈じゃなかった。勝てる筈だったのに…………どうして……」
戦士は戦意喪失してしまったのかブツブツ独り言を言っている。
現実が理解出来ないようだ。
モンスターは、また大きなあくびをしている。
すると……もう飽きてきたのか、眼付きが変わった。
次の瞬間…………突如、鋭い爪を戦士に向かって振り降ろす!!!!!
戦士は尻もちを付いたまま、呆然としている。
完全に抜け殻状態だ。
ブツブツと何か呟いていて逃げようとしない。
動こうとしない!!
「危ない!!!!!!逃げて!!」
瀕死寸前のファイターが叫んだ。
洞窟内にファイターの叫び声が、こだました…………
――1日前――
――プリティファイナンス事務所――
皆さんこんにちは。ショウタです。
入社してから三ヶ月。
事務所の仕事にも少しずつ慣れてきました。
あんなに貧しかった、あの頃の自分は、もういません。今では冒険者時代には考えられないぐらいの生活をしています。
なんと……朝からパンケーキを食べています。
腐ったパンを食べていた僕が……
あぁ……なんて幸せなんだろう……
ある一点を除いては…………
バンッ!!!!!
ショウタの机に勢いよく紙を叩きつけるクルス。
「わっ!!びっくりした!!何ですか急に……」
急に目の前で机を叩くもんだから、椅子から転げ落ちそうになった。
「今回のターゲットはコイツだ!!」
鋭い眼付きで眉間にシワを寄せ、険しい顔つきで似顔絵を指差したクルス。
「ごくッ…………」
重い空気を察知し、生唾を飲むショウタ……
似顔絵をチラッと見た。
ん?これはなんだ?
…………………………ゴリラの絵だ。
まごう事なきゴリラの絵がそこにはあった。
鎧を着たゴリラ……
アーマードゴリラだろうか……
「あの…………これ……ゴリラ……じゃないですよね?」
恐る恐る尋ねるショウタ。
「バカヤロー!!これのどこが、ゴリラじゃ!!人間にしか見えないじゃろーが!ほら!」
自分が書いた絵をゴリラ呼ばわりされ怒るクルス。もう一度絵を見せる。
「………………ゴリラ?」
首を傾げながら答えるショウタ
「………………コロス!」
刃物を持ち出すクルス。目がマジだ。
「ウ……ウソです!ウソです!ごめんなさい!!悪ふざけが過ぎました。ゴリ…………いや人間ですよね!!もうちょっと詳しく情報教えてもらっても良いですか?」
必死に謝るショウタ。
「……くそが!!最初っからそう言え!たわけ!カス!!クビにするぞ!‥‥‥‥まぁいい…………こいつはな、『アダチシンノスケ』。冒険者パーティ『漆黒の翼』のリーダーじゃ!!3日前に返済期限が過ぎたが、一向に返済に来ない。いつもは遅れずに返済に来る上客だから、少し大目に見ていたが、今回はさすがに遅い!!だからこれからヤツの所に行って一括回収する!」
めちゃくちゃキレた後、債務者の情報を教えてくれた。
漆黒の翼?拗らせてるな‥‥
「えっ?あれ……アダチって……」
クルスの話しを聞き終わってすぐ、急に何か考え出すショウタ。
「ん?どうした?」
クルスは尋ねる。
「あの……ソイツ。俺の知り合いです。俺と同時期に転生したヤツですよ。あれ?でも……アイツ借金なんかしてんのかな?」
ショウタは不思議そうに呟く……
というのも、「ソイツ」とは、以前にショウタを小馬鹿にしていた冒険者の「シンノスケ」である。
あの時は、ピカピカの装備に可愛い女の子を連れており、決して借金をしている様には見えなかった。
「あの…………社長?シンノスケは、どんな理由で借金したんですか?」
気になったので聞いてみた。
「ん?詳しい事は知らん!!オイッ!そんな事どうでもいいから、とっととヤツの居場所を調べろ!!」
クルスはイライラしている。貧乏揺りが止まらない
「あ……はい」
生活費?生活に困ってるのか?
あれ、もしかして違う人?
まぁ……いいや。
頭を抱えて念じるショウタ。
静かに目を閉じた。
……………………………………………………
「はい。分かりました。ダンジョンにいるみたいですね~。ダンジョン内をメンバーと一緒に歩いてます。」
やっぱりシンノスケだ。現にイメージしたら居場所が分かったのだから。
「ダンジョンか………………面倒だな……それで?どのダンジョンか分かるか?」
「えっと…………恐らく西にあるエダニア?ダンジョンですね……洞窟内が、うっすら光っていました」
ショウタは戦闘経験こそ乏しいもののファンタジー世界には興味があった為、転生してからパラディソスの、ありとあらゆる地名や地形を記憶していた。なんせヒマだったから……
こんな所で役に立つとは思わなかったが……
その為、シンノスケがいるのは、エダニアダンジョンと確信していた。
「うーん………………エダニアダンジョンか…………」
少し悩むクルス。
「どうかしました?社長?」
「いや……あの辺は似たような形のダンジョンも多い。もしかしたら違うかもしれないじゃろ?間違えてたらめんどくさいなと思ったんじゃよ……行ったり来たりすんのも面倒じゃし……」
クルスはやる気が無い。
えっ?なんかウザ!
あからさまに、面倒くさそうな顔してるし。
イラッとするけど、ここは我慢我慢…………
「まぁ……確かにダンジョンなんて似たようなもんですからね……」
いきなり上司の考えを否定してはいけない。
意見が多少食い違ってもとりあえずでも「確かに~」とか「ですよね~」とか言っておけば一旦
は大丈夫だ。その場は収まる。波風立てない事が大事。って『冒険者は必見!!先輩冒険者との接し方100!!』に書いてあったぞ。冒険者成り立ての頃に渡された本だ。どうせ役に立たないからと早々にマルカリで売ったんだっけ……。
※『マルカリ』とは、転生冒険者が運営する通販サイトだ。とんでもないスキルを持ったヤツもいるもんだと最初聞いた時は驚いた。
まぁそんなことはさておき………………
生意気な上司の話しの続きを聞かなきゃ。
「シンノスケは冒険者じゃ。どうせクエストでダンジョン攻略に行った筈じゃ!念のためギルドに聞けば一発で分かるさ。一旦ギルドに行くぞ」
足早に事務所を出ようとするクルス。
「あッ……はいッ!!」
せっかちだな……もう!
二人はギルドへ向かった。
洞窟の内部は、うっすらと青白く光っている……
壁に生えているヒカリゴケや埋まっている魔石から出る僅かな光で照らされているようだ。
洞窟の最下層から声が聞こえる………………
――ダンジョン最下層――
「みんな!後もう一息だ!!頑張れ!!!コイツを倒したらクエストクリアだぞ!!」
ヒューマンの男戦士がパーティメンバーを鼓舞した。
目の前には、巨大なモンスターが立ちはだかっている。蛇のようなドラゴンのような巨大なモンスターだ。
鋭い爪。硬そうな鱗に覆われた皮膚。
生半可な剣では貫通しそうにも無い……モンスターは余裕の表情を見せるかの様に時折、大きな翼をバサバサと動かし、威嚇してくる…………
「ハァ……ハァ……もう無理、限界…………」
ウサギ耳の武闘家の少女が力無く地面に膝を付く。呼吸は荒く、かなりキツそうだ。
「諦めるな!!!クソッ!!…回復を頼む!!!」
叫ぶ戦士。後ろにいる回復役からの回復を待つ。
しかし、反応が無い。どういう事だ。
他のメンバーはどうなってる……
後ろを振り返る戦士。
エルフの男狩人、ヒューマンの女神官……どちらも瀕死の状態だ。
「オイッ!!!二人共大丈夫か?!」
戦士が叫ぶ。
「………………………………ゥゥ」
横たわる神官。気絶寸前だ。
「ウゥ………………クソ……」
狩人はヨロヨロ這いつくばり、モンスターに弓を構えている。
ポロ……
しかし力が入らず、矢を落としてしまった。
「クソ…………無理するな!!!」
戦士が狩人に向かって叫ぶ。
モンスターは、何もしてこない。
余裕の表情を浮かべ、大きなあくびをしている。
威嚇することもしなくなった。
完全に舐め切っている。
「クッ…………クソがーーーーーーー!!!」
無謀にもモンスターに向かって剣を振り上げる戦士。
ガキンッ………………
モンスターの硬い鱗に歯が立たず折れてしまった。
圧倒的な力の差だ‥‥
ドサ…………
後ろに尻もちをつく形で倒れる戦士……
目は虚で放心状態。
息は荒く呆然としている。
「ハァ……ハァ………………ハ…………ハハ……どうなってやがる。何で?……………………こんな筈じゃなかった。勝てる筈だったのに…………どうして……」
戦士は戦意喪失してしまったのかブツブツ独り言を言っている。
現実が理解出来ないようだ。
モンスターは、また大きなあくびをしている。
すると……もう飽きてきたのか、眼付きが変わった。
次の瞬間…………突如、鋭い爪を戦士に向かって振り降ろす!!!!!
戦士は尻もちを付いたまま、呆然としている。
完全に抜け殻状態だ。
ブツブツと何か呟いていて逃げようとしない。
動こうとしない!!
「危ない!!!!!!逃げて!!」
瀕死寸前のファイターが叫んだ。
洞窟内にファイターの叫び声が、こだました…………
――1日前――
――プリティファイナンス事務所――
皆さんこんにちは。ショウタです。
入社してから三ヶ月。
事務所の仕事にも少しずつ慣れてきました。
あんなに貧しかった、あの頃の自分は、もういません。今では冒険者時代には考えられないぐらいの生活をしています。
なんと……朝からパンケーキを食べています。
腐ったパンを食べていた僕が……
あぁ……なんて幸せなんだろう……
ある一点を除いては…………
バンッ!!!!!
ショウタの机に勢いよく紙を叩きつけるクルス。
「わっ!!びっくりした!!何ですか急に……」
急に目の前で机を叩くもんだから、椅子から転げ落ちそうになった。
「今回のターゲットはコイツだ!!」
鋭い眼付きで眉間にシワを寄せ、険しい顔つきで似顔絵を指差したクルス。
「ごくッ…………」
重い空気を察知し、生唾を飲むショウタ……
似顔絵をチラッと見た。
ん?これはなんだ?
…………………………ゴリラの絵だ。
まごう事なきゴリラの絵がそこにはあった。
鎧を着たゴリラ……
アーマードゴリラだろうか……
「あの…………これ……ゴリラ……じゃないですよね?」
恐る恐る尋ねるショウタ。
「バカヤロー!!これのどこが、ゴリラじゃ!!人間にしか見えないじゃろーが!ほら!」
自分が書いた絵をゴリラ呼ばわりされ怒るクルス。もう一度絵を見せる。
「………………ゴリラ?」
首を傾げながら答えるショウタ
「………………コロス!」
刃物を持ち出すクルス。目がマジだ。
「ウ……ウソです!ウソです!ごめんなさい!!悪ふざけが過ぎました。ゴリ…………いや人間ですよね!!もうちょっと詳しく情報教えてもらっても良いですか?」
必死に謝るショウタ。
「……くそが!!最初っからそう言え!たわけ!カス!!クビにするぞ!‥‥‥‥まぁいい…………こいつはな、『アダチシンノスケ』。冒険者パーティ『漆黒の翼』のリーダーじゃ!!3日前に返済期限が過ぎたが、一向に返済に来ない。いつもは遅れずに返済に来る上客だから、少し大目に見ていたが、今回はさすがに遅い!!だからこれからヤツの所に行って一括回収する!」
めちゃくちゃキレた後、債務者の情報を教えてくれた。
漆黒の翼?拗らせてるな‥‥
「えっ?あれ……アダチって……」
クルスの話しを聞き終わってすぐ、急に何か考え出すショウタ。
「ん?どうした?」
クルスは尋ねる。
「あの……ソイツ。俺の知り合いです。俺と同時期に転生したヤツですよ。あれ?でも……アイツ借金なんかしてんのかな?」
ショウタは不思議そうに呟く……
というのも、「ソイツ」とは、以前にショウタを小馬鹿にしていた冒険者の「シンノスケ」である。
あの時は、ピカピカの装備に可愛い女の子を連れており、決して借金をしている様には見えなかった。
「あの…………社長?シンノスケは、どんな理由で借金したんですか?」
気になったので聞いてみた。
「ん?詳しい事は知らん!!オイッ!そんな事どうでもいいから、とっととヤツの居場所を調べろ!!」
クルスはイライラしている。貧乏揺りが止まらない
「あ……はい」
生活費?生活に困ってるのか?
あれ、もしかして違う人?
まぁ……いいや。
頭を抱えて念じるショウタ。
静かに目を閉じた。
……………………………………………………
「はい。分かりました。ダンジョンにいるみたいですね~。ダンジョン内をメンバーと一緒に歩いてます。」
やっぱりシンノスケだ。現にイメージしたら居場所が分かったのだから。
「ダンジョンか………………面倒だな……それで?どのダンジョンか分かるか?」
「えっと…………恐らく西にあるエダニア?ダンジョンですね……洞窟内が、うっすら光っていました」
ショウタは戦闘経験こそ乏しいもののファンタジー世界には興味があった為、転生してからパラディソスの、ありとあらゆる地名や地形を記憶していた。なんせヒマだったから……
こんな所で役に立つとは思わなかったが……
その為、シンノスケがいるのは、エダニアダンジョンと確信していた。
「うーん………………エダニアダンジョンか…………」
少し悩むクルス。
「どうかしました?社長?」
「いや……あの辺は似たような形のダンジョンも多い。もしかしたら違うかもしれないじゃろ?間違えてたらめんどくさいなと思ったんじゃよ……行ったり来たりすんのも面倒じゃし……」
クルスはやる気が無い。
えっ?なんかウザ!
あからさまに、面倒くさそうな顔してるし。
イラッとするけど、ここは我慢我慢…………
「まぁ……確かにダンジョンなんて似たようなもんですからね……」
いきなり上司の考えを否定してはいけない。
意見が多少食い違ってもとりあえずでも「確かに~」とか「ですよね~」とか言っておけば一旦
は大丈夫だ。その場は収まる。波風立てない事が大事。って『冒険者は必見!!先輩冒険者との接し方100!!』に書いてあったぞ。冒険者成り立ての頃に渡された本だ。どうせ役に立たないからと早々にマルカリで売ったんだっけ……。
※『マルカリ』とは、転生冒険者が運営する通販サイトだ。とんでもないスキルを持ったヤツもいるもんだと最初聞いた時は驚いた。
まぁそんなことはさておき………………
生意気な上司の話しの続きを聞かなきゃ。
「シンノスケは冒険者じゃ。どうせクエストでダンジョン攻略に行った筈じゃ!念のためギルドに聞けば一発で分かるさ。一旦ギルドに行くぞ」
足早に事務所を出ようとするクルス。
「あッ……はいッ!!」
せっかちだな……もう!
二人はギルドへ向かった。
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