12 / 30
12話 ムダムダムダムダムダムダ!!!!おいおい。大丈夫か?これ。
しおりを挟む――聖フランシス大教会の外――
場面はショウタがスキルを使い、偽セーラ(アンナ)を見つけるシーンに戻る。
「見つけました!!クルスさん!!ここから東に10キロ行ったところにある村です!!!そこにいますッッ!!!!!」
ショウタがクルスに向かって大声で叫ぶ。
バコンッ!!
クルスがショウタの頭を思いっきり殴る。
「うるせーーー!!バカ!聞こえてるっての!!」
クルスは耳を押さえてキレている。
「…………イタイ!!ヒドイ!!何するんですか?パワハラですか?いや……もうハラいらない。もはや単純なパワーです。暴力です。全く……時代錯誤も甚だしいですね」
ショウタは冗談が言えるぐらいは元気みたいだ。
「……は?キモ」
クルスは、ゴミでも見るかの様な目でショウタを見た。
「あ……………………いや……その……すみません……」
冷たい視線に耐えきれず、すぐに謝った。
「さぁ、ふざけてないで回収にいくぞ!!カス!」
クルスは東へ歩き出した。
「カスじゃありません。ショウタです。」
ショウタは冷静に訂正した。
歩き出してすぐ……クルスが立ち止まる。
「…………で?東ってどっちだ?」
クルスが尋ねる……
「………………ベタですね」
「……………………」
その後二人はギルドで地図を借りて目的地へと向かった。
――東の辺境の村――
「…………ちょっと……クルスさん……速すぎますよ………………ゼェ……ゼェ……」
10キロも歩いたのだ。ショウタは疲労困憊であった。
「情け無いのぅ~それでも男か?」
クルスは村の前の岩に座りまったり優雅に紅茶か何かを飲んでいる。
それを見たショウタはすぐ反応した。
「エッ……なんですか?それ?自分だけ?ズルい」
何一人だけまったりしてるんだよ……おれにもくれよ。ショウタは目で訴えた。
「は?カスにやる飲み物は一滴も無いわ。サボってないでさっさと偽物セーラを探せ。ダラダラしてたら日が暮れてしまうぞ」
クルスは、ショウタに早く探す様促した。
「はいはい………………ったく……鬼かよ………………クソがッ……」
ショウタはクルスに聞こえないぐらいの小さな声で小言を吐いた。
「ん?なんじゃ?死にたいのか?」
クルスは、どこから持ってきたのか分からない巨大な棍棒を肩にかけてショウタを睨み威圧してきた。
「い…………いえ…………何でもありません……」
何で聞こえてんだよ!!
殺されるのだけは勘弁だ。
大人しく探そう。
ショウタは偽物セーラを探す為、再度スキルを使った。
ショウタは目を瞑って念じ始めた。頭の中に対象者の場所がイメージ化される。
ん?…………近いぞ。
馬小屋か?一人みたいだ。
「クルスさん。こっちみたいです」
ショウタはイメージされた場所へと向かう。
クルスはショウタの後ろをのんびり歩いている。
ショウタが馬小屋に着いた。
「……うん……ここだ…………ここにいる筈なんだけどな………………あの~!すみません。ごめんください~」
馬小屋に向かって叫ぶショウタ。
クルスは後ろでペロペロキャンディーを舐めてその様子を見ている。
……すると
「……なんだよ!!うっさいなーー!!誰だよ?!………………あ」
偽物セーラことアンナが出てきた。アンナはすぐクルスの存在に気付いた。
クルスがアンナの元へダッシュした。
「やっほー!!シスターセーラ!!ワシじゃよ~。ワシ~、プリティファイナンスのクルスじゃ。プリティ、プリティ。あれれ~~??今日は教会は休みか?」
クルスは急に元気いっぱいの少女になり、わざと嫌味な質問をした。
「えっ……いや……その……」
突然のクルスの訪問に焦るアンナ。
「ん?どうしたんじゃ?そんな緊張しなくても大丈夫じゃよ。お主がシスターセーラじゃなくてもワシには関係ないからのぅ」
クルスはニヤっと笑う。この状況を楽しんでいる様にも見える。
「エッ!!…………なんで??」
アンナはシスターセーラじゃ無い事がバレて驚いている。
「最初から偽物だって分かって貸したんじゃよ~~。まぁ動機は不明じゃが、お前さんがちゃんと返してくれるんじゃよな?」
クルスは圧をかけてくる。
……すると、しばらく間が空いた後………………
「………………フンッ…………知らないわよ。もうお金は無いわ。それに借りたのはシスターセーラで私じゃないわ。勘違いじゃない?お嬢ちゃん?」
アンナは急に強気な態度に出た。相手が弱そうな子供だからだろう。完全に舐めている。
あちゃー…………
この人大丈夫か…………
横で見ていたショウタは少し心配だった。
すると…………
「おー!いい根性しとるな偽セーラ。返さないつもりか?」
クルスはニヤニヤしている。笑っているのが逆に怖い。
「……そうよ……無いものは無いの。無いお金をどうやって返すのよ。どうぞ。好きにすれば?」
アンナは完全に開き直っている。
グゴゴゴゴゴ…………
辺りが暗くなった……
え?なに?
クルスさん……何かする気だな…………
最早この人は未知数だ……
すると……
ドゴーーーーンッ!!!!
突然、辺りが暗くなりアンナの目の前に稲妻が落ちた!
「キャーーー!!えっ?えっ?…………何?」
アンナは尻もちをついて驚いている。
アンナが座っている地面は水たまりが出来ている。
あーあー………………
「return?not return?」
え?英語?合ってるそれ?なんか逆にダサくない?
クルスの指先は稲妻だろうか?バチバチ音が鳴っている。
ドヤ顔をしているクルス。
明らかに「決まったー!」という顔をしている。
ここでダサいと指摘したら、俺にまで稲妻を落とされかねない。大人しく見ておこう。とショウタは思った。
何を言っているか分からないが、ヤバい事だけは理解したアンナ。
必死に逃げ様とする。
「ムダムダムダムダムダムダムダ!!!」
ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!
おいおい……大丈夫か?そのセリフ……
完全に某少年誌のあのキャラのセリフじゃないか。
怒られても知らないぞ。
クルスは逃げるアンナ目掛けて稲妻の連続攻撃を繰り出す。全てギリギリ外れている。
わざとなのか、下手なのかは分からない。
「………………す……ずびばぜん」
アンナは鼻水、涙を垂れ流したぐちゃぐちゃの顔でクルスに謝る。
いやいや…………やり過ぎだろ……これ……
現代なら脅迫で一発アウトだよ……
ショウタはアンナに同情した。
アンナの謝罪を聞いたクルスは、静かに話し始めた。
「偽セーラよ…………ワシはな……お前さんに謝って欲しいんじゃない。返せるか返せないかを教えて欲しいだけなんじゃ」
クルスは、フッと笑った。
……最初からそう言えよ。
何だよ、return?not return?って……分かりづらい。
しかも最後のフッ……って何だよ。いちいち酔ってんじゃねーよ。
「…………あ……ハイ。返します!返します!でも……わたし本当に今お金無いんです!」
必死に訴えるアンナ。
ん?なんで?
借りたの昨日でしょ?金貨200枚は流石に一日で使える額じゃないでしょ?
ショウタは、それを聞いて疑問だった。
「……ん?なんでじゃ?」
クルスも同じ質問をした。
「………………実は………………」
アンナは、金が無い理由を語ってくれた。
一方………………
――聖フランシス大教会――
暗い地下室に一つだけ明かりが灯った部屋がある。
明かりが部屋の外に漏れている。
何やら音がする。
カチャ‥‥‥カチャ‥‥‥カチャ‥‥
「あー……上手くいった…………これで………………」
部屋の中では、黒いローブを着た人物が、大量の金貨を数えていた。
この人物は一体誰だろうか。
何故大量の金貨を数えているのだろうか?
物語は真相に向けて一気に加速する?かもしれない
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
チート薬学で成り上がり! 伯爵家から放逐されたけど優しい子爵家の養子になりました!
芽狐
ファンタジー
⭐️チート薬学3巻発売中⭐️
ブラック企業勤めの37歳の高橋 渉(わたる)は、過労で倒れ会社をクビになる。
嫌なことを忘れようと、異世界のアニメを見ていて、ふと「異世界に行きたい」と口に出したことが、始まりで女神によって死にかけている体に転生させられる!
転生先は、スキルないも魔法も使えないアレクを家族は他人のように扱い、使用人すらも見下した態度で接する伯爵家だった。
新しく生まれ変わったアレク(渉)は、この最悪な現状をどう打破して幸せになっていくのか??
更新予定:なるべく毎日19時にアップします! アップされなければ、多忙とお考え下さい!
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
独自ダンジョン攻略
sasina
ファンタジー
世界中に突如、ダンジョンと呼ばれる地下空間が現れた。
佐々木 光輝はダンジョンとは知らずに入ってしまった洞窟で、木の宝箱を見つける。
その宝箱には、スクロールが一つ入っていて、スキル【鑑定Ⅰ】を手に入れ、この洞窟がダンジョンだと知るが、誰にも教えず独自の考えで個人ダンジョンにして一人ダンジョン攻略に始める。
なろうにも掲載中
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる