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私物化された国庫と会議での承認

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「このまま陛下にこの国を任せておけば近いうちに反乱が起こりますわ。その火種となるのが兄でしょうね。この中にも私が即位することを良しと思っていない方が居ますし、陛下からの寵愛を受けている兄を次期王にと考え様々な策略を練る者も増えてくるでしょう。そうなる前に私は王座に着きたいのです。それに加えて、陛下は国庫にまで手を出しておいでです。先王の時より税収が上がっているにも関わらず国庫は減少する一方です。ここにおられる方々はなぜだかお分かりですよね?陛下が即位してから税率を上げたから税収が上がったのです。しかし、国民に対してそれが還元されることはなく妾や兄に対して使われているのです。宰相、ここ3ヶ月の国庫の帳簿を出しなさい。」

「かしこまりました。皆様のお手元にご用意しております資料をご確認ください。この帳簿は代々宰相を務めている我が家のコルベール家が記録しているものでございます。帳簿を改ざんした場合には宰相であるコルベール家の当主が死ぬという魔術契約を王宮魔術師によって王家と結んでおりますので私が生きている事がこの帳簿の正当性を証明しております。」

まさかこのような証拠がこの会議で提出されるとは思っていなかったのか、室内にどよめきが起こりました。

「ご覧の通り、本来であれば国を豊かにし発展させていくための国庫を陛下は妾への贈り物や兄への小遣いなどで国庫を私物化しております。このままでは近い将来この国は他国から様々な理由をつけられて攻め込まれ搾取されるようになるでしょう。兄は国庫を私物化しているのとを理解しておらず図々しくも次期王が自分であると学園で騒いでおります。この国の法をご存知の方々はそのような世迷い言には惑わされないと思いますけど…ね?アヴェーヌ公爵家、ヴェルジー侯爵家のご当主。」

おふたりは顔から血の気が引いており、自分たちの発言がいかに愚かで不敬にあたるものかを初めて認識したようです。

「あ、ひとつ伝え忘れておりましたわ。おふたりのご子息であるアルバート様とフレディ様はディスメイン様と深い関係だとか。ディスメイン様は婚約者である兄の目の前で堂々とご子息たちに金銭的な援助をしてもらうと宣言されておりましたから。三男や次男に婿入りもさせず他国の王女に貢がせようなどと考えてはおりませんよね?上位貴族である公爵家と侯爵家が揃いも揃って出来の悪い息子を育て上げた教育方針には感服致しますわ。それに加えて当主も次期王が喋っている最中に言葉を遮り意見するとは私がおふたりの立場なら恥ずかしくて社交界にも顔を出せませんわね。」

両家の当主による先程の私に対する侮辱も学園での息子たちの無礼も許す気はありませんので、社交界からの追放を伝えました。これからこの両家は衰退の一途を辿ることになるでしょうね。ご愁傷さま。

「さて、皆様。私が即位することに対して賛成していただける方はご起立くださいませ。」

周りを見渡しながら問いかけると最初の頃とはうって変わり迷うことなく立ち上がる者がほとんどでした。会議での採決は8割が賛成をすれば承認されますので私の即位に関しては承認されました。

「ありがとうございます。私の即位は1週間後と致します。即位式に関しては時期を見て執り行うということで。では、これにて会議を終了と致します。宰相、あとはよろしくね。」

「かしこまりました。」

宰相の返事を聞いて私は退出をしました。
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