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最高会議の開始

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「では、最高会議を始めます。」

宰相の進行によって最高会議が開始されました。

出席しているのはこの国の伯爵家以上の家の当主、王家に仕える家臣たちと私です。

国王が出席していないのは、公務をかまけて離宮に住んでいるシュベルターの母親と過ごしているからなのでしょう。

議題については今まで誰にも話していなかったので今日の会議に出席しなかったことを後悔することになるというのに。

「本日の議題についてイザベル王女より説明をして頂きます。」

「現国王であるアルベルト・フェルーンを国王から退け次期国王であるイザベル・フェルーンが即位する案について議論を交わしたく最高会議を招集致しました。」

「では、議論に移りますがイザベル王女の国王即位に対して意見があるものは家名を名乗り発言をしてください。」

宰相の問いかけに対して頷くものも居れば私に対して不埒な目線を投げ付けて来たり周りの様子を探ろうとする者など反応は様々なようです。

「アヴェーヌ公爵家のジョージでございます。この度の議題についてですが、なぜこのタイミングでの即位なのでしょうか?国王陛下はまだご健在ですし、イザベル王女は学園に入学したばかりであり国を治める為の知識も経験も国王陛下より劣っていると考えるのが普通だと思うのですがね。」

はあ、やはりあの息子アルバートの親ということでしょうか。アルバートひとりだけがシュベルターを王になるべきだと考えているのではなく、この公爵家自体が私が次期王になることを好ましく思っていないのでしょう。

「アヴェーヌ公爵、その言葉は公爵家としての総意ということでいいですか?」

宰相の問いかけに対して迷うことなく公爵は断言をします。

「はい。この言葉はアヴェーヌ公爵家の総意でございます。」

「他にこの意見に賛同する者はご起立を。ご起立されるということは家の総意であるということをお忘れなきよう。」

起立をした者はアヴェーヌ公爵家とフレディの実家であるヴェルジー侯爵家です。
どちらの家の息子もディスメイン様の取り巻きですから、容易に想像出来た展開です。

「アヴェーヌ公爵家、ヴェルジー侯爵家のみイザベル王女の即位に対して異を唱えるということですね。イザベル王女、なぜこのタイミングでの即位を目指すのかをご説明頂けますでしょうか。」

さて、反撃を始めるとしましょう。

「このタイミングでの即位についての理由ですが、皆様もご存知の通り陛下がアメイル国との国交を再開させたことです。アメイル国は先々王の時代に我が国に対して奇襲をしかけてきた敵国です。陛下はアメイル国の武器を目的として貿易を行うとしておりますが、実際のところは第一王子の結婚相手としてアメイル国の第二王女を迎えるためです。このままでは、いつアメイル国に反旗を翻されるか分からない不安定な状態になりますわ。」
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