4 / 8
第4話
しおりを挟む
数日後
「美鈴さん、最近元気ないよね。なんか、あった?」
「・・・拓也さん・・・・」
例の、美鈴さんが付き合ってる人だ。
「俺たちってさ、付き合ってるんだよね?」
「・・・そうだね。でも、大丈夫、ちょっと疲れただけなの」
「・・忙しそうだね。先生の資格とるんだろ?」
「・・えぇ、もうすぐ試験あるし」「・・・あんまり、根詰めるなよ?じゃあ、また、連絡する・・・」
「・うん」
そう言って拓也さんは、車で去っていってしまった。
ごめんね、拓也さん。
わたし・・・・・
わたしね・・・・
甦るのは、あいつのあの言葉・・・
ーあなたともし、付き合うことになっても、きっとうまく行かないですよ・・・ー>
後悔してるの。
ーあなたといても、疲れてしまうからー
あいつが、あんな顔するから・・・・。
どうしたら、いいの?
その頃、
「ねぇ?瑠美、これどうかな?」
うちは、瑠美に、勇気くんとのことを話した。
「ねぇ、みと!それってさ、練習台とかじゃないよね?」
瑠美が、質問攻めしてくる。
「・・みとは、彼のこと 本気じゃないの?」
確信を突いてきた!
「・・・本気かも・・・・だって、まだ、10日しか経ってへんのに、勇気くん、優しいからうちのこと、ほっとけやんだけかもしれやん。」
「・・みと・・・」
「・・はっきりしない男だよね!そんな男、みとの方から、振っちゃいなよ!」
「・・そんなことできたんなら、とっくにしとる・・・」
なのにできやん。
「・・みと・・・」
「・・・もしかしたら、初めてあったときから、惹かれてたんかもしれやん・・・。これは、練習台なんや。それでも、ええんや。勇気くんが幸せになってくれたら・・・。だって、うちは約束したんや。応援するって。」
「・・その勇気ってやつの、好きな人は、彼氏いるんでしょ?そんなのうまくいくわけないじゃん!」
「・・・うちは、そうおもわん。
だって、二人は、両思いやもん。」
「・・なんでわかるの?みたの?」
「・・・ううん、見てないよ。けど、似てる人、知っとるから・・・」
うちは、泣くのを我慢して、瑠美に、精一杯の笑顔を見せる。
「・・・わかった!わかったよ。みと。もう、これ以上は、なにもいわない」
うちのことを、優しく抱き締めてくれる、瑠美。
「・・・・最高のデートしなさいね」
「・・・瑠美・・・・」
「・・・いまだけは、泣いていいから。ううん、いまからなら、いつでも泣いていいよ?とことん付き合うから!」
「・・・うん、ありがとう、瑠美」
うちと瑠美は
いまは、忘れることにしたんや。
そして、
「・・・美鈴さん・・・・・」
「・・勇気、おかえり」
「・・・おかえりって・・・・、なんでここにいるんですか」
「・・・待ってたの」
「・・・えっ?」
「・・あんたのことを、待っていたの」
「・・・えっ?俺を?なんでまた・・・。
わざわざ、ケンカしにきたとか?」
「・・・・・」
「・・悪いですけど・・・」
!?
美鈴さんが、泣いている。
「・・な、なんで。なんで泣いてるんですか?」
俺は、動揺してさらにワケわからないことを口走った。
「・・彼氏にいやがらせされたとか?テストの点が、悪かったとか・・・・」
「・・そんなんじゃないよ」
美鈴さんは、小さく呟く言葉を聞かずに・・・
「わかった!試験に不合格したのは、俺のせい」
「・・ちがうわよ!あんた、バカ?まだ、試験受けてないわよ!」
「・・・じゃあ、なんで、泣いてるんですか!」
「・・・あんたのせいだよ・・・あんたのせいで、わたし・・・・」
「・・えっ?俺の?やっぱり、俺のせいにしようとしてる・・・」
瑠美は、その光景を見てしまった。
「・・みと、渡らずにこっちにいこう!」
「・・え~っ?だって、バス停あっち側やし、そっちからやととおまわりになるやん」
うちは、正面に、勇気くんが、いるのを見た。
「・・・えっ?」
女の人が、勇気くんに、抱きついていた。
「・・・あの、人が・・・美鈴さん。」
うちは、そのばから、動けずにいた。
「・・みと!いくよ!」
瑠美は、うちの腕をとると、
「みと!今見たことは、忘れるの!」
そういいながら、腕を引っ張り、一緒に走った。
忘れられるわけないやん!
望んでいたことやのに!
うちは、うちは・・・・・
いつのまにかこんなにも、好きになっていたんや。
「・・どうしよう・・・瑠美・・・うち・・・」
「・・・みと!忘れるの!彼のことは忘れなきゃダメ!わたしが、いい男紹介してあげるから。」
「・・・じゃあ、約束は?」
「・・・断った方が、いいんじゃないかな。」
「・・うん、そうする」
こんな気持ちのまま、勇気くんと顔を合わせることができやんもん。
「・・・美鈴さん?」
突然抱きついてきた美鈴さん・・・・
「・・あんたのせいなんだから!」
「・・だから!なにが、俺のせいだと言うんです?」
「・・・わたし、気づいちゃったの。あんたが好きだって」
「・・・えっ?」
「気づいちゃったの!」
思いがけない、彼女からの告白・・・
なのに・・・・
俺の心は、なぜだか動かずにいた。
なぜなら、さっきチラッと、みとさんが見えた気がする・・・・
確かともだちと一緒だった。
もしかしたら、美鈴さんが、いま抱きついてきたのを、見られてしまったのかもしれない。
「・・どうしてくれるのよ!」
「・・ど、どうしてくれるの・・・と、言われても・・・・」
どうしてだろう。
ずっとずっと、望んでいたはずなのに・・・・
~ファイトや!勇気くん!~
ーこれ、くらいなら、見えるよ?ー
~名前の通り、勇気出して!~
みとさんは、ずっと背中を押してくれた。
こんな、頼りない俺の背中を・・・
「勇気?」
俺の相談にも、10日間、文句も言わずに乗ってくれた
だから、俺は、迷わず彼女を、映画に誘ったんだ。
「・・美鈴さん、俺はね・・・」
「・・・あなたが、好きなの! もう、あの子と会わないで!」
「・・えっ?あの子?」
美鈴さんが、いう、あの子はもしかして、みとさん?
また、抱きついてきた美鈴さん・・・・
「・・なんとか言いなさいよ!」
「・・・」
はっきりしない俺は、美鈴さんの気持ちを振り払うことが、できなかった。
「・・じゃあね、瑠美、今日は、ほんま、おおきに」
「・・こっちこそ、ありがとう、みと。」
わたしたちは、瑠美の彼氏の妹さんの誕生日プレゼントを、選んでいた。
「すっごくいいものが、見つかったね。きっと、喜んでくれるよね!」
「・・そうだね!みとのおかげだよ。じゃあね!」
そういう瑠美が、去ってすぐに、みたことあるひとが近づいてきた。
「・・・美・・・鈴さん?」
「・・えっ?うそ!」
瑠美がビックリして振り返る。
でも、彼女は、みとから、もう距離が離れていた。
「・・・初めまして、佐藤美鈴って言います」
近づいてきた彼女は、いきなり、うちに自己紹介をする。
いったい何しにきたんやろ。
「・・・初めまして、小山みとって、いいます」
「・・ら、ライバルから会いに来るなんて・・・・」
瑠美は気になり、なぜだか隠れて二人の様子をうかがっていた。
「・・・あなた、学校は?」
「・・うち、来月、短大を、卒業するんや」
「・・短大生?ってことは、勇気と年が同じなの?」
「・・はい。でも、うちな、子供っぽいから、まだ、高校生に間違えられること多いんや」
「勇気と、どこで知り合ったの?」
ー勇気・・・呼び捨て・・・ー
「・・いとこのにいちゃんの紹介で・・・・って言いたい所なんやけど」
「・・・?」
「・・うち、バスに大荷物で乗っていて、忘れてしもたんや。降りる直前に、勇気くん、届けてくれて・・・・」
ー君の荷物、重そうだったからー
「・・それが、勇気くんと初めてあったきっかけや。
でもな、そのうちのいとこのにいちゃんが、大人気のSAMURAIのメンバーで、勇気くんのクラスメイトが、、そのSAMURAIのメンバーの岡本くんで・・・・
へんな偶然が、いっぱい重なったんや」
「・・・あたしは、告白したわ」
やっぱり、あのとき・・・・
「・・勇気に、好きだと言ったわ」
「・・・・そう・・・なんや」
それを言うために?
「・・あいつは、なにもいわないけど、たぶん、付き合うことになるから」
なにもいわない?
「・・・そうなんや。それは、良かったですね」
あかん、泣きそうや。
思わず標準語に、なってしもた。
「・・・それじゃあ」
美鈴さんは、にこりともせずに、その場を去っていった。
うちは、我慢しきれずに、涙が流れてきた。
「・・・みと?大丈夫?」
「・・・瑠美・・・帰ったんじゃないの?」
「・・・だって!なんか、気になっちゃって!
あの女、何様のつもり?わたしが、一言・・・」
「・・・ええんや!」
うちは、瑠美を制止し、
「・・・でも・・・」
「・・・これで、ええんや」
「・・・みと・・・・」
次の日からうちは、一本早いバスに乗ることにした。
勇気くんは、いつもと同じバスに乗ったみたいで・・・
「あれ?みとさん、今日も乗ってない・・・」
ごめんね、勇気くん、いま、勇気くんに会ったら、気持ち溢れてしまうから・・・・
だから、もう会わない・・・・
そして、うちはあの人の家に行くことにした。
「みと?どうしたんだよ」
そう、うちが、大好きだった人・・・。
「じゃーん!これなぁんだ!」
「なんだよ、みと。おまえさぁ、なんか空元気じゃねぇか?その手紙をわざわざ持ってきてくれて言うのもなんだけど・・・・」
そう、うちは、兄ちゃんのファンレターを、わざわざ、もってきたんや。
「・・・迷惑なら帰るわ。頼まれただけやし・・・」
だけど、兄ちゃんは、怒ることも、拒むこともしなかった。
「みと、正直に言えよ。なんかあったんだろ?」
「えっ?なんもないよ?」
うそや、兄ちゃんには・・バレたくない・・・
「目が赤いし、無駄に明るいし・・・」
「何もないよ?帰るね」
これ以上いたら、バレてしまう・・・・
「もしかして、勇気ってやつとうまくいってないのか?なんかあったんだろ?」
「・・や、やだな。兄ちゃんには、関係ない話やん?」
「関係あるだろ!俺は、そんな顔させるために紹介した訳じゃないし。半分責任あるだろ?なぁ!みと!何があったんだよ」
「・・・・・」
うちは、我慢できずに振り向いた。
うちは、いつの間にか、泣いていた。
「・・俺は、おまえのこと、妹みたいに思ってるからさ。だから、話せよ」
兄ちゃんの優しい言葉にうちは、我慢できずに・・・・
いつのまにか、兄ちゃんの胸に飛び込んでいた。
そして、涙が止まらんかったんや。
「・・・みと・・・・」
「・・兄ちゃん・・・・・うち、うちな・・・」
「・・わかった。話聞くから入って?」
うちは、兄ちゃんの部屋に入って話を聞いてもらうことにした。
「・・はい」
温かいココアを入れてくれた。
「・・おいしい・・・」
「・・みと、少しは落ち着いたか?」
「・・(笑)なんか、子供っぽいよね・・」
「・・わ、わるかったな。それしか無くてさ」
「・・ううん、おおきに」
その優しさが嬉しかったんや。
そうやった。
兄ちゃんは、優しいんや。そういうところが、好きになったんやった。
「・・みと・・・」
「・・・ん?」
「・・・おまえは、勇気ってやつのこと、どう思ってるんだ?最近、メール全然来なくて心配してたんだ。泣くほど悩んでるってことは、本気なんだろ?」
「・・・・・・・」
「・・何でも言えよ。紹介した意味がないじゃん」
「・・・勇気君には好きな人がいるんや。年上の人らしいけど・・・」
「・・・やっぱり」
「・・やっぱりって。兄ちゃんは、知っていたんか?」
「・・・お前に紹介したあの日、あのあと岡本に聞いてビックリしたよ。」
「・・たった10日間、うちは彼の相談にのっただけ・・・ずっと友達でいられたらよかったんやけど・・・・」
「・・・みと」
「・・・おかしいやろ?こんなにすぐに人の気持ちって変わるんやろうか?ある日から、勇気くんといる時間が楽しくて・・・・相談にのらなあかんのに・・・・」
「・・みとは、やっぱり運命の人に出会ったんだよ」
「・・・運命の人?」
「・・みと、言ってたじゃん。運命の人に出会ったって。俺は、その運命信じてみてもいいと思う。どうなんだ?」
「・・でも、勇気くんはきっと・・美鈴さんと・・・」
「・・逃げるなよ、みと!自分の気持ちから、逃げるな。まだ、ダメと決まった訳じゃない。」
兄ちゃんは、うちの肩を優しく掴む。
「・・・うちな、勇気君に、映画に誘われているんやけど、断ろうって思ってるんや」
「えっ?なんでだよ!チャンスじゃん!」
「・・だってうちは、勇気君にとって、ただの相談相手やもん。映画に誘ってくれたのだって、そのお礼なんやって。」
「・・・それでいいのかよ。みと」
「・・・ええんや。それに、うち、もうすぐ大阪帰ろうかなーって」
「・・えっ?こっちで働かないのかよ」
「・・実はな、卒業論文が、認められて、大阪の有名な会社に入社できそうなんや!うちが、受けようと思ってた会社やし、そこに決めようかなって思ってるんや!兄ちゃん、ほんまに、いままでおおきに」
「・・・みと、いいのかよ。このままじゃ、勇気ともう会えなくなるかもしれないだぞ?」
「・・・それで、ええんや」
「・・みと!」
「だって! 美鈴さんに言われたんだもん!勇気君に告白した。
たぶん、付き合うことになるって」
「・・たぶん?そんなのわかんねぇだろ?」
「・・・もう、ええんや・・・」
うちは、精一杯の笑顔を見せて・・
「・・・今日は、ほんまにありがとう。ココア、ごちそうさま」
静かに兄ちゃんの部屋から出てきた。
バタン
そのあと、兄ちゃんは、ひとり呟いた。
「よくねぇよ」
あいつまた、泣きそうな顔して帰っていった。
あんな顔させるなんて・・・・
兄ちゃんは、走り出していた。
たどり着いたのは・・・・
「・・岡本!」
「・・えっ?幸助さん?」
「・・いらっしゃいませー!キャー、幸助!」
すでに、呼び捨てだ。
そんなの気にしない。
「・・な、なんでここが、わかったんですか?」
「・・インドア派のお前が唯一外に行くんだったらここだろ?」
兄ちゃんは、メンバーの岡本君のもとに直撃していた。
「・・あのー、私もいるんですが・・・邪魔ですか?」
となりには、岡本君の大事な人がいた。
「・・いや、いてくれて大丈夫」
ヒソヒソ話に、なる3人。
「悪いなぁー、りりちゃん。こいつ借りるわ。30分で返すから!」
「・・って、俺は、レンタルビデオかよ!」
レンタルビデオって、古いだろ!
「・・ええから、だまってついてこいや」
・・・関西弁・・・・うまいこと使われてしもた。
「・・はい。」
「・・じゃ!」
「・・行ってらっしゃい」
幸助は、岡本の手をとると、コンビニから出ていった。
「ありがとうございます😍また、来てくださいねー」
「1日に、ふたり一度にみるなんて幸せ😆🍀」
店員さんは、浮かれている。
クスッ
りりちゃんは、微笑んでふたりを見送った。
「・・・痛いですよ!幸助さん!」
「・・・お前に聞きたいことがある」
「・・・聞きたいこと?」
「・・・お前、勇気ってやつの本心わかるか?」
「・・えっ?勇気の本心?」
「・・勇気ってやつが、好きな女と、みとの間でいま、揺れているなら俺は、許さねぇ」
「・・いや、幸助さん、怖いよ。ちょっと落ち着こうよ。」
「・・みとは、泣いているんだ。あいつがみとを泣かせたんだ。せっかく、出会った運命の人なのに・・・」
「幸助さん、みとさんを、本当の妹のように、可愛がっているんですね」
「・・当たり前だ。あいつの両親は、離婚して本当のお兄さんとは離ればなれに暮らしているんだ」
「・・へぇー、そうなんだ。」
「・・だから、俺が兄貴代わりなんだ。」
「・・優しいんですね」
「・・って、俺のことはいいんだよ!岡本!なんとかしろよ!」
「・・いや、何とかしろって言われても・・・・」
困るなぁー。
「・・こうなったら、俺が直接・・・」
「・・ダメですよ!なにするかわかりませんから!」
「・・じゃあ、どうすればいいんだよ!」
幸助さんは、睨んできた。
その目、怖いです。
「・・こ、こういうのは、どうでしょうか。いや、かえってみとさんを利用してしまうことになるかも・・・でもなー」
いつのまにか、ひとり言でブツブツ言ってることに気づかない岡本。
「・・岡本、怒らないから言ってみろよ」
「・・・じゃあ」
俺は、幸助さんに、耳打ちした。
「・・着ぐるみ?着ぐるみって」
幸助さんは、なんか妄想したみたいだ。
「マジかよ」
「・・着ぐるみきたら、だれかわからへんし」
「・・・ベタな方法じゃねぇか?」
「・・じゃあ、やめる」
「・・誰が着るんだよ」
「・・みとさん」
「・・えっ?みと?」
「・・勇気の本心が、聞きたいなら本人が着るのが1番かなって。
でも、こんなやり方、みとさんは傷つくかもしれやん。やっぱり、やめましょうか?」
「・・・・いや、直接聞けないなら仕方ない!これも、作戦のうちだ!」
果たしてふたりの作戦というのは、うまく行くのだろうか。
「美鈴さん、最近元気ないよね。なんか、あった?」
「・・・拓也さん・・・・」
例の、美鈴さんが付き合ってる人だ。
「俺たちってさ、付き合ってるんだよね?」
「・・・そうだね。でも、大丈夫、ちょっと疲れただけなの」
「・・忙しそうだね。先生の資格とるんだろ?」
「・・えぇ、もうすぐ試験あるし」「・・・あんまり、根詰めるなよ?じゃあ、また、連絡する・・・」
「・うん」
そう言って拓也さんは、車で去っていってしまった。
ごめんね、拓也さん。
わたし・・・・・
わたしね・・・・
甦るのは、あいつのあの言葉・・・
ーあなたともし、付き合うことになっても、きっとうまく行かないですよ・・・ー>
後悔してるの。
ーあなたといても、疲れてしまうからー
あいつが、あんな顔するから・・・・。
どうしたら、いいの?
その頃、
「ねぇ?瑠美、これどうかな?」
うちは、瑠美に、勇気くんとのことを話した。
「ねぇ、みと!それってさ、練習台とかじゃないよね?」
瑠美が、質問攻めしてくる。
「・・みとは、彼のこと 本気じゃないの?」
確信を突いてきた!
「・・・本気かも・・・・だって、まだ、10日しか経ってへんのに、勇気くん、優しいからうちのこと、ほっとけやんだけかもしれやん。」
「・・みと・・・」
「・・はっきりしない男だよね!そんな男、みとの方から、振っちゃいなよ!」
「・・そんなことできたんなら、とっくにしとる・・・」
なのにできやん。
「・・みと・・・」
「・・・もしかしたら、初めてあったときから、惹かれてたんかもしれやん・・・。これは、練習台なんや。それでも、ええんや。勇気くんが幸せになってくれたら・・・。だって、うちは約束したんや。応援するって。」
「・・その勇気ってやつの、好きな人は、彼氏いるんでしょ?そんなのうまくいくわけないじゃん!」
「・・・うちは、そうおもわん。
だって、二人は、両思いやもん。」
「・・なんでわかるの?みたの?」
「・・・ううん、見てないよ。けど、似てる人、知っとるから・・・」
うちは、泣くのを我慢して、瑠美に、精一杯の笑顔を見せる。
「・・・わかった!わかったよ。みと。もう、これ以上は、なにもいわない」
うちのことを、優しく抱き締めてくれる、瑠美。
「・・・・最高のデートしなさいね」
「・・・瑠美・・・・」
「・・・いまだけは、泣いていいから。ううん、いまからなら、いつでも泣いていいよ?とことん付き合うから!」
「・・・うん、ありがとう、瑠美」
うちと瑠美は
いまは、忘れることにしたんや。
そして、
「・・・美鈴さん・・・・・」
「・・勇気、おかえり」
「・・・おかえりって・・・・、なんでここにいるんですか」
「・・・待ってたの」
「・・・えっ?」
「・・あんたのことを、待っていたの」
「・・・えっ?俺を?なんでまた・・・。
わざわざ、ケンカしにきたとか?」
「・・・・・」
「・・悪いですけど・・・」
!?
美鈴さんが、泣いている。
「・・な、なんで。なんで泣いてるんですか?」
俺は、動揺してさらにワケわからないことを口走った。
「・・彼氏にいやがらせされたとか?テストの点が、悪かったとか・・・・」
「・・そんなんじゃないよ」
美鈴さんは、小さく呟く言葉を聞かずに・・・
「わかった!試験に不合格したのは、俺のせい」
「・・ちがうわよ!あんた、バカ?まだ、試験受けてないわよ!」
「・・・じゃあ、なんで、泣いてるんですか!」
「・・・あんたのせいだよ・・・あんたのせいで、わたし・・・・」
「・・えっ?俺の?やっぱり、俺のせいにしようとしてる・・・」
瑠美は、その光景を見てしまった。
「・・みと、渡らずにこっちにいこう!」
「・・え~っ?だって、バス停あっち側やし、そっちからやととおまわりになるやん」
うちは、正面に、勇気くんが、いるのを見た。
「・・・えっ?」
女の人が、勇気くんに、抱きついていた。
「・・・あの、人が・・・美鈴さん。」
うちは、そのばから、動けずにいた。
「・・みと!いくよ!」
瑠美は、うちの腕をとると、
「みと!今見たことは、忘れるの!」
そういいながら、腕を引っ張り、一緒に走った。
忘れられるわけないやん!
望んでいたことやのに!
うちは、うちは・・・・・
いつのまにかこんなにも、好きになっていたんや。
「・・どうしよう・・・瑠美・・・うち・・・」
「・・・みと!忘れるの!彼のことは忘れなきゃダメ!わたしが、いい男紹介してあげるから。」
「・・・じゃあ、約束は?」
「・・・断った方が、いいんじゃないかな。」
「・・うん、そうする」
こんな気持ちのまま、勇気くんと顔を合わせることができやんもん。
「・・・美鈴さん?」
突然抱きついてきた美鈴さん・・・・
「・・あんたのせいなんだから!」
「・・だから!なにが、俺のせいだと言うんです?」
「・・・わたし、気づいちゃったの。あんたが好きだって」
「・・・えっ?」
「気づいちゃったの!」
思いがけない、彼女からの告白・・・
なのに・・・・
俺の心は、なぜだか動かずにいた。
なぜなら、さっきチラッと、みとさんが見えた気がする・・・・
確かともだちと一緒だった。
もしかしたら、美鈴さんが、いま抱きついてきたのを、見られてしまったのかもしれない。
「・・どうしてくれるのよ!」
「・・ど、どうしてくれるの・・・と、言われても・・・・」
どうしてだろう。
ずっとずっと、望んでいたはずなのに・・・・
~ファイトや!勇気くん!~
ーこれ、くらいなら、見えるよ?ー
~名前の通り、勇気出して!~
みとさんは、ずっと背中を押してくれた。
こんな、頼りない俺の背中を・・・
「勇気?」
俺の相談にも、10日間、文句も言わずに乗ってくれた
だから、俺は、迷わず彼女を、映画に誘ったんだ。
「・・美鈴さん、俺はね・・・」
「・・・あなたが、好きなの! もう、あの子と会わないで!」
「・・えっ?あの子?」
美鈴さんが、いう、あの子はもしかして、みとさん?
また、抱きついてきた美鈴さん・・・・
「・・なんとか言いなさいよ!」
「・・・」
はっきりしない俺は、美鈴さんの気持ちを振り払うことが、できなかった。
「・・じゃあね、瑠美、今日は、ほんま、おおきに」
「・・こっちこそ、ありがとう、みと。」
わたしたちは、瑠美の彼氏の妹さんの誕生日プレゼントを、選んでいた。
「すっごくいいものが、見つかったね。きっと、喜んでくれるよね!」
「・・そうだね!みとのおかげだよ。じゃあね!」
そういう瑠美が、去ってすぐに、みたことあるひとが近づいてきた。
「・・・美・・・鈴さん?」
「・・えっ?うそ!」
瑠美がビックリして振り返る。
でも、彼女は、みとから、もう距離が離れていた。
「・・・初めまして、佐藤美鈴って言います」
近づいてきた彼女は、いきなり、うちに自己紹介をする。
いったい何しにきたんやろ。
「・・・初めまして、小山みとって、いいます」
「・・ら、ライバルから会いに来るなんて・・・・」
瑠美は気になり、なぜだか隠れて二人の様子をうかがっていた。
「・・・あなた、学校は?」
「・・うち、来月、短大を、卒業するんや」
「・・短大生?ってことは、勇気と年が同じなの?」
「・・はい。でも、うちな、子供っぽいから、まだ、高校生に間違えられること多いんや」
「勇気と、どこで知り合ったの?」
ー勇気・・・呼び捨て・・・ー
「・・いとこのにいちゃんの紹介で・・・・って言いたい所なんやけど」
「・・・?」
「・・うち、バスに大荷物で乗っていて、忘れてしもたんや。降りる直前に、勇気くん、届けてくれて・・・・」
ー君の荷物、重そうだったからー
「・・それが、勇気くんと初めてあったきっかけや。
でもな、そのうちのいとこのにいちゃんが、大人気のSAMURAIのメンバーで、勇気くんのクラスメイトが、、そのSAMURAIのメンバーの岡本くんで・・・・
へんな偶然が、いっぱい重なったんや」
「・・・あたしは、告白したわ」
やっぱり、あのとき・・・・
「・・勇気に、好きだと言ったわ」
「・・・・そう・・・なんや」
それを言うために?
「・・あいつは、なにもいわないけど、たぶん、付き合うことになるから」
なにもいわない?
「・・・そうなんや。それは、良かったですね」
あかん、泣きそうや。
思わず標準語に、なってしもた。
「・・・それじゃあ」
美鈴さんは、にこりともせずに、その場を去っていった。
うちは、我慢しきれずに、涙が流れてきた。
「・・・みと?大丈夫?」
「・・・瑠美・・・帰ったんじゃないの?」
「・・・だって!なんか、気になっちゃって!
あの女、何様のつもり?わたしが、一言・・・」
「・・・ええんや!」
うちは、瑠美を制止し、
「・・・でも・・・」
「・・・これで、ええんや」
「・・・みと・・・・」
次の日からうちは、一本早いバスに乗ることにした。
勇気くんは、いつもと同じバスに乗ったみたいで・・・
「あれ?みとさん、今日も乗ってない・・・」
ごめんね、勇気くん、いま、勇気くんに会ったら、気持ち溢れてしまうから・・・・
だから、もう会わない・・・・
そして、うちはあの人の家に行くことにした。
「みと?どうしたんだよ」
そう、うちが、大好きだった人・・・。
「じゃーん!これなぁんだ!」
「なんだよ、みと。おまえさぁ、なんか空元気じゃねぇか?その手紙をわざわざ持ってきてくれて言うのもなんだけど・・・・」
そう、うちは、兄ちゃんのファンレターを、わざわざ、もってきたんや。
「・・・迷惑なら帰るわ。頼まれただけやし・・・」
だけど、兄ちゃんは、怒ることも、拒むこともしなかった。
「みと、正直に言えよ。なんかあったんだろ?」
「えっ?なんもないよ?」
うそや、兄ちゃんには・・バレたくない・・・
「目が赤いし、無駄に明るいし・・・」
「何もないよ?帰るね」
これ以上いたら、バレてしまう・・・・
「もしかして、勇気ってやつとうまくいってないのか?なんかあったんだろ?」
「・・や、やだな。兄ちゃんには、関係ない話やん?」
「関係あるだろ!俺は、そんな顔させるために紹介した訳じゃないし。半分責任あるだろ?なぁ!みと!何があったんだよ」
「・・・・・」
うちは、我慢できずに振り向いた。
うちは、いつの間にか、泣いていた。
「・・俺は、おまえのこと、妹みたいに思ってるからさ。だから、話せよ」
兄ちゃんの優しい言葉にうちは、我慢できずに・・・・
いつのまにか、兄ちゃんの胸に飛び込んでいた。
そして、涙が止まらんかったんや。
「・・・みと・・・・」
「・・兄ちゃん・・・・・うち、うちな・・・」
「・・わかった。話聞くから入って?」
うちは、兄ちゃんの部屋に入って話を聞いてもらうことにした。
「・・はい」
温かいココアを入れてくれた。
「・・おいしい・・・」
「・・みと、少しは落ち着いたか?」
「・・(笑)なんか、子供っぽいよね・・」
「・・わ、わるかったな。それしか無くてさ」
「・・ううん、おおきに」
その優しさが嬉しかったんや。
そうやった。
兄ちゃんは、優しいんや。そういうところが、好きになったんやった。
「・・みと・・・」
「・・・ん?」
「・・・おまえは、勇気ってやつのこと、どう思ってるんだ?最近、メール全然来なくて心配してたんだ。泣くほど悩んでるってことは、本気なんだろ?」
「・・・・・・・」
「・・何でも言えよ。紹介した意味がないじゃん」
「・・・勇気君には好きな人がいるんや。年上の人らしいけど・・・」
「・・・やっぱり」
「・・やっぱりって。兄ちゃんは、知っていたんか?」
「・・・お前に紹介したあの日、あのあと岡本に聞いてビックリしたよ。」
「・・たった10日間、うちは彼の相談にのっただけ・・・ずっと友達でいられたらよかったんやけど・・・・」
「・・・みと」
「・・・おかしいやろ?こんなにすぐに人の気持ちって変わるんやろうか?ある日から、勇気くんといる時間が楽しくて・・・・相談にのらなあかんのに・・・・」
「・・みとは、やっぱり運命の人に出会ったんだよ」
「・・・運命の人?」
「・・みと、言ってたじゃん。運命の人に出会ったって。俺は、その運命信じてみてもいいと思う。どうなんだ?」
「・・でも、勇気くんはきっと・・美鈴さんと・・・」
「・・逃げるなよ、みと!自分の気持ちから、逃げるな。まだ、ダメと決まった訳じゃない。」
兄ちゃんは、うちの肩を優しく掴む。
「・・・うちな、勇気君に、映画に誘われているんやけど、断ろうって思ってるんや」
「えっ?なんでだよ!チャンスじゃん!」
「・・だってうちは、勇気君にとって、ただの相談相手やもん。映画に誘ってくれたのだって、そのお礼なんやって。」
「・・・それでいいのかよ。みと」
「・・・ええんや。それに、うち、もうすぐ大阪帰ろうかなーって」
「・・えっ?こっちで働かないのかよ」
「・・実はな、卒業論文が、認められて、大阪の有名な会社に入社できそうなんや!うちが、受けようと思ってた会社やし、そこに決めようかなって思ってるんや!兄ちゃん、ほんまに、いままでおおきに」
「・・・みと、いいのかよ。このままじゃ、勇気ともう会えなくなるかもしれないだぞ?」
「・・・それで、ええんや」
「・・みと!」
「だって! 美鈴さんに言われたんだもん!勇気君に告白した。
たぶん、付き合うことになるって」
「・・たぶん?そんなのわかんねぇだろ?」
「・・・もう、ええんや・・・」
うちは、精一杯の笑顔を見せて・・
「・・・今日は、ほんまにありがとう。ココア、ごちそうさま」
静かに兄ちゃんの部屋から出てきた。
バタン
そのあと、兄ちゃんは、ひとり呟いた。
「よくねぇよ」
あいつまた、泣きそうな顔して帰っていった。
あんな顔させるなんて・・・・
兄ちゃんは、走り出していた。
たどり着いたのは・・・・
「・・岡本!」
「・・えっ?幸助さん?」
「・・いらっしゃいませー!キャー、幸助!」
すでに、呼び捨てだ。
そんなの気にしない。
「・・な、なんでここが、わかったんですか?」
「・・インドア派のお前が唯一外に行くんだったらここだろ?」
兄ちゃんは、メンバーの岡本君のもとに直撃していた。
「・・あのー、私もいるんですが・・・邪魔ですか?」
となりには、岡本君の大事な人がいた。
「・・いや、いてくれて大丈夫」
ヒソヒソ話に、なる3人。
「悪いなぁー、りりちゃん。こいつ借りるわ。30分で返すから!」
「・・って、俺は、レンタルビデオかよ!」
レンタルビデオって、古いだろ!
「・・ええから、だまってついてこいや」
・・・関西弁・・・・うまいこと使われてしもた。
「・・はい。」
「・・じゃ!」
「・・行ってらっしゃい」
幸助は、岡本の手をとると、コンビニから出ていった。
「ありがとうございます😍また、来てくださいねー」
「1日に、ふたり一度にみるなんて幸せ😆🍀」
店員さんは、浮かれている。
クスッ
りりちゃんは、微笑んでふたりを見送った。
「・・・痛いですよ!幸助さん!」
「・・・お前に聞きたいことがある」
「・・・聞きたいこと?」
「・・・お前、勇気ってやつの本心わかるか?」
「・・えっ?勇気の本心?」
「・・勇気ってやつが、好きな女と、みとの間でいま、揺れているなら俺は、許さねぇ」
「・・いや、幸助さん、怖いよ。ちょっと落ち着こうよ。」
「・・みとは、泣いているんだ。あいつがみとを泣かせたんだ。せっかく、出会った運命の人なのに・・・」
「幸助さん、みとさんを、本当の妹のように、可愛がっているんですね」
「・・当たり前だ。あいつの両親は、離婚して本当のお兄さんとは離ればなれに暮らしているんだ」
「・・へぇー、そうなんだ。」
「・・だから、俺が兄貴代わりなんだ。」
「・・優しいんですね」
「・・って、俺のことはいいんだよ!岡本!なんとかしろよ!」
「・・いや、何とかしろって言われても・・・・」
困るなぁー。
「・・こうなったら、俺が直接・・・」
「・・ダメですよ!なにするかわかりませんから!」
「・・じゃあ、どうすればいいんだよ!」
幸助さんは、睨んできた。
その目、怖いです。
「・・こ、こういうのは、どうでしょうか。いや、かえってみとさんを利用してしまうことになるかも・・・でもなー」
いつのまにか、ひとり言でブツブツ言ってることに気づかない岡本。
「・・岡本、怒らないから言ってみろよ」
「・・・じゃあ」
俺は、幸助さんに、耳打ちした。
「・・着ぐるみ?着ぐるみって」
幸助さんは、なんか妄想したみたいだ。
「マジかよ」
「・・着ぐるみきたら、だれかわからへんし」
「・・・ベタな方法じゃねぇか?」
「・・じゃあ、やめる」
「・・誰が着るんだよ」
「・・みとさん」
「・・えっ?みと?」
「・・勇気の本心が、聞きたいなら本人が着るのが1番かなって。
でも、こんなやり方、みとさんは傷つくかもしれやん。やっぱり、やめましょうか?」
「・・・・いや、直接聞けないなら仕方ない!これも、作戦のうちだ!」
果たしてふたりの作戦というのは、うまく行くのだろうか。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
妹の妊娠と未来への絆
アソビのココロ
恋愛
「私のお腹の中にはフレディ様の赤ちゃんがいるんです!」
オードリー・グリーンスパン侯爵令嬢は、美貌の貴公子として知られる侯爵令息フレディ・ヴァンデグリフトと婚約寸前だった。しかしオードリーの妹ビヴァリーがフレディと一夜をともにし、妊娠してしまう。よくできた令嬢と評価されているオードリーの下した裁定とは?
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる