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第12話

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急にそんなことを頼まれ・・・榊さんはそんな気はなく・・・
《お願いしますだなんて・・・・》
この人からそんな言葉は聞きたくなかった。
優子さんとやり直して欲しいから。
「《僕じゃダメなんですよ》」
《あなたは、誤解してます。僕と優子さんの関係を・・・・》

「・・・・・・」

《確かに周りに誤解されるような行動をしてしまったことをお詫び致します。ですが、優子さんも実は誤解しているのです。お互い、誤解しているんです》
「・・・・・」
《お願いです。亡くなった娘さんの願いを受け止めて下さい。どうか別れないで下さい。ほんの少しだけ、素直になってみませんか?》


そんな榊さんの温かい言葉に、彼は・・・・泣きじゃくるのでした。

「・・・・えっ?Σ(゚д゚;)」
その頃、優子さんはなんだかソワソワしたみたいだ。
「どうしたの?優子。後ろを振り向いちゃって」
「なんか、誰かに呼ばれた気がするの」

「やだ、誰もいないわよ?」
一緒にいたのは暁美さんだった。
「そうよね・・・・・」

そう思っているのだが・・・・

そして、
「《あの、お願いです。これは、あなたから優子に返してほしい。》」

と、頼むが
《このバイオリンを貰ってくれた娘さんがいるんです。それは、優子さんの親友のお子さんです。僕は今、その子にバイオリンを教えているのです。優子さんと、その子の母親は仲のいい友人みたいで・・・親友らしいですね。》
「そうでしたか」
《しかし、僕はその女の子の母親に嫌われてますけど・・・》
「《えっ?Σ(゚д゚;)嫌われてる?まさか》」
《・・・・・・》
榊さんは、微笑んだ。
「(なんて悲しそうな顔をするんだ)」
僕は初めてこの人が、誰を思っているのかを知った。


そしてこちらは、
「さっすがー!アメリカや世界で修行してきただけあるわね」
ここはダンススタジオらしい。
「喉乾いたね。飲み物買ってくるよ!いる人!」
「あっ、僕行きますよ?」
と、東さんは手を挙げた。
「いいって。いま、疲れてるだろ?」
「新入りだし、構わないですよ」

と、で立ち上がりみんなの飲み物の希望を聞いて出かけた。
「今どき珍しいくらい真面目なやつだよな」

と、呟いた。

そして、

「・・・・・あっ」
東さんは、ある人の姿を見た。
車椅子の女の子・・・・・

「あっ・・・・」
彼女も、東さんに気づき・・・・
「大地君!」
「やっぱり、凛子ちゃんだ!」
と、なぜか同時発言。

「懐かしい。大地君、目が見えるようになったんだね」
「そういう凛子ちゃんはなんで車椅子なの?」
「私は・・・・」
「あっ、話したくないなら・・・」
「付き合ってた人と一緒に乗ってた車が事故って・・。私だけ助かったの」
「ごめん。変な事聞いたね」
「大地君はよかったね!光が戻ってきて!思う存分踊れてる?」
「・・・・・・うん」
「そう。なぁんか、懐かしいよね!ねぇ?会うのって何年ぶりだっけ?」
「そう言えば何年ぶりだろ。高校生の時以来か.・・?」

そう、あのとき・・・・僕を助けてくれたのは・・・・

「大地君?大地君!大地君!大丈夫?」

あの声は・・・・

「凛子ちゃん、あのさ・・・」
「ごめんね、大地君。人待たせてるから行くね」
「そう、なんだ・・・じゃあまた」
「うん!また、ね」
またってあるのかな。

彼女の声が1番よく似ているんだ。
僕を呼んでいてくれていた声に・・・・

ずっとずっと気になっている。

それが誰なのか.・・・・.



そして、
「・・・・・・」
「なんだよ、大地。さっきから上の空じゃん。あっわかった!彼女に振られたとか?」

「えっ?Σ(゚д゚;)」
「えっ?まさか図星?」
「振られてはいませんよ。いま、彼女いないし」
「(*'へ'*) んー・・なんだよその意味ありげな顔は・・・気になるじゃん!教えろよ」

「僕のことより、南原さんこそ泉さんにプロポーズしたんですか?」
「ゴホッゴホッ」
飲んでいた水を吹きこぼす南原さん。
「ば、バカっ!俺と泉はまだそんなんじゃ」
「素直にならないと泉さん取られちゃいますよ?彼女モテるって聞きましたし・・・」
「じゃあ、教えろよ!どうしたら素直になれるか!」
と、肩を掴んできた。
「・・・・それはきっと・・・・」
「うんうん」
「ありのままの気持ちを伝えればいいんですよ」
「ありのままの気持ち?」
「はい。素直に《愛してる》って、南原さんなりの言葉で伝えればいいと思います」
と言ってにっこりと笑った。
「素直に・・・俺なりの言葉・・・・」
「・・・・・」
「ありがとう、大地!(ง🔥Д🔥)ง
俺、頑張って見るよ」
彼のやる気のスイッチが入ったみたいだ。

「よぉーし!そうと決まったら今日は切り上げて飲みに行こうぜ!諸君」
と、なぜか飲みに行く気満々(笑)

「・・・・(笑)」
「大地の歓迎会だ!」
「おー!やろうやろう」
「えー、いいですよ」

東さんはいい仲間に恵まれたみたいだ。

「あなたの手から返してください」

彼に言われて、優子さんの家にやってきた榊さんだが・・・・
ピンポン

呼び鈴を鳴らしたが誰も出てこない?


鍵があいてる・・・・

「本気なの?優子」
「えぇ、本気よ」

《・・・・・・・?》

彼女たちの会話は何かはわからない。
勝手に上がってしまった。

「彼のどこがいいの?」

《・・・・・》
唇の動きと表情から2人はどうやら
《喧嘩してる?》
そう思った榊さんはそのまま帰ろうとしたが、
「えっ?ちょっと待って」
物音に気づき
「榊さん?」

「えっ?Σ(゚д゚;)」

《すいません。勝手に上がってしまって。バイオリン・・・・》
と、バイオリンを見せる

「《よかった。戻ってきたのね》」
と、安堵してくれる優子さんに対して、暁美さんは・・・・

「どうして?どうしてよ!」

と、榊さんに詰め寄った。
「なんであなたなのよ!」
彼女が何を言ってるかわからず・・・・
《あの・・・もう少しゆっくりと・・・》
と、手話で返すと・・・・

「こんなの嘘よ!嘘つかないでよ」
《・・・・・?》

「暁美、手話で話してあげて?」
「《こんなの嘘よ》」
《えっ?嘘?》
「聞こえないあなたにバイオリンが弾けるわけない!!」
《・・・・・!》
「暁美・・・・」
「あなたなんか大嫌い!!」

《・・・・・》
聞こえなくてもわかる気がした。彼女の会え言い放った言葉が・・・・
「暁美!まって!!」
だが、彼女は優子さんの言葉も聞かずに出ていってしまった。

「《榊さん!追いかけなきゃ・・・》」
と言ってくれたが・・・

《いいんです。僕は優子さんに話がありますから》
「《えっ?わたしに?》」
「《はい》」


そう言って改めて上げてもらって話をすることにした。
「《話ってそれよね・・・。バイオリン・・・どうやって見つけたんですか?まさか、勝手に帰ってきたとか》」
《違います。盗んだ人が、返しに来ました。》
「《えっ?やっぱり盗まれたの?》」
《落ち着いて聞いてください。バイオリンを盗んだのは、あなたの旦那さんでした》
「えっ?Σ(゚д゚;)うそ!《嘘よ!!》」
《彼が、教室に来たんですよ》
「《どうしてあなたの所へ?》」
《かれは、僕と優子さんの仲を誤解して・・・・引き返すつもりでいたらしいのですが・・・》

「《そんなのおかしいわ!もう遅いのに何を今更・・》」
優子さんも、知らないみたいだ。バイオリンに隠された秘密を。

《そうでしょうか。このバイオリンの中に娘さんからのメッセージ・・・。あなたがた夫婦に・・・父と母宛に手紙が入っていたとしてもですか?》
「《えっ?手紙?》」
さかは、バイオリンから手紙を出すと、優子さんに渡した。
その手紙を受け取り、読み始める。
《自分がいなくなっても、決して別れないで下さい・・・そういうメッセージでした》

「・・・・・・・・」
優子さんは改めて読み直し涙を流している。
《きっと娘さんは・・・優香さんでしたか?感じていたんですね。自分が残り少ない命だと言うことを》
「《そんな》・・・・」
泣き崩れる優子さん。
《・・・・・・大丈夫ですか?》
「《私はどうすればいいですか?》」
《では、こうしては?お2人が初めて出会った場所に行ってみてください。そしてもう一度自分の素直な気持ちを伝えてください》
「《そんなので私たち、元に戻れる?》」
《きっと、大丈夫ですよ。【仲直りして!】それが、娘さんからのメッセージですから》

「《・・・・わかった。やってみるね》」

そして
「あれー?どこだっけなぁー」
僕は資料室であるものを探していた。
かなりの量ある。
「一樹?」

そこに莉佐がいることも気づかず・・・
「一樹さん!」
「・・・めぐみちゃん・・・。どうしたの?君もなにか探しに来たの?」
「はい。資料室っていいですよね。なんか、宝庫って感じで」
「えっ?どうして?」
「だって、今まで撮ってきた人たちの歴史がたくさん詰まっていたりするでしょう?」
「あぁ、ほんとだ!確かに・・・。」
「ねぇ?一樹さんは、なにか取りたいものって決まったんですか?テーマとか?」
「そうだなぁー。【人の生きてる姿かな】」「・・・・【生きてる姿】ですか?」

「写真ってさ・・・自分がいなくなったとしても、生きた証にはなるじゃん?」
「あっ、はい!たしかに・・・例えば、運動会の写真とか、修学旅行の写真・・・他にも思い出の写真とか・・・」

「実はね、そういう記憶を残したかった人がもうこの世にいなくてさ。」
「えっ?Σ(゚д゚;)」
「その人は、仲間と笑い合うことや泣くことを教えてくれた人なんだ。でも、もうその人の姿は写せない」
「・・・・切ないですね。でも、その考えは素敵です」
「ありがとう。で、その人のおかげで出会った仲間と今でも交流があって・・・」
「へぇー・・・なんか楽しそう」


一樹さんがその話を、彼女にするなんて・・・
「・・・・・・」
「それで僕はその仲間たちのアルバムをいまからでも作ろうかなって思ってるんだ」
「すごくいいと思います」
と、なんだか仲良さげだ。

「莉佐さん、ここにいたんですね」

悟さんの声が何故か響いた。
静かな資料室だから、
「・・・・・・」
一樹さんと、めぐみちゃんは気づいてしまった。

「どうだったの?今日の取材は」
「なんか気難しい人で大変でした」
あちらはあちらでなんだか楽しそうだ。

「・・・・あの二人ってやっぱり結婚するのかな」
「えっ?Σ(゚д゚;)結婚?」
と、思わず叫びそうになり・・・口を抑えた。
「知らないんですか?もう、会社中の噂ですよ?」
「・・・・・・」
「もしかしたら、怜香さんと、衛さんより早いかもって」

「へ、へぇー・・・・」
な、なんだかモヤモヤしてきた。
なんだよ、これ・・・・
「でも、バカみたいだよね」
「えっ?Σ(゚д゚;)どうしたの?めぐみちゃん・・・」
彼女は、心なしか怒っているようだ。
「悟ってば私の事なんか忘れているから・・・・」
「えっ?Σ(゚д゚;)悟?」

呼び捨て?なんで?

「私と悟も幼なじみなんですよ。でも、先輩と、莉佐さんみたいにずっと会えてなかったから私の事なんて・・・」
そう言って泣き出しためぐみちゃん。
「ちょっと💦な、なんでめぐみちゃん泣いて・・・・・」
そんなやり取りと・・・

「これは重たいから僕が持つよ」
「大丈夫ですよ」

莉佐と悟さんのやり取りをチラ見しながら・・・・
「ねぇ?めぐみちゃん・・・・」
「えっ?」

泣いていた彼女が顔を上げる。
「僕とデートしよっか?」
と、彼女の目を離さないで言った。


これが、すれ違う幼なじみ同志の恋だった。
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