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貴族令嬢に転生しました

私、転生します!?

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視界が真っ白になって、周囲の喧騒だけが聞こえる。体は痛みを通り越して何も感じない。推し様、目の前で死んでしまってごめんなさい。最後にあなたを、
「救えてよかった……」

気がついたら私は真っ白な空間にいて、どこからか声が聞こえてきた。
「あなたは異世界へ転生できます。何を望みますか?」
一瞬、推しのいる世界、と思い浮かんだけど、異世界に行くなら似ていても違う人物であることには間違いない訳だし、推しは唯一無二の存在だから、似ているだけの別人物なんて耐えられない。だから、二つ目に望むことを口にした。
「絶対記憶が欲しいです。大切なことを一ミリも違わず覚えていられるように」
推しがいた今までの記憶、これから生きる人生で出会う大切な人のこと、言葉を一言一句忘れずに覚えていたい。嫌なことがあっても、嬉しかったことを思い出せる記憶力が欲しい。それが私の願いだった。
「他には?自分の命と引き換えに人の命を救う行為は、特別な願いを叶えるに値する行為です。あなたは汚れの少ない綺麗な心をしていますし、転生後の容姿や境遇も願い通りにすることができるでしょう」
え。でも願い通りの境遇なんて面白くないしなぁ……
「じゃあ、小さくて三歳くらいの、子どもに転生したいです。できれば可愛い系の美少女で、高めの可愛い声がいいです。いじめられてるとか、愛され過ぎて行動が制限されてるとかじゃなければ、境遇は気にしません。あとは可愛いもの綺麗なものに囲まれれば幸せですけど、そこまでは望みません。あ、言葉とか文字が日本語じゃないなら、分かったら嬉しいですけど」
「分かりました。今、条件に合う人が見つかりました。異世界へ転生します。」
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