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お父様と大公殿下の視線を感じつつ、ラグザンドの膝の上で大人しくしている。
2人の会話を聞きつつ、ラグザンドがイタズラで僕の手を使って遊んでいる。

2人の仕事の話が終わるまで、ラグザンドの遊びを享受し続けてた。

「2人ともお待たせ」

お父様に声を掛けられてやっとラグザンドの手遊びが終わった。

「ネヴィレント昨夜は問題なかったか?」

「ぐっすり眠れました」

質問の意図がよく分からなかったけど、何事もなく眠れているから返事はこれで間違いないと思う。

「父上何をおっしゃりたいのか分からないのですが?」

「枷を解いたとはいえ、ネヴィレントに無体を働いていないか本人に確認を行ったまでだ。だが、なぜネヴィレントをずっと抱き続けているのだ?」

「昨日の疲れのせいかネヴィに目眩が出てしまっただけです。私が起こした事ですので、本日はネヴィの足の代わりになる事にしております」

確かに立ちくらみはしたけど、目眩までの大事にはなってない筈!
ただ抱っこの楽さを知ってしまったのは少し後悔する部分ではある。

普段の倍の速さで進むし、高いところから見える風景も今まで見ていた所なのに新鮮に感じてた。

「そうか。今回も何かやましい事をしていればネヴィレントから引き離していたが、今もネヴィレントに害を与えている訳ではないからもう少し様子見をする事にしよう」

大公殿下って昨日の事を見聞きしているのに、ここまで対応が甘いのはなんでだろう。
礼儀作法はしっかりと仕込まれているし、レギストス大公夫人にも何やら教え込まれているみたいだからって事?

それとも血の番というのが原因なの?
吸血鬼特有のものらしいけど、それを僕が理解できるものではない。

僕だってエルフ特有の能力が備わっているし、それもハイエルフ達が執着を見せるものを理解してくれというのも酷だと理解している。
本人から話されない限りは血の番についての詳細は聞かない事にしている。

種族の能力の詳細だったり、その種族特有の加護は機密事項に当たる事も多いからってのもあるんだけどね。

「さて、今日2人に此処に来てもらったのは、今後のザインハルト殿の対応についてだよ」

たった一日に色々とありすぎて、一番の問題のハルトの対策を考えるのをすっかり忘れていた。
愛によって引き起こされたと言っても過言ではない出来事ではあったけど、ハルトも僕に話を聞かずに一方の話で決めつけてしまったのが今回の原因である。

「ネヴィに縋り付いてくる可能性が大いに考えられるけど、ネヴィはどう対処する予定?」

どうやって対処するか…
同じ穴の狢になる気はサラサラないけど、簡単に対処とかできる気はしない。

「そこまで考えがありませんでした。相手の家格が上なので僕1人で動いてしまうと、場合によっては下克上になってしまう可能性があるので僕1人動かない方がいいと思います」

簡単にいうと完全に投げやり。

「それなら私が盾になるのは如何でしょうか?家格は我が家は王族を除けば最高の家格と言えるでしょう」

「盾とは具体的にどのような事を指すのだ?」

「盾と申しましても、授業以外の日常毎を全て私と行動を共にするというものです。何があっても私の手で対処をする事も可能ですが如何でしょか?」

対処の言葉の意味が若干違うように聞こえたけど、気にしない事にしよう。

「レムナント侯爵家から非難を受けるのは我がツェーリア家である事は理解しているのかい?」

お父様の言葉は至極真っ当だ。
実際に行動するのはラグザンドでも、実際に非難の言葉が届くのは僕達ツェーリア家だ。

その対処一つがかなり重たくのしかかってくる。
その対処をラグザンドが負えるのかと。

「ザインハルトの矛先を全て私に向けます。影に確認をさせました所、ネヴィレントにはまだ気があるようで私が一度教室に送り届けた日の夜に、かなりの恨みつらみを私に向けてノートに書いていたと報告を受けております。ですので、私自身に矛先が向くのは確実ですが、もしツェーリア家に矛先が向いた場合は私一人で対処致しましょう」

ラグザンドの言葉は確かに重みがある発言だ。
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