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「本当にそうだとしたら、子爵が話していた内容が真実になりますね」

「あまり公にしたくはないですが、母上ならもしかしたら何かわかるかもしれないです」

「ツェーリア伯爵令息が、ですか?」

「今はお話しする事ができませんが、母上ならこの件の真相がわかるかもしれません」

前世の記憶は何かしらの理由でロックされていたから、私も情報を見る事ができなかった。
母上の前世の記憶からもしかしたら、令嬢の存在が乗っ取られた理由がわかるかもしれない。

母上と、私の隠し事を宰相に話さなければならないのは痛いが、罪のない子が犠牲となり、罪のない親が謂れなき罪に問われた。
令嬢を乗っ取った存在が一番の原因だ。

「そうですか。それではツェーリア伯爵令息をお呼びたてしないといけませんね」

「先に私から母上にお話をしてもよろしいでしょうか?急に宰相様からご連絡をすると、驚いてしまうかもしれませんので」

「そうですね。では先にホロくんから連絡して頂いてもらってもよろしいでしょうか?その間二人とお話しさせて頂きますので」

「分かりました」

私は母上に連絡をする為に、宰相の書斎を一礼してから出た。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

「それで私たち二人に何かご用ですか?」

アデライトが宰相様に聞いている事がわからない。
何故僕たちに用があると思ったのだろう?

「アデライトくんは本当に賢いですね。さすがあの方の血を引いていられるだけはあらせられる」

ホロがいる時とは違った宰相様の雰囲気。
どうしてホロがいる時と、いない時でここまで雰囲気が変わるんだろうか。

「その様な事は結構です。宰相様は何を私たちにお聞きされたいのでしょうか?」

「では単刀直入にお聞きします。ホロくんは魔王ですね」

迷いなく聞いてきた言葉は、ホロが魔王であると断定している言い方だった。
僕からはその答えをいうことはできない。

アデライトもきっとそうだろう。

「何故そう思われたのですか?」

アデライトは何くわない顔で紅茶を飲んでいる。
僕も表情で悟られてはいけないから、普段から訓練している真顔でこの場を乗り切る事にした。

「簡単な話です。魔王の文献というのは数多く残っております。その中でホロくんが話す内容が魔王との内容と合致するから部分がかなり多かったのです」

まさか文献からホロを魔王だって導き出すとは思わなかった。
きっとホロの事を始末しようと考えているだろう。

「ただ文献と合っているだけでホロを魔王だと断定されたのですか?私の婚約者になるのにもそれ相応の裏どりが必要となる事をご理解されていますか?」

「勿論理解しております。だからこそ、アデライトくんには答えて頂きたいのです。ホロくんが魔王であるという事を」

宰相は文献以外で何かホロを魔王だと断定している要因がある。
その情報を宰相は開示してくれないだろう。

僕たちはその情報を開示されない限り、ホロが魔王であるという事を僕たちから教えることはない。
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