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「其方は何故今回の件を把握しておらぬのだ?全ての家に通達はだしたが?」
私も母上と父上から今回の通達があった事を魔道具を通じて聞いていた。
褒賞は前もって伝えられない事もあって、宰相から受けとる時に漸く知る事ができたが。
だが、今回私がどのような内容で褒賞を受けるのかは、ここにきている全貴族が知っている事だ。
それを罪人の父親であるハーレライト子爵が知らない訳がない。
特にハーレライト子爵には強く通達が入っている筈だ。
「頂いておりましたが到底信じられない内容で…私めには娘が策略に陥れられたとしか思えないのです!」
しっかりと通達が入った上で、自身の子が禁忌を犯した事を信じられないでいただけなのか。
子を思う気持ちはわかるが、これは王国から通達されている物だから嘘偽りなく通達されている。
そして今回の件は何故か城下街にまで広まっている故に、真実を伏せる事が難しくなっている。
宰相に肩を叩かれ立つように軽く手で指示され、私は漸く立ち周りを見る事ができた。
ハーレライト子爵は困惑した表情をしており、その周りを遠巻きに見ている貴族達は子爵を面白いそうに見ている。
やはり私の褒賞を見にきたよりかは、ハーレライト子爵がどういう行動をするのかを楽しみにきていたのだろう。
やはり腐っている貴族が考えている事は単純で分かりやすい。
根底から腐っている者は隠すのに長けているから、どうもわかりにくい部分はあるが。
「今回其方の娘の拷問を行ったのは目の前にいる令息が行ったのだ。張本人に聞けば気は晴れるのか?」
「いえ…私めはその、黒幕がいるのではないかと思っているのです!どうか、娘に温情をっ…!」
ハーレライト子爵はしっかりと理解した上で、一縷の望みがないかとただ願っている。
そんな願いも私が全て情報を取ってしてしまったから、黒幕も何もいない事も確認できてしまっている。
「娘を信じたい気持ちは良くわかる。だが、罪を犯した其方の娘に慈悲を与えられる隙はない」
「あ、あああぁぁ…」
国王の言葉を聞いてハーレライト子爵は顔を真っ青にしながら、膝かわ崩れ落ちた。
「あの子は…誰もを慈しむあの子が、そんな事を…」
ハーレライト子爵から聞こえてくる言葉はあの女から連想できない言葉ばかりだ。
もし、もしだ。
母上と似て非なる所もあるが、あの女の体には今いる存在とは違う存在がいるとしたら?
そしてその存在がハーレライト子爵が知っている存在だとしたら?
だが、その『もし』をここで話すのは本当に正解なのだろうか。
その『もし』があっていたら、本来の存在に体を返す事ができるのではないのだろうか。
「ホロ」
いつの間にか私の側にきていたアデライトに名前を呼ばれた。
「私が責任を取るから、好きに動いておいで」
何かを答える前にアデライトに手を引かれ、ハーレライト子爵の前に連れてこられた。
私とアデライトが近づいた事に好奇心で周りの貴族達がヒソヒソとしている。
「子爵にお聞きしたい事がございます」
「な、なんでしょうか…」
意気消沈したハーレライト子爵の声はか細く今にも儚くなってしまいそうだ。
「令嬢はいつから人が変わったかの様な状態になったのでしょうか」
一種の賭けのような質問。
ハーレライト子爵はこの質問にどう答えてくれるだろうか。
私も母上と父上から今回の通達があった事を魔道具を通じて聞いていた。
褒賞は前もって伝えられない事もあって、宰相から受けとる時に漸く知る事ができたが。
だが、今回私がどのような内容で褒賞を受けるのかは、ここにきている全貴族が知っている事だ。
それを罪人の父親であるハーレライト子爵が知らない訳がない。
特にハーレライト子爵には強く通達が入っている筈だ。
「頂いておりましたが到底信じられない内容で…私めには娘が策略に陥れられたとしか思えないのです!」
しっかりと通達が入った上で、自身の子が禁忌を犯した事を信じられないでいただけなのか。
子を思う気持ちはわかるが、これは王国から通達されている物だから嘘偽りなく通達されている。
そして今回の件は何故か城下街にまで広まっている故に、真実を伏せる事が難しくなっている。
宰相に肩を叩かれ立つように軽く手で指示され、私は漸く立ち周りを見る事ができた。
ハーレライト子爵は困惑した表情をしており、その周りを遠巻きに見ている貴族達は子爵を面白いそうに見ている。
やはり私の褒賞を見にきたよりかは、ハーレライト子爵がどういう行動をするのかを楽しみにきていたのだろう。
やはり腐っている貴族が考えている事は単純で分かりやすい。
根底から腐っている者は隠すのに長けているから、どうもわかりにくい部分はあるが。
「今回其方の娘の拷問を行ったのは目の前にいる令息が行ったのだ。張本人に聞けば気は晴れるのか?」
「いえ…私めはその、黒幕がいるのではないかと思っているのです!どうか、娘に温情をっ…!」
ハーレライト子爵はしっかりと理解した上で、一縷の望みがないかとただ願っている。
そんな願いも私が全て情報を取ってしてしまったから、黒幕も何もいない事も確認できてしまっている。
「娘を信じたい気持ちは良くわかる。だが、罪を犯した其方の娘に慈悲を与えられる隙はない」
「あ、あああぁぁ…」
国王の言葉を聞いてハーレライト子爵は顔を真っ青にしながら、膝かわ崩れ落ちた。
「あの子は…誰もを慈しむあの子が、そんな事を…」
ハーレライト子爵から聞こえてくる言葉はあの女から連想できない言葉ばかりだ。
もし、もしだ。
母上と似て非なる所もあるが、あの女の体には今いる存在とは違う存在がいるとしたら?
そしてその存在がハーレライト子爵が知っている存在だとしたら?
だが、その『もし』をここで話すのは本当に正解なのだろうか。
その『もし』があっていたら、本来の存在に体を返す事ができるのではないのだろうか。
「ホロ」
いつの間にか私の側にきていたアデライトに名前を呼ばれた。
「私が責任を取るから、好きに動いておいで」
何かを答える前にアデライトに手を引かれ、ハーレライト子爵の前に連れてこられた。
私とアデライトが近づいた事に好奇心で周りの貴族達がヒソヒソとしている。
「子爵にお聞きしたい事がございます」
「な、なんでしょうか…」
意気消沈したハーレライト子爵の声はか細く今にも儚くなってしまいそうだ。
「令嬢はいつから人が変わったかの様な状態になったのでしょうか」
一種の賭けのような質問。
ハーレライト子爵はこの質問にどう答えてくれるだろうか。
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