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「これで十分だな」
ようやく全ての情報を吐き出させる事ができた。
嘘かどうかは補佐官が鑑定できるから、それで真偽の判断を行った。
その判断の結果魅了魔法を知ったのはそのげぇむとやらからだった。
嘘のような本当な話でこれを結果として上に上げるのは憚れるぐらいだ。
手に付いた血をタオルで拭いて、素肌についている部分は一応拭い取った。
服はどうしようもできないから、部屋に戻り次第着替えることにする。
「補佐官、記録はどうだ?」
「しっかりと記録させて頂いております。しかし、ここまであり得ない話が真実とは上が納得していただけるのでしょうか?」
「最悪納得しなければ都合の良い内容に改竄されるだろう。そこまで気にかける必要は私達には必要がない」
「かしこまりました。それではこれを報告とさせて頂きます」
補佐官がまとめたノートを持ち、牢からそそくさと退散していった。
私はつい先ほど迄拷問を施していた女を見た。
椅子の下は私が行った拷問の所為もあって血が水溜まりのように溜まっている。
他にも異臭を放っているが、この程度なら良く見てきた。
まだ母上みたいに腑を引き摺り出して回復させるなんて拷問までは行う事ができない。
「魔法使い申し訳ないが、回復をしてもらえるだろうか?」
「か、かし…こまり、ました…」
私の拷問が恐ろしかったのか、この悲惨な光景が恐ろしいのか奥歯をガタガタと言わせながら返事をした。
魔法を使うための言葉も何度も失敗してようやく、回復の魔法を唱える事ができたのはなんと13回目だった。
元々私が拷問を行う予定ではなかったから、この様な場所の耐性がない者だった。
可哀想な事をしてしまったと思うが、それ以上に情報を聞き出せるのであれば引き出す必要があったからこの場を利用しないわけにはいかない。
私から騎士と魔法使いには心身回復の為に一ヶ月ほどの休息が取れる様に宰相に伝えておこう。
魔法使いが十分に回復できたようで、私が切り落とした指もしっかりと再生されていた。
「外面上は…回復、できました…。た、ただ…性器は…回復、できま…せん、でした…」
「外面が回復できたら問題ない。性器も処刑される者には必要がないから問題ない」
魔法使いの腕は本当に良くて、かなり酷いものをしてもこれなら問題なく治る。
今回苦悩の梨を使った部分は態と回復をできないようなレベル迄壊した。
最悪回復される可能性も考慮して、魔法を遮断する効能を持っている材料を使った。
死刑を免れたとしてもこの女に子ができるとそれはそれで面倒な事が起こりそうではあったから、子を残せないように拷問を言い訳に対処を取った。
「必要なことは終わったから牢から出よう」
表情が強張った騎士と、恐怖を隠しきれなくなった魔法使いと一緒に牢から出た。
牢から出ればイディと侍従と何故かアデライトが居た。
「なんでアデライトがいるんだ」
「その顔を真っ青にしている魔法使いから話を聞いて、予定を全て白紙にしてからきたんだ」
驚いた。
公爵家の予定はそんなに軽い物じゃないのに、その予定を全て白紙にして私の元にくるなんて。
「血まみれじゃないか。汚れたままでは気持ち悪いだろうから話の前に先に体を清めよう」
汚れていると分かっていながら、私の手を躊躇なく手に取るアデライト。
「汚れているから一人で歩く」
「気にしなくていい。私がしたいと思ってしている事だから」
ふわりと微笑むアデライトは何故か普段と違って見えた。
ようやく全ての情報を吐き出させる事ができた。
嘘かどうかは補佐官が鑑定できるから、それで真偽の判断を行った。
その判断の結果魅了魔法を知ったのはそのげぇむとやらからだった。
嘘のような本当な話でこれを結果として上に上げるのは憚れるぐらいだ。
手に付いた血をタオルで拭いて、素肌についている部分は一応拭い取った。
服はどうしようもできないから、部屋に戻り次第着替えることにする。
「補佐官、記録はどうだ?」
「しっかりと記録させて頂いております。しかし、ここまであり得ない話が真実とは上が納得していただけるのでしょうか?」
「最悪納得しなければ都合の良い内容に改竄されるだろう。そこまで気にかける必要は私達には必要がない」
「かしこまりました。それではこれを報告とさせて頂きます」
補佐官がまとめたノートを持ち、牢からそそくさと退散していった。
私はつい先ほど迄拷問を施していた女を見た。
椅子の下は私が行った拷問の所為もあって血が水溜まりのように溜まっている。
他にも異臭を放っているが、この程度なら良く見てきた。
まだ母上みたいに腑を引き摺り出して回復させるなんて拷問までは行う事ができない。
「魔法使い申し訳ないが、回復をしてもらえるだろうか?」
「か、かし…こまり、ました…」
私の拷問が恐ろしかったのか、この悲惨な光景が恐ろしいのか奥歯をガタガタと言わせながら返事をした。
魔法を使うための言葉も何度も失敗してようやく、回復の魔法を唱える事ができたのはなんと13回目だった。
元々私が拷問を行う予定ではなかったから、この様な場所の耐性がない者だった。
可哀想な事をしてしまったと思うが、それ以上に情報を聞き出せるのであれば引き出す必要があったからこの場を利用しないわけにはいかない。
私から騎士と魔法使いには心身回復の為に一ヶ月ほどの休息が取れる様に宰相に伝えておこう。
魔法使いが十分に回復できたようで、私が切り落とした指もしっかりと再生されていた。
「外面上は…回復、できました…。た、ただ…性器は…回復、できま…せん、でした…」
「外面が回復できたら問題ない。性器も処刑される者には必要がないから問題ない」
魔法使いの腕は本当に良くて、かなり酷いものをしてもこれなら問題なく治る。
今回苦悩の梨を使った部分は態と回復をできないようなレベル迄壊した。
最悪回復される可能性も考慮して、魔法を遮断する効能を持っている材料を使った。
死刑を免れたとしてもこの女に子ができるとそれはそれで面倒な事が起こりそうではあったから、子を残せないように拷問を言い訳に対処を取った。
「必要なことは終わったから牢から出よう」
表情が強張った騎士と、恐怖を隠しきれなくなった魔法使いと一緒に牢から出た。
牢から出ればイディと侍従と何故かアデライトが居た。
「なんでアデライトがいるんだ」
「その顔を真っ青にしている魔法使いから話を聞いて、予定を全て白紙にしてからきたんだ」
驚いた。
公爵家の予定はそんなに軽い物じゃないのに、その予定を全て白紙にして私の元にくるなんて。
「血まみれじゃないか。汚れたままでは気持ち悪いだろうから話の前に先に体を清めよう」
汚れていると分かっていながら、私の手を躊躇なく手に取るアデライト。
「汚れているから一人で歩く」
「気にしなくていい。私がしたいと思ってしている事だから」
ふわりと微笑むアデライトは何故か普段と違って見えた。
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