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漸く午前の授業が終わって昼休憩の時間になった。
今日はイディの不調に動揺して昼ごはんを作り損ねて食堂に行くことにした。

教室から出ればアデライトが教室の扉の前で待機していた。

「私の事忘れていただろう」

今回の体術授業を置き換える事ができる事で頭がいっぱいでアデライトの事をすっかりと忘れていた。
イディの事であれば問題ないのだが、アデライトの事になるとすっかりと頭の中から消えてしまう。

「忘れてるわけがないだろう」

「嘘つき。私の事を忘れてただろ?」

「そうだ。担任からの体術授業の置き換えができる事をずっと考えていた。その置き換えによって私がイディと同じSクラスに行けると思うと喜ばしくてな」

「本当に君はイディの事しか考えてないね。その半分ぐらいは私に向けて欲しいものなのだが」

アデライトに肩をもたれずしっと体重を掛けられる。

「重たい」

「態と重たくしてんの」

「めんどくさいからいいや。それより食堂の場所どこだっけ?」

「そういえば知らなかったね。案内するからついておいで」

案内と言ってもほぼ引きづられる感じの案内だ。
食堂に全くいかないから見慣れない風景を眺めながら、アデライトについて行く。

「食事の匂いとかは大丈夫なのか?」

「匂い?何故そんな事を聞くんだ?」

「報告を受けているが最近同じような物しか食べていないと聞いている。匂いでもダメなものがあるのであれば私が君の分も取りに行こうと思っているのだが」

「ああ…匂いは大丈夫だ。それよりもまた影を使って監視していたのか?」

「その、すまない…。最近君と話すことも少なくなってしまって、少しでもいいから現状の確認をしたかったんだ」

こいつの行動は相変わらずだ。
婚約者になってから年々アデライトの行動は激化していっている。

こうして影を利用して私の行動を監視するのはまだ可愛いもので、酷い時は寝ている時に部屋に上がり込まれて起きたら布団の中に居る事も多々あった。
本当に驚いた事は中等部の最終学年時に風呂に入り込まれて既成事実を作られそうになった時だろうか。

あの時は本気で反撃してアデライトを気絶させ、父上のところまで引きずったのは懐かしい思い出だ。

「そんなに状況を知りたければ私に直接聞け。影を使ってコソコソとされている方がめんどくさい」

「本当に聞いても怒らない?」

「聞きにくるだけで何を怒るというのだ」

アデライトの質問が謎すぎて怒る理由がない事だけを伝えた。

「そっか…それならよかった。それでは食堂に参りましょうか我がお姫様?」

「姫じゃない」

アデライトの頬を手で押しながら顔を近づけないようにする。

「こうして一緒に入れるだけでも今は十分だよ。何時かは私の手中に落ちてきてくれるからね?」

「うるさい、煩わしい。さっさと食堂に案内しろ」

「ははっ!それでは案内を再開いたしましょう」

また手を引かれながら食堂までの案内が再開された。
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