上 下
64 / 120
2

5

しおりを挟む
「訂正する気はないようだな。ハーレライトはそこの赤髪の隣に座ってくれ」

担任が指さしたのは確か男爵令嬢だった筈だ。
少し前までは平民だったが、親の事業が成功してお金で爵位を買ったとかなんとか…。

かなり有名な話ではあるからクラス内でもかなり話されていた内容だったが、この生徒自身は商売人気質ではなく至って普通の令嬢であるから貴族になってもその態度は全く変わらないかった。
令嬢としての礼儀は身についているから、そこはかなり変わったと言えるがな。

「よろしくお願い致します。私ミーナ・コレッティと申します」

「よろしくねミーナ!あたしはメレディ!メレディって呼んでね!」

「え、えぇ…よろしくお願い致しますわハーレライト令嬢…」

「えー!なんで名前で呼んでくれないのぉ?」

「ハーレライト静かにしろ。授業の妨げになる」

「はーい」

あの女は間延びした返事をして詰まらなさそうに頬杖をついた。
淑女の勉強を終えている令嬢も、平民の生徒もあの女の態度に目を見張った。

これから授業である事を担任から告げられているのに、授業を聞く気がない姿勢に相当苛立っている感じがする。

「みんなは知っていると思うが、新たに編入してきたクラスの仲間がいるからクラス制度について説明を行う」

学部が上がるときのお決まりのように始まるクラス制度の説明だ。
ほぼ内容は変わらないが偶に学部が上がる時に内容が変わるから聞き漏らさないようにする。

「まずこれは例年通りではあるが全てのテスト順位を総合した結果でクラスが決まる。部屋のレベルもクラス毎に変わるから各自気を抜かないように。そして今年から新たな事項の追加がされた」

新たな事項の追加か。
内容を忘れないようにする為に普段持っている手帳とペンを机の上に出した。

「公平であるべき我らのテスト順位であるが、少しだけこれに訂正が加えられる。今まで体質、種族的能力については考慮がされていなかったが、体質による体術のテストの減点や、種族的能力による体術のテストの高得点などで適切な得点をつけることができていなかった。よってこれからは適切な授業の振り分けを行う事になった」

担任が黒板に様々な授業の内容を書き出し始めた。
今まで通りの体術の授業、高度魔法陣学、尋問・拷問学、高度薬草学…とかなりの量の学習内容が書き出されてきた。

異彩を放っている尋問・拷問学以外は全て今習っている学習内容の高度内容のみとなっていた。

「ここに記載されているものが今後体術の代わりになる授業となる。そのまま体術の授業を受けても良し、体術の結果が思わしくない者は黒板に記載している授業を選択しても良い。その代わり、体術の代わりの授業は全て高度授業もしくは特殊な授業内容となっているから迂闊に手出しできる内容にはなっていないから留意するように」

これ、私にかなり優位ではないか?
私がAクラスにいる最もたる理由が体術だから、その科目が置き換えられるのであれば私は次のテストでSクラスに上がれるのではないだろうか。

私の得意分野になってしまっている尋問・拷問学は何か嫌な予感がするから、それ以外の授業に変更する事にしよう。
体術の授業がなくなって別の授業が置き換える事に心躍らせながら、高等部初めての授業を受けた。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜

紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。 ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。 そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?

転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】

リトルグラス
BL
 人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。  転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。  しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。  ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す── ***  第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20) **

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

聖女の兄で、すみません!

たっぷりチョコ
BL
聖女として呼ばれた妹の代わりに異世界に召喚されてしまった、古河大矢(こがだいや)。 三ヶ月経たないと元の場所に還れないと言われ、素直に待つことに。 そんな暇してる大矢に興味を持った次期国王となる第一王子が話しかけてきて・・・。 BL。ラブコメ異世界ファンタジー。

男装の麗人と呼ばれる俺は正真正銘の男なのだが~双子の姉のせいでややこしい事態になっている~

さいはて旅行社
BL
双子の姉が失踪した。 そのせいで、弟である俺が騎士学校を休学して、姉の通っている貴族学校に姉として通うことになってしまった。 姉は男子の制服を着ていたため、服装に違和感はない。 だが、姉は男装の麗人として女子生徒に恐ろしいほど大人気だった。 その女子生徒たちは今、何も知らずに俺を囲んでいる。 女性に囲まれて嬉しい、わけもなく、彼女たちの理想の王子様像を演技しなければならない上に、男性が女子寮の部屋に一歩入っただけでも騒ぎになる貴族学校。 もしこの事実がバレたら退学ぐらいで済むわけがない。。。 周辺国家の情勢がキナ臭くなっていくなかで、俺は双子の姉が戻って来るまで、協力してくれる仲間たちに笑われながらでも、無事にバレずに女子生徒たちの理想の王子様像を演じ切れるのか? 侯爵家の命令でそんなことまでやらないといけない自分を救ってくれるヒロインでもヒーローでも現れるのか?

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

処理中です...