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藍色の瞳にじっと見つめられ続けるのはそわそわしてしまう。

「そういえば貴方のお名前を聞いておりませんでしたね。お聞かせ願えますか?」

「私はホロ・ツェーリアと申します」

「ツェーリア伯爵子息夫妻の子ですね。となりますと…今貴方の膝で寝ていらっしゃるのがイディ・ツェーリア殿ですね」

私たちの事をよく知ってるようだ。
それにイディの事を殿付けで呼んでいるから確実に私たちより上の爵位の子息だ。

ほぼ確実に第二王子の子息だと考えてもいいだろう。
王族としてではないが王族を親族にもつ貴族は下手な公爵家よりも立場は上になる。

ただの伯爵子息である私が言葉を間違えてしまえば首と胴体は確実におさらばする事間違いない。
そう考えるだけで背中に冷たい汗が流れた。

「そんな表情をしなくても大丈夫ですよ。ここでの出来事は私がなかった事にしますから安心して下さい」

本当に目の前にいるのが子供なのかと疑いたくなる。
私は表情を変えたつもりはない。

機微を目の前にいる子供が読み取ったというのか。
どうやって育てばここまで勘の良い子供に育つんだ。

「怖がらせてしまいましたね」

アデルは立ち上がって私に近寄ってきた。
イディが寝ているから立ち上がって距離をとる事もできない。

私は何故アデルと距離を取ろうと考えたんだ?
本能がこの子供を拒否しているのか?

ありえない。
そんな事はありえない!

「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。私はただ貴方と仲良くなりたいだけなのですから」

目の前にいるアデルは笑っている筈なのに、何故かその笑顔が薄気味悪く感じる。
何故か私の手が取られ徐に取られた手の甲にキスをされた。

ゾワっとした感じが全身を走り、手を払い除けようとしたら誤ってアデルの頬に当たってしまった。
周りから見ている人がいれば私がアデルの頬をぶった達勘違いする状態になってしまった。

「あ…」

謝らなければならないのに上手く言葉が紡げない。

「気持ちが焦ってしまってしまいました。手は痛くありませんでしたか?」

「いえ、その…手を当ててしまい申し訳ありませんでした」

「どうか謝らないで下さい。突然の事で驚いてしまったのですよね?」

私が叩いてしまった場所は全く赤くなっていない。

「ああ、赤くなってしまいましたね」

代わりに私の手の方が赤くなっていたようだ。
強く当たったわけではないのに、私の手が赤くなるなんて…。

「この非礼はまた別のところで挽回しましょう」

赤くなっている手にまたキスをされた。
今回はそこまで忌避間は感じられなかった。

先程の忌避間はどうして感じたんだというぐらい、何も感じられなかった。

「ーー様」

名前はよく聞こえないが誰かを呼んでいる声が聞こえる。

「もう時間のようです。それではまた手紙にてご連絡しますね」

どうやら声の主はアデルを呼んでいたようだ。
手紙で連絡をすると言われても困る。

アデルにその事を言おうとしたが、アデルは既に遠くに行ってしまっていた。
何も伝える事ができないまま、侍従に呼ばれるまでボーッとするしかなかった。
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