45 / 120
1
45
しおりを挟む
藍色の瞳にじっと見つめられ続けるのはそわそわしてしまう。
「そういえば貴方のお名前を聞いておりませんでしたね。お聞かせ願えますか?」
「私はホロ・ツェーリアと申します」
「ツェーリア伯爵子息夫妻の子ですね。となりますと…今貴方の膝で寝ていらっしゃるのがイディ・ツェーリア殿ですね」
私たちの事をよく知ってるようだ。
それにイディの事を殿付けで呼んでいるから確実に私たちより上の爵位の子息だ。
ほぼ確実に第二王子の子息だと考えてもいいだろう。
王族としてではないが王族を親族にもつ貴族は下手な公爵家よりも立場は上になる。
ただの伯爵子息である私が言葉を間違えてしまえば首と胴体は確実におさらばする事間違いない。
そう考えるだけで背中に冷たい汗が流れた。
「そんな表情をしなくても大丈夫ですよ。ここでの出来事は私がなかった事にしますから安心して下さい」
本当に目の前にいるのが子供なのかと疑いたくなる。
私は表情を変えたつもりはない。
機微を目の前にいる子供が読み取ったというのか。
どうやって育てばここまで勘の良い子供に育つんだ。
「怖がらせてしまいましたね」
アデルは立ち上がって私に近寄ってきた。
イディが寝ているから立ち上がって距離をとる事もできない。
私は何故アデルと距離を取ろうと考えたんだ?
本能がこの子供を拒否しているのか?
ありえない。
そんな事はありえない!
「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。私はただ貴方と仲良くなりたいだけなのですから」
目の前にいるアデルは笑っている筈なのに、何故かその笑顔が薄気味悪く感じる。
何故か私の手が取られ徐に取られた手の甲にキスをされた。
ゾワっとした感じが全身を走り、手を払い除けようとしたら誤ってアデルの頬に当たってしまった。
周りから見ている人がいれば私がアデルの頬をぶった達勘違いする状態になってしまった。
「あ…」
謝らなければならないのに上手く言葉が紡げない。
「気持ちが焦ってしまってしまいました。手は痛くありませんでしたか?」
「いえ、その…手を当ててしまい申し訳ありませんでした」
「どうか謝らないで下さい。突然の事で驚いてしまったのですよね?」
私が叩いてしまった場所は全く赤くなっていない。
「ああ、赤くなってしまいましたね」
代わりに私の手の方が赤くなっていたようだ。
強く当たったわけではないのに、私の手が赤くなるなんて…。
「この非礼はまた別のところで挽回しましょう」
赤くなっている手にまたキスをされた。
今回はそこまで忌避間は感じられなかった。
先程の忌避間はどうして感じたんだというぐらい、何も感じられなかった。
「ーー様」
名前はよく聞こえないが誰かを呼んでいる声が聞こえる。
「もう時間のようです。それではまた手紙にてご連絡しますね」
どうやら声の主はアデルを呼んでいたようだ。
手紙で連絡をすると言われても困る。
アデルにその事を言おうとしたが、アデルは既に遠くに行ってしまっていた。
何も伝える事ができないまま、侍従に呼ばれるまでボーッとするしかなかった。
「そういえば貴方のお名前を聞いておりませんでしたね。お聞かせ願えますか?」
「私はホロ・ツェーリアと申します」
「ツェーリア伯爵子息夫妻の子ですね。となりますと…今貴方の膝で寝ていらっしゃるのがイディ・ツェーリア殿ですね」
私たちの事をよく知ってるようだ。
それにイディの事を殿付けで呼んでいるから確実に私たちより上の爵位の子息だ。
ほぼ確実に第二王子の子息だと考えてもいいだろう。
王族としてではないが王族を親族にもつ貴族は下手な公爵家よりも立場は上になる。
ただの伯爵子息である私が言葉を間違えてしまえば首と胴体は確実におさらばする事間違いない。
そう考えるだけで背中に冷たい汗が流れた。
「そんな表情をしなくても大丈夫ですよ。ここでの出来事は私がなかった事にしますから安心して下さい」
本当に目の前にいるのが子供なのかと疑いたくなる。
私は表情を変えたつもりはない。
機微を目の前にいる子供が読み取ったというのか。
どうやって育てばここまで勘の良い子供に育つんだ。
「怖がらせてしまいましたね」
アデルは立ち上がって私に近寄ってきた。
イディが寝ているから立ち上がって距離をとる事もできない。
私は何故アデルと距離を取ろうと考えたんだ?
本能がこの子供を拒否しているのか?
ありえない。
そんな事はありえない!
「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。私はただ貴方と仲良くなりたいだけなのですから」
目の前にいるアデルは笑っている筈なのに、何故かその笑顔が薄気味悪く感じる。
何故か私の手が取られ徐に取られた手の甲にキスをされた。
ゾワっとした感じが全身を走り、手を払い除けようとしたら誤ってアデルの頬に当たってしまった。
周りから見ている人がいれば私がアデルの頬をぶった達勘違いする状態になってしまった。
「あ…」
謝らなければならないのに上手く言葉が紡げない。
「気持ちが焦ってしまってしまいました。手は痛くありませんでしたか?」
「いえ、その…手を当ててしまい申し訳ありませんでした」
「どうか謝らないで下さい。突然の事で驚いてしまったのですよね?」
私が叩いてしまった場所は全く赤くなっていない。
「ああ、赤くなってしまいましたね」
代わりに私の手の方が赤くなっていたようだ。
強く当たったわけではないのに、私の手が赤くなるなんて…。
「この非礼はまた別のところで挽回しましょう」
赤くなっている手にまたキスをされた。
今回はそこまで忌避間は感じられなかった。
先程の忌避間はどうして感じたんだというぐらい、何も感じられなかった。
「ーー様」
名前はよく聞こえないが誰かを呼んでいる声が聞こえる。
「もう時間のようです。それではまた手紙にてご連絡しますね」
どうやら声の主はアデルを呼んでいたようだ。
手紙で連絡をすると言われても困る。
アデルにその事を言おうとしたが、アデルは既に遠くに行ってしまっていた。
何も伝える事ができないまま、侍従に呼ばれるまでボーッとするしかなかった。
304
お気に入りに追加
596
あなたにおすすめの小説
兄弟カフェ 〜僕達の関係は誰にも邪魔できない〜
紅夜チャンプル
BL
ある街にイケメン兄弟が経営するお洒落なカフェ「セプタンブル」がある。真面目で優しい兄の碧人(あおと)、明るく爽やかな弟の健人(けんと)。2人は今日も多くの女性客に素敵なひとときを提供する。
ただし‥‥家に帰った2人の本当の姿はお互いを愛し、甘い時間を過ごす兄弟であった。お店では「兄貴」「健人」と呼び合うのに対し、家では「あお兄」「ケン」と呼んでぎゅっと抱き合って眠りにつく。
そんな2人の前に現れたのは、大学生の幸成(ゆきなり)。純粋そうな彼との出会いにより兄弟の関係は‥‥?
完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
龍は精霊の愛し子を愛でる
林 業
BL
竜人族の騎士団団長サンムーンは人の子を嫁にしている。
その子は精霊に愛されているが、人族からは嫌われた子供だった。
王族の養子として、騎士団長の嫁として今日も楽しく自由に生きていく。
風紀委員長様は王道転校生がお嫌い
八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。
11/21 登場人物まとめを追加しました。
【第7回BL小説大賞エントリー中】
山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。
この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。
東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。
風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。
しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。
ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。
おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!?
そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。
何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから!
※11/12に10話加筆しています。
推しを擁護したくて何が悪い!
人生1919回血迷った人
BL
所謂王道学園と呼ばれる東雲学園で風紀委員副委員長として活動している彩凪知晴には学園内に推しがいる。
その推しである鈴谷凛は我儘でぶりっ子な性格の悪いお坊ちゃんだという噂が流れており、実際の性格はともかく学園中の嫌われ者だ。
理不尽な悪意を受ける凛を知晴は陰ながら支えたいと思っており、バレないように後をつけたり知らない所で凛への悪意を排除していたりしてした。
そんな中、学園の人気者たちに何故か好かれる転校生が転入してきて学園は荒れに荒れる。ある日、転校生に嫉妬した生徒会長親衛隊員である生徒が転校生を呼び出して──────────。
「凛に危害を加えるやつは許さない。」
※王道学園モノですがBLかと言われるとL要素が少なすぎます。BLよりも王道学園の設定が好きなだけの腐った奴による小説です。
※簡潔にこの話を書くと嫌われからの総愛され系親衛隊隊長のことが推しとして大好きなクールビューティで寡黙な主人公が制裁現場を上手く推しを擁護して解決する話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる