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どうやら私は言いすぎてしまったようで、公爵が私に殴りかかってきた。
私の所にくるまでに父上が公爵を止めてくれた。

「子供が言った事を大人である私たちが許さなくてどうする」

「お前のような奴らが育てたから生意気に育ったんだろう!」

ピンクよりずっとマシだろう。
私はただ事実を言っただけだ。

人間が考える事が私には全く理解できない。

「ホロはもう少し考えて発言しなさい。また相手の事を考える事なく話ただろう?」

「ただ事実を話ただけで人は怒るのだな。私には理解しがたい感情だ」

本当に私には理解し難い考えだ。

「子供だからと私を馬鹿にして許されるとでも思っているのか!?」

父上の拘束から逃れようと必死になっている。
そこまでして私を殴りたいのか。

「公爵、子供の発言でそこまで怒るとは何事だ?何故そこまで子供に手を出す事しか考えられないのだ?」

国王の発言すらも耳に入っていないようで、公爵は父上の拘束を解こうと必死になっている。
何故公爵はここまで人の言葉に耳を傾ける事ができないのだろうか。

ここまで感情をコントロールができないのに公爵夫人の婚約者として選ばれたのだろうか。

「何故私の話が聞けないのだ?」

国王の声が威圧的になってその威圧が私に向けられていないのに体が急に重たくなった。
国王になったという人だからこそなせる技なのだろうか。

国王だからこそというよりは、国王に選ばれる人間だったのだろう。

「へ、陛下…」

公爵が漸く国王の言葉に気がつく事ができた様だ。
体を強張らせていて父上からの拘束から逃れることも忘れていた。

「親戚が犯してしまった事を子まで被害を受け続けるのは違うと考え、心を砕いたがどうやら無意味になってしまったようだ。公爵夫人には辛い思いをさせてしまっただけのようだ」

「どういう事でしょうか…?」

「私が言った事が理解できないのかね?公爵其方が公爵夫人と成婚に至れたのは私が心を砕いたからだ。決して公爵家が其方を公爵に迎えたいからという理由で婚約を決めたわけではない」

国王が心を砕いた…いや、おせっかいを掛けたから公爵は公爵になる事ができたんだ。
ただ公爵も公爵家に選ばれた自分に酔わなければ、平穏無事に公爵として終わる事ができただろうな。

もう国王に目を付けられて仕舞えば公爵として生きていく事は難しい。

「公爵夫人よ。公爵との離縁を申しておったな」

「左様でございます陛下」

「離縁も許可を出そう。そして特例にはなるが其方を公爵として認める事としよう」

「ありがたき幸せ!」

公爵夫人が嬉しそうに国王の前で跪いている。
私は問題ないが子供の前でする事ではないだろう。

ピンクの行動一つでここまで残した結果になってしまったが、ピンクは父親を失い後継者としての権利もたった一日で亡くなった。
流石にかわいそうだと思ってピンクを見たが耳を塞いでいてどうやら何も聞いていないようだ。

ピンク…今ちゃんと聞かないと後々今より酷い目に遭うぞ…。
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