子悪党令息の息子として生まれました

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「正確に言えばホロとイディは兄弟じゃないよ」

母上から出てきた言葉に私はナイフを拾う事すらできなかった。
イディと私が兄弟じゃない？

衝撃の事実に体が震え始める。

「わ、私たちは兄弟じゃない？」

「あぁ、まだその範囲の勉強をしてなかったんだね。同じ種族同士もしくは、同じ種族に似たハーフで生まれたら兄弟なんだけど、他種族で生まれた場合体の構造そのものが全く別物だから血縁になりにくい事が多いんだ。他種族で生まれた場合は兄弟鑑定を行なって兄弟として扱うか扱わないかを決めるんだよ」

「じゃあイディの血の番が成立してしまうのか？」

「そうだね。兄弟じゃないから血の番が成立してしまうね」

母上からの止めの言葉に完全に膝をついてしまった。

「それじゃあ私はイディから逃げられないのか？」

「頑張れば逃げられるけど簡単に逃げられたらいいね」

逃げられない宣告が母上から放たれた。
兄弟だと認識しているイディから狙われるなんて思いもしなかった。

いや、今から考えを強制すればイディと血の番にならないようにできるのではないか？
そうだイディの考えを強制すれば私の貞操は守られる。

そう考えれば行動あるのみ！

「ホロやる気出たんだね。じゃあ的に5回連続当たったら終わろうか」

母上の指示通りにナイフの的当てを再開した。
かなりの時間投げ続けたのに的に5回連続当てる事ができない。

4回連続までは出来た。
5回目だけはどうしても当たらなくて、何時間も当たらない時間が続いていた。

集中力がかなり途切れてきて、私の意識が若干薄れてきた気がする。

「今日はもうこれで終わりにしよう。これ以上はホロの体が持たない」

母上に止められて私のナイフ投げは終了した。
大量の汗が出ていて体もフラフラになっていた。

「はい先にお水飲んで」

母上に水がたっぷり入ったグラスをもらった。
すぐに水を飲み干してからようやく私の意識がはっきりとしてきた。

水分が足りないだけで意識が薄れてくる事があるのか。

「少しは良くなったね。それじゃあお風呂に入って夕食が始まるまでゆっくりと休んでおいで」

最後に渡されたタオルで顔を拭きながら私は自室に戻った。
ただナイフを投げていただけなのにこんなにきついなんて思ってもみなかった。

自室についているバスルームまで行って汗で濡れた服を脱ぎ捨てた。
少しは筋肉がついたかなって思ったけど、全く筋肉がついてなくってがっかりした。

シャワーからお湯を出して汗を流していると、バスルームに入ってくる気配がした。
入り口の方を見ればいつの間にかイディが服を脱いだ姿で立っていた。

なぜここにいるんだ。