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「本当に?」

「本当だ」

ホロは僕に対して嘘を言ったことはない。
だから僕はホロの言葉を信じる。

「良かった」

嬉しさのあまりにホロに抱きつくと、ホロが姿勢を崩しかけたから僕の方に引き寄せて倒れないようにした。

「二人とも危ないから座りなさい」

お父様にホロを取られてむすっとしてしまった。
僕のホロなのに…

「仲が良い事はいいが状況を考えて動くんだ」

「はい」

「分かった」

「とくにホロはこのお茶会ではその話し方をしてはいけない。血筋だけで言えば今回のお茶会では一番高貴な存在になるが、家格だけで言えば上の家格の貴族も集まっている。今の様な話し方をしてはいけない」

「分かっている。だが、どうしてもという時は良いか?」

「どうしてもという時だけにはなるが許可をしよう」

お父様とホロの話している事が良く分からない。

「ホロの喋り方ってダメなの?」

「いい話し方ではないよ。でも、家にいる間だけは、家族と一緒にいる間だけは自由に話して欲しいんだ」

「そうなんだ。僕はホロの話し方は聞いてて落ち着く事ができるからとても好きなんだ」

「イディはいい子だね。でもみんながイディと同じ優しい考えをしているわけではないんだ」

お母様の言っている事が分からない。
だって喋り方だけでダメだと言われる事が何がだめなのか良く分からない。

ホロはどうなんだろう。
ホロもお母様と同じ考えなんだろうか?

「ホロもお母様と同じ事を考えてる?」

「そうだな…貴族の世界で生きていくと決めたのだから、母上の考えに同意できる」

「ホロがそう考えているなら…」

納得できない。
だってホロはホロなのに普段の話し方が受け入れられないなんてそんな酷い事があり得るなんて。

大人の世界って…貴族の世界ってこんなに酷い世界なんだ。
でもいつかはそれが僕も理解できる日が来るんだろうか。

モヤモヤとした考えをしながら僕はお茶会会場にたどり着くまでずっと考えていた。
いっぱい考えていつかわかるその考えで一旦思考を停止させて僕は、お茶会会場に到着した馬車からお父様に抱っこされながら降りた。

馬車から降りるとお母様から教えてもらった今回のお茶会会場の提供者の伯爵ご夫妻が出迎えてくれた。

「ツェーリア伯爵子息ご夫妻ようこそいらっしゃいました」

伯爵ご夫妻はニコニコしていて僕たちを歓迎してくれている様に見える。
伯爵は僕たち以外にも迎えがあるからと言って、伯爵夫人が僕たちをお茶会会場まで案内してくれた。

到着したお茶会会場は僕が見てもわかる程露骨な嫌がらせをされているのが分かった。
日差しに弱い種族である僕がいるのに日除の為の場所が用意されていなかった。

お父様の血筋を受け継いでいるからある程度は日差しに耐えられるけど、お父様みたいに日に対しての完全耐性があるわけではないからどうしても弱体化してしまう。
ここで何かがあれば僕は力を出す事もできずに死んでしまう。

そんな場所を今回お茶会会場として提供されていた。
ホロの表情を見れば普段通り真顔をだけど、眉間に皺が寄っていて機嫌が良くないのが目に見えてわかる。

僕が分かっているとバレたらホロも楽しめないと思うから、知らないフリをして過ごすことにした。
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