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昨晩僕がわがままを言ってホロを抱きしめながら寝てしまったせいで、ホロは寝る事ができなかったんだろうか。
そんな考えが僕の頭の中をぐるぐると支配してくる。
抱きしめながら寝るのはホロにとって負担だったんだろうか。
もしかしてホロは今日一回も寝れていないんじゃないか。
ずっとそんな考え事をしていたら、お父様とお母様の仕事が終わったようで僕たちのそばに来ていた。
「ホロは昨日の魔力調整でまだ体が疲れているんだね」
違う僕がホロが寝るのを邪魔してしまったんだ。
普段なら抱っことかで直ぐに目を覚ますホロが全く覚さずに、お母様に抱き上げられている。
僕はお父様に簡単に抱っこされて、屋敷の玄関まで一緒に運ばれた。
「イディはどうして今日は機嫌が良くないのかな?お母様に教えてくれる?」
「ホロが…寝れなかったの、僕がわがまま言ったから寝れなかったんじゃないかって思ったら、ホロに申し訳なくて…」
「そんな事を考えてたんだね。でも、寝れたか寝れてないかはホロ本人に聞かないと分からないでしょ?それに、ホロはまだ子供では調節できない魔力によって体調を崩してたんだから、沢山寝ても疲れが取れない事だってあるの。だからイディが全部悪いわけではないからね?」
お母様に優しく諭されても心が全く晴れない。
「イディも賢い子だから本人から話を聞けば納得するだろうね」
出発の時間も迫っていたみたいだからホロを起こさずに僕たちは馬車に乗り込んだ。
僕はお母様の隣に座って、ホロはお父様が抱っこする形になった。
ホロはぐっすりと眠っていて気持ちよさそうな感じだ。
気持ちよさそうな寝顔を見ると余計に僕が眠るのを邪魔してしまったんじゃないかと思ってしまう。
伯爵領から抜けて数分したぐらいでホロが目を覚ました。
くっと腕を伸ばして伸びをしてから、ホロは僕たちの事を一通り見回した。
「おはよう…」
「僕ホロが寝るの邪魔しちゃったの?」
起きたばっかりでの唐突な僕の質問にホロがキョトンとした表情を浮かべたけど、直ぐにその表情は僕が知っている優しい表情に戻った。
「そんな事はない。私はイディと一緒に寝る事ができてよかったと思っている」
全く変わらない優しい表情。
本心から話してくれているんだろうか。
「その、僕に遠慮してない?」
「していない」
直ぐに返事をしてくれて、じっと僕と視線を合わせてくれる。
僕の言葉にしっかりと応えようとしてくれるその視線。
「イディは私の言葉を信じられないのか?」
「そ、そんな事ないよ!ホロは優しいから僕に話してくれないと思って…」
段々と不安が僕の中で膨れ上がって、ホロを真っ直ぐ見る事ができない。
優しい体温で僕の手が包まれ、その知っている感触に僕は顔をパッと上げた。
馬車の中は危ないのにホロは僕のそばに来てくれていた。
危ないそう言おうとしたら…
「私はイディに嘘を言わない」
そんな言葉に僕は目をぱちくりさせた。
そんな考えが僕の頭の中をぐるぐると支配してくる。
抱きしめながら寝るのはホロにとって負担だったんだろうか。
もしかしてホロは今日一回も寝れていないんじゃないか。
ずっとそんな考え事をしていたら、お父様とお母様の仕事が終わったようで僕たちのそばに来ていた。
「ホロは昨日の魔力調整でまだ体が疲れているんだね」
違う僕がホロが寝るのを邪魔してしまったんだ。
普段なら抱っことかで直ぐに目を覚ますホロが全く覚さずに、お母様に抱き上げられている。
僕はお父様に簡単に抱っこされて、屋敷の玄関まで一緒に運ばれた。
「イディはどうして今日は機嫌が良くないのかな?お母様に教えてくれる?」
「ホロが…寝れなかったの、僕がわがまま言ったから寝れなかったんじゃないかって思ったら、ホロに申し訳なくて…」
「そんな事を考えてたんだね。でも、寝れたか寝れてないかはホロ本人に聞かないと分からないでしょ?それに、ホロはまだ子供では調節できない魔力によって体調を崩してたんだから、沢山寝ても疲れが取れない事だってあるの。だからイディが全部悪いわけではないからね?」
お母様に優しく諭されても心が全く晴れない。
「イディも賢い子だから本人から話を聞けば納得するだろうね」
出発の時間も迫っていたみたいだからホロを起こさずに僕たちは馬車に乗り込んだ。
僕はお母様の隣に座って、ホロはお父様が抱っこする形になった。
ホロはぐっすりと眠っていて気持ちよさそうな感じだ。
気持ちよさそうな寝顔を見ると余計に僕が眠るのを邪魔してしまったんじゃないかと思ってしまう。
伯爵領から抜けて数分したぐらいでホロが目を覚ました。
くっと腕を伸ばして伸びをしてから、ホロは僕たちの事を一通り見回した。
「おはよう…」
「僕ホロが寝るの邪魔しちゃったの?」
起きたばっかりでの唐突な僕の質問にホロがキョトンとした表情を浮かべたけど、直ぐにその表情は僕が知っている優しい表情に戻った。
「そんな事はない。私はイディと一緒に寝る事ができてよかったと思っている」
全く変わらない優しい表情。
本心から話してくれているんだろうか。
「その、僕に遠慮してない?」
「していない」
直ぐに返事をしてくれて、じっと僕と視線を合わせてくれる。
僕の言葉にしっかりと応えようとしてくれるその視線。
「イディは私の言葉を信じられないのか?」
「そ、そんな事ないよ!ホロは優しいから僕に話してくれないと思って…」
段々と不安が僕の中で膨れ上がって、ホロを真っ直ぐ見る事ができない。
優しい体温で僕の手が包まれ、その知っている感触に僕は顔をパッと上げた。
馬車の中は危ないのにホロは僕のそばに来てくれていた。
危ないそう言おうとしたら…
「私はイディに嘘を言わない」
そんな言葉に僕は目をぱちくりさせた。
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