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カタカタと心地よく揺れる感覚に私は目を覚ますと、父上に抱っこされて馬車に乗っていた。
私の前には母上とイディが並んで座っており、イディは何故かふくっつらな表情をしていた。
「おはよう…」
すっきりとした感じで起きる事ができた。
「僕ホロが寝るの邪魔しちゃったの?」
ふくれっつらだったのは父上に対してではなく、私が抱き締められていた所為でまともに寝れないようにしてしまった自分自身に対してなんだろう。
寝れなかった事に対してイディが悪いなんて私は思っていない。
「そんな事はない。私はイディと一緒に寝る事ができてよかったと思っている」
この発言は本心だ。
一人で寝る時よりもイディと一緒に寝ていた方が、むしろ普段より眠りが深かった。
「その、僕に遠慮してない?」
「していない」
視線を逸らさずにイディの目を見る。
不安が入り混じった瞳。
「イディは私の言葉を信じられないのか?」
「そ、そんな事ないよ!ホロは優しいから僕に話してくれないと思って…」
馬車は大きく揺れていないから、私は父上の膝の上から降りてイディの側によった。
「私はイディに嘘を言わない」
「本当に?」
「本当だ」
やっと私の言葉を本心だと分かったイディの瞳の不安が消えて表情も和らいだ。
普段のイディの表情を見る事ができてよかった。
「良かった」
ぎゅっとイディに抱きつかれ、私は姿勢を崩しそうになったがイディが私を支えてくれた。
「二人とも危ないから座りなさい」
父上に抱き上げられその隣にゆっくりと下された。
「仲が良い事はいいが状況を考えて動くんだ」
「はい」
「分かった」
「とくにホロはこのお茶会ではその話し方はしてはいけない。血筋だけで言えば今回のお茶会では一番高貴な存在になるが、家格だけで言えば上の家格の貴族も集まっている。今の様な話し方をしてはいけない」
「分かっている。だが、どうしてもという時は良いか?」
「どうしてもという時だけにはなるが許可をしよう」
その許可を貰えたのなら十分だ。
「ホロの喋り方ってダメなの?」
「いい話し方ではないよ。でも、家にいる間だけは、家族と一緒にいる間だけは自由に話して欲しいんだ」
「そうなんだ。僕はホロの話し方は聞いてて落ち着く事ができるからとても好きなんだ」
「イディはいい子だね。でもみんながイディと同じ優しい考えをしているわけではないんだ」
母上のいう事は最もだろう。
母上の中で魔王としての自我があった時、私よりも悪魔的思考の持ち主の聖女がいたぐらいだ。
でも私を受け入れてくれた母上も父上も、お祖父様もお祖母様も優しい心の持ち主だった。
特に父上とお祖父様、お祖母様から母上を奪い、殺そうとした存在を受け入れてくれる心の広い持ち主だった。
そんな人達以上の存在に会う事はないぐらい、私は恵まれた環境で過ごせている。
「ホロもお母様と同じ事を考えてる?」
「そうだな…貴族の世界で生きていくと決めたのだから、母上の考えに同意できる」
「ホロがそう考えているなら…」
イディはまだ納得できてなかったようだけど、一旦は自分の中で整理する事に決めたようだ。
まだまだ子供のイディには今回の話は難しかっただろう。
でもこれが貴族社会で生きてく上で重要な事になる。
一人で悩む時間も必要だと思い、お茶会の会場に辿り着く迄そっとして置く事にした。
私の前には母上とイディが並んで座っており、イディは何故かふくっつらな表情をしていた。
「おはよう…」
すっきりとした感じで起きる事ができた。
「僕ホロが寝るの邪魔しちゃったの?」
ふくれっつらだったのは父上に対してではなく、私が抱き締められていた所為でまともに寝れないようにしてしまった自分自身に対してなんだろう。
寝れなかった事に対してイディが悪いなんて私は思っていない。
「そんな事はない。私はイディと一緒に寝る事ができてよかったと思っている」
この発言は本心だ。
一人で寝る時よりもイディと一緒に寝ていた方が、むしろ普段より眠りが深かった。
「その、僕に遠慮してない?」
「していない」
視線を逸らさずにイディの目を見る。
不安が入り混じった瞳。
「イディは私の言葉を信じられないのか?」
「そ、そんな事ないよ!ホロは優しいから僕に話してくれないと思って…」
馬車は大きく揺れていないから、私は父上の膝の上から降りてイディの側によった。
「私はイディに嘘を言わない」
「本当に?」
「本当だ」
やっと私の言葉を本心だと分かったイディの瞳の不安が消えて表情も和らいだ。
普段のイディの表情を見る事ができてよかった。
「良かった」
ぎゅっとイディに抱きつかれ、私は姿勢を崩しそうになったがイディが私を支えてくれた。
「二人とも危ないから座りなさい」
父上に抱き上げられその隣にゆっくりと下された。
「仲が良い事はいいが状況を考えて動くんだ」
「はい」
「分かった」
「とくにホロはこのお茶会ではその話し方はしてはいけない。血筋だけで言えば今回のお茶会では一番高貴な存在になるが、家格だけで言えば上の家格の貴族も集まっている。今の様な話し方をしてはいけない」
「分かっている。だが、どうしてもという時は良いか?」
「どうしてもという時だけにはなるが許可をしよう」
その許可を貰えたのなら十分だ。
「ホロの喋り方ってダメなの?」
「いい話し方ではないよ。でも、家にいる間だけは、家族と一緒にいる間だけは自由に話して欲しいんだ」
「そうなんだ。僕はホロの話し方は聞いてて落ち着く事ができるからとても好きなんだ」
「イディはいい子だね。でもみんながイディと同じ優しい考えをしているわけではないんだ」
母上のいう事は最もだろう。
母上の中で魔王としての自我があった時、私よりも悪魔的思考の持ち主の聖女がいたぐらいだ。
でも私を受け入れてくれた母上も父上も、お祖父様もお祖母様も優しい心の持ち主だった。
特に父上とお祖父様、お祖母様から母上を奪い、殺そうとした存在を受け入れてくれる心の広い持ち主だった。
そんな人達以上の存在に会う事はないぐらい、私は恵まれた環境で過ごせている。
「ホロもお母様と同じ事を考えてる?」
「そうだな…貴族の世界で生きていくと決めたのだから、母上の考えに同意できる」
「ホロがそう考えているなら…」
イディはまだ納得できてなかったようだけど、一旦は自分の中で整理する事に決めたようだ。
まだまだ子供のイディには今回の話は難しかっただろう。
でもこれが貴族社会で生きてく上で重要な事になる。
一人で悩む時間も必要だと思い、お茶会の会場に辿り着く迄そっとして置く事にした。
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