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王女のこれから

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「知らぬですまぬ話ではなかろう!このお方は聖者であり、祖国で被害を受けた為に我が国に避難なされたのだぞ!?それを!聖者である事を知られると対等に話せる友人ができなくなるとおっしゃられて聖者の身分を隠されておられたのに…、そんな気持ちをお前は踏み躙ったのだぞ!」

「私は何をしても良いというおっしゃられたではありませんか!」

「馬鹿者!何をしても良いとは言ったが、習い事についてに決まっておるだろう!人を害する事は一切許さないと何度も侍従を介して伝えておったのにお前ときたら何度も何度も問題行動を起こしよって!お前のせいで王族の品位がどれだけ落ちたと思っておる!」

流石情報だけは集まる王様なだけあって、王女が何をやらかしているのか派知っていたみたい。
ただ知っていたからと言ってこの王様は一切その被害者に対しての補償は行っていない。

ある程度優秀な王様で金遣いの荒い王様でもあったから、なんとか民衆に支持はされていたけどそれもなんとかなだけであって指示の大半は王太子にある。
ここの国の王太子はあの国とは違って人を人としてみているし、能力が高ければ平民でも登用するぐらい貴族、平民関係なく分け隔てなく接している姿が大人気なのだとか。

「陛下、少し落ち着かれて下さい」

「王太子よ…すまない。王女の裁量は全てお主に任せよう。私は少し気を落ち着けて参る」

「かしこまりました。どうぞお身体にお気をつけ下さい」

王様は侍従数人を引き連れて会議室から出ていった。
会議が終わった後の談笑時間に来てよかった。

にこやかな笑顔だった王太子の表情から一変して、王女に厳しい表情を向けた。
この王太子は王太子に立太子しているのに、未だに婚約者を設けていない不思議な人だった。

誰とも恋愛をしている訳でもなく、女性嫌いでもない不思議な王太子であるがたまーに俺を見てくる目が気持ち悪い人でもある。
何やらあの王様と似たような気質を感じるけど、行動は王様より圧倒的に立派ではあるから王太子から下すなんて事は考えてない。

「で、一体どうして聖者様の夫君に手を出そうとしたんだ?」

「ヴァンクラフト様にお似合いなのは私しかいないわ…。だって、私には婚約者は愚か婚約者候補もいないのよ?それならば結婚する相手ぐらい私が選んでもいいじゃない!王女である私と結婚できれば、ヴァンクラフト様も王族として返り咲く事ができるのよ!?それに将軍でもあるヴァンクラフト様と結婚ができれば王族の権力はもっと強化されるわ!」

「ルド様の事はお考えにならなかったのか」

「男なんだから幾らでも稼ぎようがあるでしょう?それに聖者というのなら教会にでも閉じ込めていればいいのよ!」

その教会と死ぬほど仲が悪いから教会所属の聖者ではなく、治癒団所属の聖者として活動してるんだけどね。
それに王女のいう通り全然俺一人で稼ぐ事もできるけど、全員に稼ぐ事を止められに止められ続けて騎士団にだけ魔道具を送り続ける事しかできてない。

「いい加減にしないか!婚約者がどうしてお前についていないのかはお前自身が一番分かっていると思っていたが…お前の婚約者候補は居たが、お前自身の行動によって全員婚約者候補を辞退し隣国にも悪評が広まっていたから婚約者を未だにつける事ができていない。せめてもの情けとして同年代の婚約者候補を探していたが…その情けも不要だったようだな。ちょうどお前を欲しがってくれる男爵が一人だけいてな」

「だ、男爵…?この王女たる私が…?」

今未婚の男爵といえば一人しかいない。
それもかなり高齢で、沢山のご夫人を娶られているけど全員が不審死を遂げている。

その男爵に嫁ぐ事になればある意味俺の中で決めていた以上の罰になるから満足はする。
死なれてしまったら困るけど、俺からヴァンクラフトから奪おうとしたのだから相応の報いを受けてほしい。

絶望して泣きそうな王女の姿を見ても自業自得にしか思えなかった。
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