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罪と罰

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ルドの様子が一週間目からおかしくなった。
俺の事をゼゼとは呼ばず、ヴァバリアスの名前で呼ぶようになった。

何度か俺の事をヴィシャスで呼ぶ様に伝えたが、ヴァバリアスの名前で呼ばれ続ける。
足枷の事も愛の表れだとか言っていて、嬉しそうに何度も足枷を撫で続けながら愛を囁かれ続ける。

こんなルドは俺は求めていない…。
俺は俺として生まれ変わった時の幼少期の時に助けてくれた正義感の強いルドの事が好きなんだ。

一体どうしてこうなってしまったんだ…。
次第に膨らんでいくルドの腹は、望んだことに比例していく様に膨れていたが最近はそれも落ち着いた。

あの女神が要らぬ事をしたのではないか…。
ヴァバリアスに振られた腹いせに、元聖者の魂を世界から弾きヴァバリアスの体も力も封印したあの女ならやりかねない。

「どうしたの?何か辛い事あった?」

心配してくれるルドの姿も作られていると思うと気持ち悪く感じてしまう。
ヴァバリアスからルドを奪いたくて、女神と手を組んだしまった事が間違いだった。

ルドがルドとして存在していないのなら意味がない。
どうすれば本来のルドを取り戻す事ができるんだろう。

女神に聞けばルドを余計におかしくされてしまうかもしれない。
どうしたらルドを元のルドに戻すことができるんだ。

女神なんかの力を借りずに一人の男としてルドに見てもらえればよかったのか?
ヴァバリアスからルドを奪う事しか考えていなかった俺の罰なのか?

子供の様な振る舞いのルドを、俺は本当に求めていた姿なのだろうか。
ただニコニコと笑い、俺に愛を囁くルドは果たして俺が求めていた姿なのだろうか…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ルド…のルド…」

ヴァバリアスはまともに食事をとらず、部屋に篭っている状態だった。
最初はヴァバリアスは脇目を振らず、ルドを探す事に心血を注いでいたが一切食事も行わず、寝る間も惜しんでルドの捜索をし続けた。

ただヴァバリアスの焦る気持ちに、ヴァンクラフトの体はついていく事ができなかった。
先にヴァンクラフトの体の限界が来て、走り回る体力がなくなってしまった。

ヴァンクラフト自身が表に出ていないのも、ルドが目の前で攫われたショックと、ルドを探す為に体力を使い果たしてしまったのが原因で意識を眠りに付かせてしまった。
それもあってヴァバリアスは簡単に表に出ることができたが、ヴァンクラフトの体に食事をとらせなければならないと理解しているが、喉が食事を通らずまともに食事をとる事ができなくなったようだ。

ヴァバリアスもヴァンクラフトも探しに行きたくてもいく事ができない状態に打ち萎靡がれていた。
ギレスタもヴァンクラフトの事をかなり心配しており、自身の館が近くにあるのにも関わらずヴァンクラフトがこのままでは倒れてしまう可能性を鑑みてヴァンクラフトの館に泊まり込んでいる。
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