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ストーリーが開始されました!

逃げることができませんでした

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「も、もう分かりましたから!その声を止めて下さい!」

止めてと頼んでいるのに、二人の声が全く止まることを知らない。
なんならもっとうるさくなったと感じるぐらい、頭の中を一杯一杯にしてくる。

表情だけは無表情なのに、二人の甘い言葉は止まる事を知らなくてこれでもかと俺の事を困らせてくる。
どうしてこんな平凡な容姿をしている俺なんかを可愛いと思う言うんだ。

もっと可愛い人も沢山いるのに、俺に可愛いと言葉を向けられる事に慣れない。
言われて気が悪い言葉ではないし、良い言葉なんだけど可愛いなんて父さんと母さんからに幼少期の時にしか言われたことがなかったから余計に恥ずかしくて堪らない。

熱くなる頬が治る気配が一切なくて本当に恥ずかしい。
どうしてここまで恥ずかしい思いをしなくちゃいけなんだっ!

全然止まる事を知らない二人の声に両耳を塞いだけど、心の声が聞こえているから耳を塞いでも無駄な事に耳を塞いでから気がついた。

「ふ、二人ともうるさいよっ…!なんでここまで二人ともうるさいの!?」

死にそうな程恥ずかしい事をこんなに我慢しなくちゃいけないなんてっ!

「愛の囁きをうるさいと言われるのは悲しい物だな。それとも別の場で囁いた方が良いのか?」

「べ、別の場所って何さ!?俺そんな事するつもりは一切ないからね!?」

「そんな事とは一体何を考えたのだ?もしかしてやましい事を考えたのか?」

「そ、そんな訳ないじゃない!や、やましい事を考えて何も良い事ある訳ないじゃない!」

叫んでからはっと気がついた。
これ俺自爆してない?

だって完全に俺が言った言葉はやましい事を考えてましたと言っていても過言じゃない。
俺はなんでこんな事を口走ってしまったんだ。

闇者の方に視線を向ければ、表情は無表情に変わりがないけど向けられる視線は何故か熱を帯びていた。
熱を帯びた視線は何度か向けられたことがあるが、ここまで熱が籠った視線を向けられるとは思わなかった。

これ逃げないと行けない気がする…。
考えが完全に筒抜けの状態だったから、掴まれている手の力が強くなった。

これはやばい、やばすぎる。
振り解けないとなると闇者から逃れる術がない。

一旦逃げられたしても扉の前にフレミネが待機しているからこの部屋から逃げ切れるとも思えない。

「二人とも…か、考え直そうよ…?」

流れ込んでくる心の声は段々と過激な物に変わってきていて、これからそれを行われるかと思うとゾッとしてしまう。

とヴァンクラフトの思いをしっかりと分からせてやろう」

闇者とヴァンクラフトから向けられる欲望はあまりにも重た過ぎて、今からの事を考えると本当に無事で居られるのか不安だった。
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