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クルドについて

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ずっとぐるぐると考え続けて俺は考えすぎで吐きそうになってしまった。
吐きそうになるのをなんとか抑え込みながら、俺はゆっくりと息を吸って吐いてを繰り返し続けた。

「ゆっくりと呼吸して下さい。どうか心を落ち着けてゆっくり吸って下さい」

リリエルに背中を優しく摩って貰って漸く息をゆっくり吸う事ができた。
吐き気はまだ治ってくれなくて気持ち悪さは残っているけど、今すぐに吐くまでは行かない。

なんとかかんとか楽になってきたぐらいで、横を見たらいつの間にかクルドが目を覚ましていた。

「クルド目を覚ましたの?」

「ルドくん…無事だったんだね?」

一番酷い目に遭ったのに、俺の心配をするクルドに泣きそうになってしまった。
どうして、俺のことを一番に心配するの。

俺が、俺さえいなければクルドは幸せに過ごせたのに。

「ごめんなさい…俺が、俺がクルドと一緒にいなければ、こんな事にならなかったのに…ごめんなさい…ごめんなさいっ…」

涙が出そうになるけど泣いちゃだめだ。
だって本当に辛い思いをしたのはクルドなんだから。

「本当にごめんなさっ」

「ルドくん」

パシッと両頬をクルドに挟まれた。

「俺が自身がルドくんを守るって決めたのを忘れちゃった?君を守る為なら代わりに怪我を負うのも厭わないんだ」

「でも…、それで、それで死んじゃったら…」

それで死んでしまったら俺はずっと俺を許せない。

「今俺は生きているでしょ?だから大丈夫。それにね、ルドくんの治癒魔法凄くて実はルドくんが起きる前に少しだけ起きてたんだけど、昔の怪我まで治っててね」

クルドが布団を捲って見せてくれたのは足の傷跡だった。
本来であれば再起不能のレベルの怪我で歩くだけで精一杯の筈…。

「これは昔ね、とある王族の方に疎まれて負わされた怪我なんだ。王族とたまたま手合わせをする機会があってね、子供だった俺はその王族相手に手合わせで勝ってしまったんだ。その結果俺は王族の護衛に押さえつけられながら、足を再起不能になるまでズタズタに斬られたんだ」

絶句する内容だった。
王族に勝ったそれだけの理由でそこまでされなければならないの?

「王族相手であったから治癒団もその当時は手を貸してくれなくて、傷も包帯を巻いて治るのを願うしかなかったんだ。傷は癒えたけど後遺症として俺は走ることができなくなっていた。正直歩けるようになったのも学校に入学するから直前で、ルドくんに治癒魔法をかけられるまでは痛みも絶えずあったんだ。それが今は全く痛くないんだ」

酷い怪我を負わされて、治癒団も利用できなくされたのにクルドはこの世界で一生懸命生きている。
騎士の道を断たれたのに悲観するから事もなく別の道を自ら切り開いて生きているんだ。

「それでねルドくんに一つ提案があるんだ」

「提案…?」

クルドがベッドから降りて俺の手を取り、クルドの額に俺の手が寄せられた。
この行動どこかで見たことがある。

「ルドくん…ううん、ルド様。私はクルド・フレミネンスと申します。どうか私を貴方の騎士にして頂けませんか」

騎士の祈りだった。
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