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治癒団の勧誘

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リリエルから聞く話はゲームで主人公視点で聞いていた内容そのままだった。
目の前にいるリリエルはゲームではフードを被っていたから容姿を知らなかったけど、こんなに綺麗ならフードを被って正解なんだろうな。

フードなしで描かれていたらきっと人気一位をかっさらうぐらい綺麗な人だ。

「私のお話は以上でございます。ルド様是非我ら治癒団に身を置いていただけませんか?私達は平民であっても、能力が備わっていれば身分など問題ないのです」

貴族と平民の違いは苗字を持っているかいないか。
だけど、今の俺は貴族の位を持つ前で、正式な苗字も家格も決まっていないからただのルドのままだ。

「どうでしょうか?」

「その、リリエル様に大変申し訳ないのですが…俺一人では決める事ができないのです」

「なぜ、でしょうか?」

「俺自身はまだ平民の身ではあるのですが、最近両親に爵位が戻りましてゆくゆくは貴族の身分を頂く予定なのです」

「まさか…王弟殿下ご夫妻のご子息様であらせられますか?」

ゆっくり頷けばリリエル様は頭を抱えてしまった。
貴族でもそこらの侯爵家であれば治癒団にもいるが、公爵家以上になると自身以外に家主の許可まで必要になってしまう。

身分が高すぎる為何かあった時に補償をしないという約束が必要になる。
治癒団は何かといろんな場所から狙われやすいからという理由だ。

悪いことをしたということではなく、単純に治癒の能力が高いというのは喉から手が出る程欲しい存在だから。
そして今回はサミュエルがゲームであった誘拐などが俺に起こってしまう。

「まさか…王弟殿下ご夫妻のご子息様とは…。確かに許可をして頂かないといけなくなりますね。しかし、私達治癒団は決してルド様に無理強いを致しませんし、強行手段を用いる事はありません。これは私がお約束いたしますので、どうかご安心して下さい」

リリエルが俺の手を取りながら傅く姿は不思議と絵になっていた。
保健室だから日が入り込みにくい作りになっているのに、なぜかリリエルの後ろに後光が差し込んでいる。

「その、ありがとうございます…」

お礼を言えばリリエルの表情は柔らかくなり、傅いていた状態から楽な状態になった。

「お話が変わってしまうのですが、ルド様を庇われて殴られた少年ですが、もしかすると障害が残ってしまう可能性がございまして…」

リリエルの言葉に驚きを隠せなかった。

「ルド様がすぐに処置をして下さったのですが、頭に強い衝撃を受けてしまっていたので場合によっては障害が出てしまう可能性があるのです」

俺のせいでクルドに障害が残ってしまう可能性があるって事?

「きっとルド様はご自身のせいでと思われていますでしょうが、あの少年を襲ったのはルド様ではなく平民の方です。ですから、ルド様はご自身のことを責めなくても良いのです」

頭ではわかっているけど、自分が行動しなければきっとクルドは怪我を負うこともなかったんだ。
そんな後悔が押し寄せてくる。
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