83 / 199
ストーリーが開始されました!
治癒団の勧誘
しおりを挟む
リリエルから聞く話はゲームで主人公視点で聞いていた内容そのままだった。
目の前にいるリリエルはゲームではフードを被っていたから容姿を知らなかったけど、こんなに綺麗ならフードを被って正解なんだろうな。
フードなしで描かれていたらきっと人気一位をかっさらうぐらい綺麗な人だ。
「私のお話は以上でございます。ルド様是非我ら治癒団に身を置いていただけませんか?私達は平民であっても、能力が備わっていれば身分など問題ないのです」
貴族と平民の違いは苗字を持っているかいないか。
だけど、今の俺は貴族の位を持つ前で、正式な苗字も家格も決まっていないからただのルドのままだ。
「どうでしょうか?」
「その、リリエル様に大変申し訳ないのですが…俺一人では決める事ができないのです」
「なぜ、でしょうか?」
「俺自身はまだ平民の身ではあるのですが、最近両親に爵位が戻りましてゆくゆくは貴族の身分を頂く予定なのです」
「まさか…王弟殿下ご夫妻のご子息様であらせられますか?」
ゆっくり頷けばリリエル様は頭を抱えてしまった。
貴族でもそこらの侯爵家であれば治癒団にもいるが、公爵家以上になると自身以外に家主の許可まで必要になってしまう。
身分が高すぎる為何かあった時に補償をしないという約束が必要になる。
治癒団は何かといろんな場所から狙われやすいからという理由だ。
悪いことをしたということではなく、単純に治癒の能力が高いというのは喉から手が出る程欲しい存在だから。
そして今回はサミュエルがゲームであった誘拐などが俺に起こってしまう。
「まさか…王弟殿下ご夫妻のご子息様とは…。確かに許可をして頂かないといけなくなりますね。しかし、私達治癒団は決してルド様に無理強いを致しませんし、強行手段を用いる事はありません。これは私がお約束いたしますので、どうかご安心して下さい」
リリエルが俺の手を取りながら傅く姿は不思議と絵になっていた。
保健室だから日が入り込みにくい作りになっているのに、なぜかリリエルの後ろに後光が差し込んでいる。
「その、ありがとうございます…」
お礼を言えばリリエルの表情は柔らかくなり、傅いていた状態から楽な状態になった。
「お話が変わってしまうのですが、ルド様を庇われて殴られた少年ですが、もしかすると障害が残ってしまう可能性がございまして…」
リリエルの言葉に驚きを隠せなかった。
「ルド様がすぐに処置をして下さったのですが、頭に強い衝撃を受けてしまっていたので場合によっては障害が出てしまう可能性があるのです」
俺のせいでクルドに障害が残ってしまう可能性があるって事?
「きっとルド様はご自身のせいでと思われていますでしょうが、あの少年を襲ったのはルド様ではなく平民の方です。ですから、ルド様はご自身のことを責めなくても良いのです」
頭ではわかっているけど、自分が行動しなければきっとクルドは怪我を負うこともなかったんだ。
そんな後悔が押し寄せてくる。
目の前にいるリリエルはゲームではフードを被っていたから容姿を知らなかったけど、こんなに綺麗ならフードを被って正解なんだろうな。
フードなしで描かれていたらきっと人気一位をかっさらうぐらい綺麗な人だ。
「私のお話は以上でございます。ルド様是非我ら治癒団に身を置いていただけませんか?私達は平民であっても、能力が備わっていれば身分など問題ないのです」
貴族と平民の違いは苗字を持っているかいないか。
だけど、今の俺は貴族の位を持つ前で、正式な苗字も家格も決まっていないからただのルドのままだ。
「どうでしょうか?」
「その、リリエル様に大変申し訳ないのですが…俺一人では決める事ができないのです」
「なぜ、でしょうか?」
「俺自身はまだ平民の身ではあるのですが、最近両親に爵位が戻りましてゆくゆくは貴族の身分を頂く予定なのです」
「まさか…王弟殿下ご夫妻のご子息様であらせられますか?」
ゆっくり頷けばリリエル様は頭を抱えてしまった。
貴族でもそこらの侯爵家であれば治癒団にもいるが、公爵家以上になると自身以外に家主の許可まで必要になってしまう。
身分が高すぎる為何かあった時に補償をしないという約束が必要になる。
治癒団は何かといろんな場所から狙われやすいからという理由だ。
悪いことをしたということではなく、単純に治癒の能力が高いというのは喉から手が出る程欲しい存在だから。
そして今回はサミュエルがゲームであった誘拐などが俺に起こってしまう。
「まさか…王弟殿下ご夫妻のご子息様とは…。確かに許可をして頂かないといけなくなりますね。しかし、私達治癒団は決してルド様に無理強いを致しませんし、強行手段を用いる事はありません。これは私がお約束いたしますので、どうかご安心して下さい」
リリエルが俺の手を取りながら傅く姿は不思議と絵になっていた。
保健室だから日が入り込みにくい作りになっているのに、なぜかリリエルの後ろに後光が差し込んでいる。
「その、ありがとうございます…」
お礼を言えばリリエルの表情は柔らかくなり、傅いていた状態から楽な状態になった。
「お話が変わってしまうのですが、ルド様を庇われて殴られた少年ですが、もしかすると障害が残ってしまう可能性がございまして…」
リリエルの言葉に驚きを隠せなかった。
「ルド様がすぐに処置をして下さったのですが、頭に強い衝撃を受けてしまっていたので場合によっては障害が出てしまう可能性があるのです」
俺のせいでクルドに障害が残ってしまう可能性があるって事?
「きっとルド様はご自身のせいでと思われていますでしょうが、あの少年を襲ったのはルド様ではなく平民の方です。ですから、ルド様はご自身のことを責めなくても良いのです」
頭ではわかっているけど、自分が行動しなければきっとクルドは怪我を負うこともなかったんだ。
そんな後悔が押し寄せてくる。
547
お気に入りに追加
1,310
あなたにおすすめの小説
完結・虐げられオメガ側妃なので敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン溺愛王が甘やかしてくれました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
転生したけどやり直す前に終わった【加筆版】
リトルグラス
BL
人生を無気力に無意味に生きた、負け組男がナーロッパ的世界観に転生した。
転生モノ小説を読みながら「俺だってやり直せるなら、今度こそ頑張るのにな」と、思いながら最期を迎えた前世を思い出し「今度は人生を成功させる」と転生した男、アイザックは子供時代から努力を重ねた。
しかし、アイザックは成人の直前で家族を処刑され、平民落ちにされ、すべてを失った状態で追放された。
ろくなチートもなく、あるのは子供時代の努力の結果だけ。ともに追放された子ども達を抱えてアイザックは南の港町を目指す──
***
第11回BL小説大賞にエントリーするために修正と加筆を加え、作者のつぶやきは削除しました。(23'10'20)
**
王太子殿下は悪役令息のいいなり
白兪
BL
「王太子殿下は公爵令息に誑かされている」
そんな噂が立ち出したのはいつからだろう。
しかし、当の王太子は噂など気にせず公爵令息を溺愛していて…!?
スパダリ王太子とまったり令息が周囲の勘違いを自然と解いていきながら、甘々な日々を送る話です。
ハッピーエンドが大好きな私が気ままに書きます。最後まで応援していただけると嬉しいです。
書き終わっているので完結保証です。
人生イージーモードになるはずだった俺!!
抹茶ごはん
BL
平凡な容姿にろくでもない人生を歩み事故死した俺。
前世の記憶を持ったまま転生し、なんと金持ちイケメンのお坊ちゃまになった!!
これはもう人生イージーモード一直線、前世のような思いはするまいと日々邁進するのだが…。
何故か男にばかりモテまくり、厄介な事件には巻き込まれ!?
本作は現実のあらゆる人物、団体、思想及び事件等に関係ございません。あくまでファンタジーとしてお楽しみください。
愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる