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ストーリーが開始されました!

少しこころが軽くなりました

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「と、父さんは全部知ってて、助けてくれなかったの…?」

「いや、ルドがそんな状況に置かれていると知ったのは最近なんだ。もっと早く気がついて上げれば、ルドをここまで苦しめずに済んだかも知れないのに…」

そうだよね。
俺の、俺の思い違いでよかった。

俺を見捨てたって決めつけてしまいそうになって、俺自身の考えにゾッとした。
だって父さんが俺を苦しめ続ける状況に置かないって知っていたのに、見捨ててしまうそんな考えが頭の中に先によぎってしまったのが恥ずかしい。

「お父さんとお母さんの爵位は昨日取り戻したんだけど、ルドは一から爵位の申請を行っているから少し時間が掛かってしまうんだ。だから学校が再開してから魔物狩りの時期まではルドはまだ平民のルドとして過ごさなきゃいけなくなる。それまではきっとあの子爵令息が何かをしてくるかも知れないから、ルドにこれを持っていて欲しいんだ」

ポケットから取り出した物は小さな指輪だった。
俺の指にすら通らないその指輪は通せても子供の指ぐらい小さい。

「父さんこれは?」

「これは王族に連なる者である事を証明する指輪なんだ。念の為にルド用に作ったものなんだけど、こうして日の目を見ることができたのはよかったというべきなんだろうか…。本当はルドが幸せに暮らしていけるならこの指輪も、爵位を取り戻すのもしなかった事なんだ。だから私はあの子爵令息を絶対に許しはしないし、そして学校でもルドをいじめてくる奴らも一切許す気はない」

父さんの顔つきは厳しく、俺に酷い事をしてきた奴らに怒りを抱いていた。

「父さん…」

ぎゅっと指輪を握りしめた。
父さんが起こってくれるのがこんなに嬉しいだなんて思わなかった。

相談したら商会を潰されるって脅されていたから、ずっとずっと相談できなかったのが苦しかった。

「長い間ルド一人だけを苦しめさせてごめんね…」

「俺も、何も言えなくて…、ごめんなさいっ…」

ワッと泣き出して父さんに抱きついた。
父さんは抱きついた俺を振り払う事もなく、ぎゅっと抱きしめてくれた。

優しく抱きしめてくれて、俺が泣き止むまでずっと抱きしめ続けてくれた。

「おほんっ!」

泣いている途中で咳払いが聞こえてはっとした。
そういえば医師が居たのを忘れてた!!

その事を思い出して急に顔が熱くなり、父さんからパッと離れようとしたけど思っている以上の力に抱きしめられて逃げることができない。

「少しは空気を読んでくれないか?息子が私から離れようとしているではないか」

「私がいる場所ではお控えなさってください。見ていてこちらが恥ずかしいです」

「其方のはやっかみだろう?子に長らく会えておらぬのか?」

父さんが人を揶揄うような話し方は初めて聞いた。

「殿下は子供の頃から本当におかわりがないようですね」

「子供心は忘れてはならぬと教えられたからな」

「貴方様はああいえばこういう…。こんな事をまた行えると思うと、少しは嬉しいですね」

目の前は父さんの胸板しか映ってないけど、医師が若干涙ぐんでいる声がする。
本当にこの時を待ち望んでいた人なんだな…。

父さんは王子の時はやんちゃだったけど、優しい人だったから人に好かれてたんだろうね。
まあ、そのやんちゃさが落ち着いていると良いね。
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