340 / 391
― 奪われる』―
339話 策の正体
しおりを挟む
穴から降りようとする魔物達を猛然と吹き飛ばし、地下からの脱出を果たしたさくら達。彼女達は空に浮かんだまま、動揺し、ただただ言葉を失ってしまっていた。
『策がある』―。その竜崎の言葉を信じ、穴から抜け出した。しかし瞬間、目の端に見えたのは黄土の輝き。
直後、起こったことは何か。そう、土の上位精霊ノウムによって、出入りできる穴が全て塞がれてしまったのだ。
加えて、剣山の様な岩棘までもが天を衝く。不可解、実に不可解である。何故、その岩棘は外部へと牙をむいているのか。それこそ、寄る者を拒むかのように。
更にもう一つ、不可解な点がある。竜崎は何のためにこんなことをしたのか、だ。
先程、獣人はこの岩天井を砕き抜いて降りてきた。竜崎はそんな彼に対し、決して小さくない…いや、普通ならば戦闘不能になるであろう『腕切断』という大ダメージを与えたのだ。
しかし、予想外の能力&呪薬の影響で、獣人本人は未だピンピンしている。恐らく今でも、やろうと思えば屋根を容易く砕き脱出が可能であろう。
端から見ていた素人であるさくらでも、それは察していた。竜崎がそれをわかっていないわけはない。
ならば、何故…?これが『策』だというのだろうか。こんな、わざと密室を…何人も寄せ付けず、何も漏らさないような空間を作ることが…
―……!! 清人…まさか……嘘…だよな…?…なぁ…!―
その真意、竜崎の『本当の策』に気づいたのはニアロンが先であった。彼女は無意識的に、姿の見えなくなった相棒へと聞こえぬ問いを投げかけていた。
その顔には、深い絶望と愕然が入り混じった色が浮かんでいた。信じたくない、だがそれしか考えられない事実を突きつけられた。そんな表情であった。
それは自らの内だけでは抑えきれず、受け入れきれないその事実は、震える口より漏れ出してしまった。
―私の…あの『呪い』を……!―
「解放する気か…!リュウザキィ!」
一方の地下。同じく、竜崎の行動の真意に気づいた魔術士は焦り気味の怒声を放つ。その言葉に、竜崎は強く頷いた。
「あぁ…。この『呪い』を…周囲を蝕み殺すこの呪いを…本当に…解き放つ…!」
竜崎の身に残された呪い。それは人にしか効かず、罹ったら最後、自分の意志は苦痛で消え失せ、体は蝕まれ、生きた屍となる。
取り込まれたものは、まるでゾンビのように身を腐らせ、体がグズグズになり動けなくなるまで呪いを撒き散らす。そんな記述が残る、おぞましき存在。
彼は、そんなものを解き放とうというのだ。自らの『死』と引き換えに、魔術士達を道連れにする気であったのだ。
…そう。竜崎はここにきて、またも嘘をついた。さくら達を守るために、さくら達を騙したのだ。
はなから彼の行動は、たださくらとニアロンを逃がすというただ一点に絞られていた。『策』なぞ、最初から存在しなかったのである。
いや…正しくは、これが策。ニアロンがいれば、間違いなく止められていた文字通り『最後の策』。竜崎は呪いが蠢き出した時から、このために動いていたのだ。
日本語で指示を投げかけたのも、さくら達にシルブを召喚させ空中に浮かせたのも、このような事態のために潜ませていたノウムを動かしたのも、さくら達を逃がすためであった。
全ては、自らの行いを止めさせないため。そして、呪いから遠ざけるために―。
そして…それは見事に成功した。さくら達は外に、自らは内部に隔離。間を隔てるは、厚き岩壁。竜崎は静かに笑い、呟いた。
「よかった…ここで…」
「なに…!?」
思わず返す魔術士。竜崎は、弱弱しくも、はっきりとした口調で答えた。
「ここは…どの人里からも遠く離れている…。旅人も…滅多に入らない魔物の巣窟だ…。それに…穴は埋めた…。呪いが…お前達を殺した後…外に漏れることは無い…」
と、そこでフッ…と息を吐いた彼は、自らの心に言い聞かせるように更に続けた。
「それに…この呪いの…防護魔術は…既に作ってある…。賢者の…爺さん達が…全てが終わったここに…足を踏み入れることは…できる…。ニアロンには悪いが…呪いを回収しても…彼女はもう自由に動けるはず…。あとは…魔神達の元で…気楽に暮らして貰えば…いい…!」
そう言い切ると、竜崎は片方の手を銃の形へと変える。すると、その伸ばした人差し指と中指の先に、魔術弾が生成され始めた。
しかし、それは脆弱。とても、人を穿つことは出来そうもない。それが今の、竜崎の限界であった。
だが、それでも…意識を維持するだけで精いっぱいな自身を、気絶にまで持っていくぐらいは出来る。そう言わんばかりに、彼はその魔術弾を自らのこめかみへと向けた。
それと同時に、竜崎の身体を抑えていた聖魔術が、一つ、また一つと消えていく。否、自分の意志で消していく。止められていた呪印は脈動を強め、身の掌握の瞬間を今か今かと待ちわびだす。
恐らく竜崎が気を失った瞬間、呪いは残った聖魔術を貫き、彼の身を屍へと変えるであろう。聖魔術の解除により襲い来る苦痛を耐えながら、竜崎はギッと目の前の魔術士を睨みつけた。
「本当なら…色々と聞きたいことがある…。だけど…もう…それは出来そうにない…。それでも…『禁忌魔術の担い手』と『勇者に比肩する暴力の持ち主』を…野に放つわけにはいかない…!」
彼らに魔導書を渡せば、必ずや災厄をもたらす。だからこそ、自らの命で防ぐしかない。竜崎に残された方法は、それしかなかった。それでしか、彼らを倒せない状況であった。覚悟を、決めるしかなかった。
「正気か…テメエ…!」
「あぁ…正気だとも…!俺の志を学んでくれた者達は…世界の各地に散っている。…どうで俺は…この世界において部外者だ…。妙な歯車が…役目を終えて無くなるだけ…。あとは、正しき心を持った…この世界の正しき者たちが、後を引き継いでくれるさ…!」
消えかけの命だというのに毅然とした目の竜崎に、魔術士はゾっと身を怯えさせてしまう。その隙を突き、竜崎はこめかみに当てた震える手に力を籠め始める。
「…ごめん…ニアロン…アリシャ…皆…。ごめん…さくらさん…達者でいてね…」
と、僅かに引き金を引く力が弱まった…その瞬間であった。
「ふ…ふざけんじゃねえェ!! こちとらまだ、勇者のヤロウにリベンジしてねえんだよォ!!」
叫喚呼号。空気が破裂せんばかりの大声をあげたのは、獣人。それと同時に、空になった注射器が地に落ちた。
刹那、彼は腕に紫の紋様を強く走らせ、拘束を完全に引きちぎる。そしてそのまま一足飛びで竜崎へと肉薄し…。
「させっかよォ!」
ドッ!
竜崎の身を、気絶させぬ程度に蹴り飛ばした。
『策がある』―。その竜崎の言葉を信じ、穴から抜け出した。しかし瞬間、目の端に見えたのは黄土の輝き。
直後、起こったことは何か。そう、土の上位精霊ノウムによって、出入りできる穴が全て塞がれてしまったのだ。
加えて、剣山の様な岩棘までもが天を衝く。不可解、実に不可解である。何故、その岩棘は外部へと牙をむいているのか。それこそ、寄る者を拒むかのように。
更にもう一つ、不可解な点がある。竜崎は何のためにこんなことをしたのか、だ。
先程、獣人はこの岩天井を砕き抜いて降りてきた。竜崎はそんな彼に対し、決して小さくない…いや、普通ならば戦闘不能になるであろう『腕切断』という大ダメージを与えたのだ。
しかし、予想外の能力&呪薬の影響で、獣人本人は未だピンピンしている。恐らく今でも、やろうと思えば屋根を容易く砕き脱出が可能であろう。
端から見ていた素人であるさくらでも、それは察していた。竜崎がそれをわかっていないわけはない。
ならば、何故…?これが『策』だというのだろうか。こんな、わざと密室を…何人も寄せ付けず、何も漏らさないような空間を作ることが…
―……!! 清人…まさか……嘘…だよな…?…なぁ…!―
その真意、竜崎の『本当の策』に気づいたのはニアロンが先であった。彼女は無意識的に、姿の見えなくなった相棒へと聞こえぬ問いを投げかけていた。
その顔には、深い絶望と愕然が入り混じった色が浮かんでいた。信じたくない、だがそれしか考えられない事実を突きつけられた。そんな表情であった。
それは自らの内だけでは抑えきれず、受け入れきれないその事実は、震える口より漏れ出してしまった。
―私の…あの『呪い』を……!―
「解放する気か…!リュウザキィ!」
一方の地下。同じく、竜崎の行動の真意に気づいた魔術士は焦り気味の怒声を放つ。その言葉に、竜崎は強く頷いた。
「あぁ…。この『呪い』を…周囲を蝕み殺すこの呪いを…本当に…解き放つ…!」
竜崎の身に残された呪い。それは人にしか効かず、罹ったら最後、自分の意志は苦痛で消え失せ、体は蝕まれ、生きた屍となる。
取り込まれたものは、まるでゾンビのように身を腐らせ、体がグズグズになり動けなくなるまで呪いを撒き散らす。そんな記述が残る、おぞましき存在。
彼は、そんなものを解き放とうというのだ。自らの『死』と引き換えに、魔術士達を道連れにする気であったのだ。
…そう。竜崎はここにきて、またも嘘をついた。さくら達を守るために、さくら達を騙したのだ。
はなから彼の行動は、たださくらとニアロンを逃がすというただ一点に絞られていた。『策』なぞ、最初から存在しなかったのである。
いや…正しくは、これが策。ニアロンがいれば、間違いなく止められていた文字通り『最後の策』。竜崎は呪いが蠢き出した時から、このために動いていたのだ。
日本語で指示を投げかけたのも、さくら達にシルブを召喚させ空中に浮かせたのも、このような事態のために潜ませていたノウムを動かしたのも、さくら達を逃がすためであった。
全ては、自らの行いを止めさせないため。そして、呪いから遠ざけるために―。
そして…それは見事に成功した。さくら達は外に、自らは内部に隔離。間を隔てるは、厚き岩壁。竜崎は静かに笑い、呟いた。
「よかった…ここで…」
「なに…!?」
思わず返す魔術士。竜崎は、弱弱しくも、はっきりとした口調で答えた。
「ここは…どの人里からも遠く離れている…。旅人も…滅多に入らない魔物の巣窟だ…。それに…穴は埋めた…。呪いが…お前達を殺した後…外に漏れることは無い…」
と、そこでフッ…と息を吐いた彼は、自らの心に言い聞かせるように更に続けた。
「それに…この呪いの…防護魔術は…既に作ってある…。賢者の…爺さん達が…全てが終わったここに…足を踏み入れることは…できる…。ニアロンには悪いが…呪いを回収しても…彼女はもう自由に動けるはず…。あとは…魔神達の元で…気楽に暮らして貰えば…いい…!」
そう言い切ると、竜崎は片方の手を銃の形へと変える。すると、その伸ばした人差し指と中指の先に、魔術弾が生成され始めた。
しかし、それは脆弱。とても、人を穿つことは出来そうもない。それが今の、竜崎の限界であった。
だが、それでも…意識を維持するだけで精いっぱいな自身を、気絶にまで持っていくぐらいは出来る。そう言わんばかりに、彼はその魔術弾を自らのこめかみへと向けた。
それと同時に、竜崎の身体を抑えていた聖魔術が、一つ、また一つと消えていく。否、自分の意志で消していく。止められていた呪印は脈動を強め、身の掌握の瞬間を今か今かと待ちわびだす。
恐らく竜崎が気を失った瞬間、呪いは残った聖魔術を貫き、彼の身を屍へと変えるであろう。聖魔術の解除により襲い来る苦痛を耐えながら、竜崎はギッと目の前の魔術士を睨みつけた。
「本当なら…色々と聞きたいことがある…。だけど…もう…それは出来そうにない…。それでも…『禁忌魔術の担い手』と『勇者に比肩する暴力の持ち主』を…野に放つわけにはいかない…!」
彼らに魔導書を渡せば、必ずや災厄をもたらす。だからこそ、自らの命で防ぐしかない。竜崎に残された方法は、それしかなかった。それでしか、彼らを倒せない状況であった。覚悟を、決めるしかなかった。
「正気か…テメエ…!」
「あぁ…正気だとも…!俺の志を学んでくれた者達は…世界の各地に散っている。…どうで俺は…この世界において部外者だ…。妙な歯車が…役目を終えて無くなるだけ…。あとは、正しき心を持った…この世界の正しき者たちが、後を引き継いでくれるさ…!」
消えかけの命だというのに毅然とした目の竜崎に、魔術士はゾっと身を怯えさせてしまう。その隙を突き、竜崎はこめかみに当てた震える手に力を籠め始める。
「…ごめん…ニアロン…アリシャ…皆…。ごめん…さくらさん…達者でいてね…」
と、僅かに引き金を引く力が弱まった…その瞬間であった。
「ふ…ふざけんじゃねえェ!! こちとらまだ、勇者のヤロウにリベンジしてねえんだよォ!!」
叫喚呼号。空気が破裂せんばかりの大声をあげたのは、獣人。それと同時に、空になった注射器が地に落ちた。
刹那、彼は腕に紫の紋様を強く走らせ、拘束を完全に引きちぎる。そしてそのまま一足飛びで竜崎へと肉薄し…。
「させっかよォ!」
ドッ!
竜崎の身を、気絶させぬ程度に蹴り飛ばした。
0
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
ゲームのモブに転生したと思ったら、チートスキルガン積みのバグキャラに!? 最強の勇者? 最凶の魔王? こっちは最驚の裸族だ、道を開けろ
阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
どこにでもいる平凡なサラリーマン「俺」は、長年勤めていたブラック企業をある日突然辞めた。
心は晴れやかだ。なんといってもその日は、昔から遊んでいる本格的ファンタジーRPGシリーズの新作、『レジェンドオブインフィニティ』の発売日であるからだ。
「俺」はゲームをプレイしようとするが、急に頭がふらついてゲーミングチェアから転げ落ちてしまう。目覚めた「俺」は驚く。自室の床ではなく、ゲームの世界の砂浜に倒れ込んでいたからである、全裸で。
「俺」のゲームの世界での快進撃が始まる……のだろうか⁉
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる