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閑話⑪

アストの奇妙な一日:アストのお家(で☆)騒動⑧

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「へっっ!?  お母様!? お祖母様!?」


背後より聞こえてきた声に、びっくりして振り向いてしまう。そこには…数人の使用人を引き連れた、母と祖母…!!


「お庭に出たと聞いたから、丁度探そうとしていたところなのよ」

「あらあら、そんなにぬいぐるみを抱きしめちゃってぇ」


―あっ…! つい、ぬいぐるみに力を込めてた…! 社長が潰れる心配は無いとしても、直前まで顔をだしてたし……!


「まあ、可愛い花冠! 作ったのかしら?」

「ぬいぐるみにピッタリねぇ」


…え。あ。 流石社長、とっくにぬいぐるみの中に身を隠してた。それに加え、視点操作&話の齟齬防止として、ぬいぐるみ頭部に先程の花冠をすぽっと嵌めてくれている。


なら安心して…―。平常通りを装って…!


「お、お母様とお祖母様はどうしてこちらに?」


「天気も良いし、外で紅茶を頂こうと思って! 一緒にどうかしら?」

「さっきアストちゃんがくれたお菓子も持ってきたわよぉ」









―――母と祖母のそんな誘いを断れるはずもなく。私もお茶会へ参加することに。


辿り着いたのは庭園の至る所に置かれているガゼボの一つ。柱はシンプルかつ瀟洒なもので、屋根には光取り用の美しい彫刻が各所に施されている、日光が強すぎない晴れた日専用の東屋。


周囲には飲食の邪魔とならない心地よい香りを仄かに漂わせる花々と、同じく耳障りとならない音を立てる小噴水。更に、先程植え替えられていた植木鉢も文字通り花を添えている。



それを目の端で楽しみつつガゼボ中央に置かれた机へ腰かけると、使用人たちが鮮やかに動きセッティングを行っていく。


机の真ん中にはケーキスタンドが置かれ、厨房特製の小さなサンドイッチやスコーン、素敵な飾り付けの一口ケーキ。


それに加え、先程両親に顔合わせした際に渡したお菓子類も綺麗に並べられた。選び抜いた甲斐があって、他のお菓子と比べても格は劣ってなさそう。


行儀悪いのは重々承知だが、どれから手を付けるかつい目移りしてしまう。 と、その邪魔をしないように、食器の音を立てないように、温かな紅茶が私達の前に。


ふと目を軽く移すと、控えている使用人の傍には幾つかのカフェワゴン。そこには菓子のおかわりだけでなく、ティーポットやカップ、各種茶葉やハーブが入ったキャニスターが複数。ミルクやカットオレンジなどの用意も万端。


紅茶の時間なためこの場に用意はないが、それこそひとつ声をかけさえすれば、コーヒーや緑茶等のセットが揃えられたワゴンがすぐさま飛んでくるだろう。



……というか、あのポットや菓子入れとかは箱工房製品だし…。適温の完全なる維持が出来るやつ…。






コホン。それは置いといて…。あっという間に用意が完了。ミスなんて一つもない。


流石我が家の使用人たち。後はこれを私達がマナーよく頂かせてもらうのだが…その前に。


「あらアスト。お茶を頂く前に、その子にも座って頂かないと!」


と、微笑むような母の声。祖母も懐かしむようにニコニコと。


母が指しているのは私が抱えている社長、もとい、ぬいぐるみのこと。子供の頃、今と同じようにぬいぐるみを持って遊んでいる際、お茶に呼ばれたことは幾度もある。


そしてこうして連れられ、着席をするのだが…。当然、ぬいぐるみを抱っこしたままお茶を嗜むわけにもいかない。マナー違反だし、普通に危ない。


ならどうするか。方法は二つ。 一つは、お茶の時間が終わるまでぬいぐるみを使用人に預けておくこと。もう一つは――。


「お嬢様、こちらをお使いくださいませ」


さりげなくもう一脚椅子を用意した使用人が、そう声をかけてくる。それにお礼を言い、社長入りぬいぐるみをそれに座らせた。



その通り―。ぬいぐるみにも、のである。




――いやまあ、子供の頃の私が『一緒じゃなきゃヤダ!』とごねた結果なのだけど。まさかこの歳になってまたやることになるとは…。


ぬいぐるみが倒れないように慎重に椅子を私の横に並べた使用人は、紅茶や皿をその前にセッティング。残念ながら社長用としてではない。ぬいぐるみ用である。


勿論、魔物と化してない限りぬいぐるみが紅茶を飲むわけないので…要はおままごと。……ここまで当時を再現しなくて良いのに…。


社長にとっては生殺しであろう。美味しそうなお菓子や紅茶が目の前にあるのに手を出せないのだから。こうも見られている中、バレないとしても勝手に飲み食いはしないだろうけど。



……余談だが、一度『抱っこしたまま飲む!』と強行した結果、ぬいぐるみに思いっきり零して洗濯メイド長のお世話になった。以来、横に座らせる方式にしたわけで……。







「――あの時のアストの顔ったら、ぬいぐるみを凌ぐほど涙で濡れてしまっていましたよね」


「えぇえぇ! 可哀そうだったけど、可愛かったわねぇ。 大泣きしながら、洗濯して貰いに走っちゃって!」


…………まあ、私でさえその時のことを思い出したのだ。母や祖母が思い出さない訳が無い。そのぬいぐるみ紅茶びしょ濡れ事件(仮称)の話でひとしきり盛り上がる羽目に。


私としては恥ずかしい過去だが…親としては口元が緩む出来事。ここは耐えるしか……。



……あれ?社長、笑ってない…? 私以外にはわからないだろうけど…ぬいぐるみがほんの僅かに震えてる…! 絶対笑ってる!!






「気づいたらもう大人になってしまっていて、少し寂しいと感じていたのだけど…こうしてぬいぐるみを持って花冠なんて作っているのを見たら、変わらなくて安心しちゃった!」


「うふふ…! どんなアストちゃんも可愛くて仕方ないのだけどねぇ」


そして…母と祖母の懐かしみ攻撃は止まる気配がない…! なまじ帰省のスパンを開けるとすぐこれだ…!


特に今回に限ってはわざわざ手紙で呼びつけてるし、さっきの顔合わせでは私が調子悪そうに見えていたみたいだし、かと思えば懐かしのぬいぐるみを抱っこしてかつてのように庭を駆けてるしで、こうなるのも自明の理…。


それでもいつもならば、苦笑いながらも話に参加し歓談するのだが……今回はそれができない…!



だって、横のぬいぐるみの中に社長が居るんだもの! さっきから全部聞いているのがわかるように、笑いによる極小の震えがじわじわ大きくなってきているんだもの!!


このままいけば、母か祖母、周りの使用人に訝しまれるかもしれない…! というか、もう私の顔が熱くなってきた…! 恥ずかしさで…!!



……なんとかして、話を逸らさなければ…! そうだ、こういう時のために…!




「お母様、お祖母様!」


少し声を張り、無理やり話に割り込む。それと同時に、横のぬいぐるみをガッと掴む。


別に社長の存在を明かそうとしているのではない。…静かにさせるため、多少力を入れた節もあるけど…。



ぬいぐるみを引き寄せ、膝の上に。そして頭部をパカリと開け、手を中に。えっと、どこに…。 あ、社長が察して渡してくれた。よいしょっと…!


「先程渡しそびれていたお菓子がまだあるんです。どうぞ!」


引っ張り出した菓子箱を、使用人経由で母と祖母の元へ。因みにあれが、先程社長が食べていたお菓子と同じ物。


そもそも両親達用のお菓子は、使用人達へ渡したお菓子より更に厳選に厳選を重ねた超一級品ばかり。ただそれでも良いものばかりだったのでつい量が多くなり、渡す数やタイミングを調整していたのだ。


…だって、帰って来て早々に大量のお菓子を渡したら『お前お菓子巡りのために家を出たのか』って言われるかもしれないし…。




そんな裏事情はともあれ、受け取ってくれた母と祖母。すると2人共それを確認する前に、目を丸くしてこちらを見てきた。


「アスト…あなた今、これをどこから……」

「ぬいぐるみの中から……よねぇ…」


驚愕の顔を浮かべる母たち。そりゃそうである。明らかにぬいぐるみに入るサイズではないのに、箱の縁すら潰れず綺麗に出てきたのだから。


けど問題ない。言いくるめる策は考えてある。嘘をつくからちょっと心苦しいけど…。


「空間魔法の応用の一つですよ。ぬいぐるみの中を広げたんです」


完全な虚言だが…事実、空間魔法を活用すれば似たことは出来る。今まで訪問したダンジョンでも、外側は小さいのに中はとんでもなく広いという場所が幾つかあったであろう。


母も祖母もある程度魔法に精通しているため、そのことは間違いなく知っている。それを逆手に取り、『確かに可能かも』と思わせられれば私の勝ち。


あとは……少し恥ずかしいけど……!


「…こうすれば、子供の頃みたいにこのぬいぐるみをポーチ代わりに出来るかな、って…!」


照れつつ、そう呟く。猫を被ったというか…これまた母たちの思い出話を利用した形。



けど…案外、本音が入っていたり…! 社長がこのぬいぐるみを選んでくれた時に、そう考えて嬉しくなってしまったのだ。


もしかして社長、それを見抜いてお菓子とか入れさせた…? …いや、ただ食べたかっただけかも。





「とても素敵な理由よ。凄いじゃない!」

「グリモア様の元へお勉強しに行ってただけはあるわねぇ」


幸いなことに、策は見事に通った。母も祖母も褒めてくれる。……それが結構心に痛い…!


大丈夫…確かに今のは嘘だけど、やろうと思えばその空間魔法は行使できるし…! 結構難しいのと、ぬいぐるみに変なことをしたくないからやらないだけで…!


「あら! これもとても美味しい!」

「本当ねぇ、つい食べ過ぎてしまうわねぇ…!」


内心を収めていると、母たちはお菓子を堪能してくれていた。その喜びようで、大分救われ…―



「―けど、アストも頑張っているのね。お仕事先でも魔法習得の修練を怠っていないのでしょう?」







……っと。そう来てしまったか…。 けど、父と祖父がいない分、そして雰囲気的にもまだ日常会話の流れ。


「えぇ、励んでおります! 他にも魔法薬の調合錬成や、皆さんに協力して貰い魔法付与等の鍛錬もさせていただいたりと」


ということで、嘘偽りなく答える。すると今度は祖母が。


「お仕事の様子はどう? 楽しいかしらぁ?」


「はい!とてもとても! 皆さん優しく頼りになりますし、時にはこちらが頼られたりで!」


つい興奮して、声を跳ねさせてしまう。思わずぬいぐるみ社長をぎゅうっと抱きしめたぐらい。


それを見た母と祖母は同時に微笑み、祖母が使用人達へ合図を出し遠ざける。そして母は私へこう切り出した。


「話せることだけで構わないわ。 お仕事先での楽しい出来事、是非聞かせて頂戴な」


「―――はいっ!」







そんなことを言われたら、嬉々として話してしまう…! 両親たちは私の仕事先を知っているから遠慮なく…!!



「……それでですね、グリモア様の一件は偶然ながら解決しました! 稚拙ながらも保護用のブックカバーを製作し、それをお渡しいたしまして…!」


「ううん、よく気づいたと思うわよ。ママだったら気づけなかったかも……。常に皆に気を配れるアストだからよね」


「この間、グリモア様の元を訪問したのだけど…アストちゃんのブックカバー、お気に入りのご様子だったわよぉ。 それに稚拙なんてとんでもない! 魔王様お抱えの縫製部隊顔負けな性能だったわぁ」



と、先程話しそびれた図書館ダンジョンでの出来事や――。




「……そんな策を講じて、世間を騒がせていた『ル・ヴァン一味』を美術館ダンジョンから追い払うことに成功したんです!」


「まあ!! あの事件にアストが関わっていたなんて! 初の撃退成功として、そこかしこで話題になっていたわよ!」


「他盗賊への対策上、撃退方法は秘密にされているのだけど…。まさかアストちゃんの会社だったとはねぇ…!」



と、直近の仕事内容を話したり――。




「…という流れで『ミミックキャノン』というものが完成して…。今もお昼時になるとポンポンととミミック達が飛んできて…!」


「えぇぇ…! それで、怪我とかは無いの? …無いのね…。ミミックって、変わっているのね…」


「流石、頑丈ねぇ。 それにしても……今我が家に増えてきた『魔法の宝箱』、それが全部、アストちゃんの会社の『箱工房』というところ製だったなんて。 世間は狭いわねぇ……」



と、会社での出来事を話したり! 気づいたら紅茶が冷めてしまっていたため、私が淹れ直したぐらい。




だけど、全然語り足りない…! 聞いてくれるなら、今までの日誌分全てを話したいぐらい!


けど、そんな自分勝手はできない。母も祖母もまだまだ聞いてくれそうだが、このまま続けて辟易させてしまうのは避けたいし。



それに……話せないこともある。それは大体、社長のこと。




他のミミックや箱工房のドワーフ達とは違い、社長は上司。そんな彼女がふざけたことをしてると知られたら、母たちの顔が曇るのは必定。


だからこそ、話せない。 社長が朝弱く、私に抱えられて朝ごはんを食べにいくこととか…時折セクハラを仕掛けてくるとか(私は全く構わないのだけど)…お風呂には基本一緒に入っているとか…眠くなったら見た目相応の可愛い様子になるとか…。


たまに仕事を放棄してどこかに隠れだすとか…出先のダンジョンでやりたい放題始めるとか…その際に私を楽しく巻き込んでくれるとか…明らかにヤバいサキュバスクイーンの知り合いオルエさんがいるとか…!



勿論その系列で、社長がメンバーであった『最強トリオ』の伝説も口に出せない。聞く人によれば、不良の武勇伝としてとられかれないから。


それと……魔王様と旧知の仲だということもとりあえず黙っている。今しがた話した図書館ダンジョンの件についても、小さい頃の社長が魔王様と共にグリモア様の世話になっていたということはぼかした。



――そういえば、私が社長達を交え魔王様と飲み会をしたこと、そしてそのご尊顔を拝謁したことも家族には伝えてない。


魔王様の口ぶりから、私の両親達もかの御姿の秘密を知っているらしいが…。何分、事情が事情。 この世のどんな秘匿事項をも凌ぐ約束事なため、話題すら下手に出すわけにはいかないの…だ……。




………………ん……? あれ……? 何か……おかしい……。 何かが……引っかかる……。




なんだろう…何かを、を、ような…………。




今まで考えたことの無かった思考が頭の中を駆け巡り、ふと意識を集中させてしまう…。


それがいけなかったのだろう。先程まで饒舌だったのに急に黙った私を見て、母も祖母も心配する素振り。


特に祖母は、慌てて話を変えようと話題を探し――。



「そういえばアストちゃん、探し物をしているみたいじゃない。 宝箱、だったかしらぁ」

 







―――ッ!?!?  どうして……どうして――!


「どうして…そのことをご存知なのですか、お祖母様…!」


祖母の口から出た一言に、私は目を慄かせる。だってその話は…両親達には内緒だと固く口留めしているはず…!!


「あ…えっと…その、ねぇ…」


私に問い詰められ、しどろもどろになる祖母。と、それを庇い私を叱るように母が…。


「こら、アスト…! 折角心配してくださっているのに、なんてことを…!」


「――お母様も、ご存知なのですか?」


「え…。 その……えぇ……」


「―――誰からお聞きになったのですか?」


「そ……それは……」



……有無を言わさぬ私の口調に、母もたじろぐ。…大切な家族である二人にそんな圧をかけたくなかったし、下手すればお説教が始まるかもしれないが……誰が情報を漏らしたか知らねばなるまい…!


別にその漏らした使用人を処する気なんて毛頭ないが…一体誰が……! 空気が張り詰めだす中、回答を求めるためにキッと二人を見つめ続けると、とうとう観念したように…。



「…―その目、あの時を思い出すわね。 『見聞を広めるために外で仕事をしてみたい』とせがんでくる、あの時のあなたに…!」


「本当…! 頑として譲らない、強い瞳。 ふふふ…! 大人へと成長したのがわかる、意志の片鱗ねぇ」



……あ、あれ…? 褒められて…いるの…?  少なくとも、怒られる感じではない…。だって母も祖母も、笑ってるし……!!



張り詰めた空気がコミカルな音を立てて崩れていくみたいな感覚を味わい、カクンっとなってしまう。すると二人は改めて口を開き――。



「私達にそのことを聞かせてくれたのは…―」


「『ネヴィリー』よぉ」







……えっ、なぜ、どうして、えええぇっ…!? ええええええっ!?


なんで……よりにもよってネヴィリーが!? 他の使用人たちなら、まだわからなくもない…! 一応口止めはしておいたけど、主人である母たちに詳細を窺う可能性はあるのだから…!


けど、ネヴィリーは……事情を知っている! 持ち去られた宝箱は社長の物だと知っている!! そしてその社長が、このぬいぐるみの中にいるということを知っている!!!


だからこそ、絶対話を漏らさないと信じていたのに……。なんで……。



「…アスト、誤解がないように、ネヴィリーの名誉のために伝えておくわね。彼女はあなたとの約束を守ろうとしてくれていたのよ」


「そうそう。 けど、私達があまりにもしつこく聞いてしまったから耐え切れなくなってしまったのねぇ。 悪い事をしちゃったわぁ……」


沈鬱な表情を浮かべてしまっている私を宥めるように、母と祖母は交互に説明してくる…。……一応、聞いておかないと…。


「……どんな内容を、お聞きになりましたか…?」


「え!?  えーと……そうね……。 あなたが宝箱を家の何処かで失くしたから、それをのんびり探し歩いているって…。 それだけよ」


……ほっ……。 母の言葉に、安堵の息を吐く…。 社長のことは僅かたりとも明かしていないらしい。よかった……。



それに少し考えれば、彼女の努力はわかる。 主人に問われたら包み隠さず答えるのが当たり前。寧ろ、私の我が儘を守り通したネヴィリーを褒めるべきかも。







――ただこうなった以上、お茶会をすぐに離脱するべきだろう。 変に深掘りされると、私が誤魔化しきれないかもしれない。それに空気も悪くしてしまったし……。


母と祖母に深謝し、箱探しに戻る旨を伝えその場を離れる。 と、去り際に声をかけてくれた。


「アスト、そんなに沈んだ顔をしないで。 きっと、すぐに見つかるから」

「お食事時に、またゆっくりとおしゃべりしましょうねぇ」



そう励ましてくれる母たちへ再度礼を返し、私はまたも社長と共に庭園の散策に戻るのだった――。


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